ついに明かされる過去の罪、そして訪れるあまりにも悲しい別れ…。『花様年華』第11話は、これまで散りばめられてきた謎の核心に触れる、息をのむような展開となりました。ジェヒョンとジス、二人を縛り付けてきた過去の呪いが、思わぬ人物の口から語られます。
秘密の共有と、崩壊の始まり
ジェヒョンは、長年一人で抱え込んできた秘密…父の死の真相と、その復讐のためにチャン会長の婿になったという事実を、ジスにだけ打ち明けます。彼の心の鎧を脱がせることができるのは、やはりジスだけなのでした。ジスはただ黙って彼の話を聞き、その冷たい手を温めるように握りしめます。
その頃、チャン会長もまた、ジェヒョンの父親が、かつて自分が陥れて自殺に追い込んだ人物であったことを知り、恐怖に震えていました。ジェヒョンが結婚後に真相を知ったと分かり、一度は安堵するものの、その胸には拭いきれない疑念と警戒心が渦巻きます。
一方、ジェヒョンとの関係修復を諦めきれない妻のソギョン。彼女は二人が初めてデートした思い出の場所にジェヒョンを呼び出し、「これからは変わる」と必死に訴えます。しかし、ジェヒョンの心はすでに冷え切っていました。「一度壊れた鏡は元には戻らない」という彼の言葉は、二人の関係が完全に行き詰まっていることを物語っているようで、あまりにも残酷です。
父の告白、そして贖罪
そんな中、ジスは才能ある子どもに無償でピアノを教えていたことが原因で、音楽教室をクビになってしまいます。心配したジェヒョンが差し出す助けも、彼女は気丈に断るのでした。
そして、物語は最大の転換点を迎えます。ジェヒョンは、養護施設にいるジスの父親に呼び出されるのです。そこで彼は、衝撃の事実を告げられます。
20数年前、ジェヒョンの父親が不当に逮捕された事件。その担当検事こそが、ジスの父親だったのです。彼は自らの政治的野心とチャン会長との共謀によって、ジェヒョンの父を死に追いやる冤罪を作り上げてしまったことを、涙ながらに告白し、謝罪します。
しかし、ジェヒョンは彼を責めませんでした。全ての元凶はチャン会長にあると、静かに怒りの炎を燃やすだけでした。ジスの父は、自分への恨みを、どうか娘であるジスに向けないでほしいと懇願します。それは、歪んではいたけれど、確かにそこにある父親の愛でした。
愛する人との別れ、そして…
自分の死期を悟っていたかのように、ジスの息子ヨンミンに「母さんを支えてやってくれ」と優しい言葉をかけたジスの父。その直後、彼の容態は急変し、帰らぬ人となります。
死の間際、彼はジスに「お前の悪いことは全部持っていく。良いことだけを残していく」という言葉を遺しました。その言葉で、ジスは長年心に突き刺さっていた棘が、ようやく抜けていくのを感じます。父は、最後まで自分を愛してくれていたのだと。
父の「幸せになれ」という最期の願いを胸に、病院を出たジス。その目の前には、同じように悲しみに沈んだ表情のジェヒョンが立っていました。二人は吸い寄せられるように互いのもとへ歩み寄り、ジスは彼の胸で声を殺して泣きじゃくります。ジェヒョンは、そんな彼女の背中をただ優しく、そして強く抱きしめるのでした。
『花様年華~君といた季節~』第11話の感想
今回は特に、ジスのお父さんの告白と最期が胸に迫りました。これまで娘を苦しめてきた存在に見えましたが、その行動の裏には、歪んでいながらも深い後悔と娘への愛情があったのだと分かり、涙なしには見られませんでした。自分の罪を認め、ジェヒョンに頭を下げる姿は、父親としての最後のプライドと贖罪だったのでしょう。
ジェヒョンがその事実を知ってもジスの父を責めず、全ての元凶であるチャン会長への怒りを新たにする姿には、彼の器の大きさとジスへの揺るぎない愛の深さを感じました。辛い運命に翻弄され続ける二人が、最後に互いの悲しみを分かち合い、慰め合うシーンは、暗闇の中に差し込んだ一筋の光のようでした。二人の未来に、どうか穏やかな日々が訪れることを願わずにはいられません。
つづく