いやあ、今回も切なくて目が離せませんでしたね。過去の美しい思い出と、現在のどうにもならない現実。この対比が胸に突き刺さります。

衝撃の再会、そして新たな火種

校長室での気まずい再会シーン、息が詰まりそうでしたね。夫ジェヒョン(ユ・ジテ)が初恋の相手ジス(イ・ボヨン)の名前を呼び、彼女の手を掴む…。その光景を目の当たりにした妻ソギョン(パク・シヨン)の凍りついた表情が忘れられません。

結局、ジェヒョンはソギョンの弱みを握って、ジスの息子ヨンミンに対する校内暴力委員会を中止させることに成功します。でも、これで一件落着とはいきません。むしろ、これが新たな嵐の始まりでした。

帰り道、ジェヒョンは一人でバス停へ向かうジスを見かけ、車に乗るよう声をかけます。しかし、今の彼を受け入れられないジスはきっぱりと拒絶。ところが、意地を張ったせいで履いていたパンプスのヒールがポッキリ!なんとも気まずい展開で、結局ジェヒョンの車に乗る羽目に。彼は車にあった自分の革靴を差し出し、ジスはそれを受け取るしかありませんでした。この「靴」が、また二人の過去と現在を繋ぐ重要なアイテムになるんですよね。

忘れられない記憶、捨てられない想い

家に帰り、ジェヒョンの大きな靴と自分の靴が並んでいるのを見て、ジスは20年以上前の雪の日を思い出します。彼の大きな足跡を追いかけて歩いた、あの頃の純粋な気持ち…。一方でジェヒョンもまた、かつて自分が酔いつぶれた時に、ジスが優しく介抱してくれた日のことを思い出していました。お互いの心の中に、今も鮮明に残る「花様年華」の記憶。それが、今の二人をどうしようもなく揺さぶるんです。

ジスが生活のために仮面をつけてピアノのアルバイトをしていると、そこに偶然ジェヒョンが現れます。彼はすぐに彼女だと気づき、その姿に胸を痛める。雨の中、帰ろうとするジスに、ジェヒョンは強引に傘を渡して去っていきました。車の中で彼が思い出していたのは、20数年前に聴いた彼女のピアノの音色。あの頃と変わらない清らかで美しい音色が、彼女の今の苦しい生活と結びつかず、彼の心を締め付けます。

それぞれの正義、そして残酷な現実

息子ヨンミンの成績が落ちたことで、ジスは母親として心を痛めます。そんな中、ジェヒョンがヨンミンに偶然会い、自分の息子の代わりに謝罪。ヨンミンがジスに「ジュンソの家がお金持ちなのは羨ましくないけど、ジェヒョンのようなお父さんがいるのは羨ましい」と語るシーンは、涙なしには見られませんでした。息子の健気な言葉に、ジスは母親として、そして一人の女性として、深く考えさせられます。

そんな中、ジェヒョンは傘を返すという口実でジスを呼び出し、彼女が参加しているスーパーの不当解雇デモから手を引くよう忠告します。しかし、ジスは「弱者の側に立つ」というかつての信念を今も貫いていました。彼女は、昔ジェヒョンが語った「俺は敗者の側に立つ」という言葉を今でもはっきりと覚えていたのです。その言葉をすっかり忘れていたジェヒョンは、恥ずかしさと罪悪感に打ちのめされます。

過去の回想シーンでは、学生運動の最中、危険を顧みず自分の後ろに立ってくれたジスの姿に心を動かされ、ジェヒョンから交際を申し込む場面が描かれます。あの頃の彼は、確かに彼女のヒーローでした。

しかし、現実は非情です。ジェヒョンは一度、デモ隊の強制排除を中止させようと動きます。ですが、彼の書斎でジスが昔書いたメッセージを見つけた妻ソギョンが、嫉妬心から父であるチャン会長に密告。会長の指示により、警察がデモ隊に襲いかかります。

一度はその場を離れていたジスでしたが、仲間を見捨てることができず、人混みの中へ引き返します。そして、警察ともみ合いになり、逮捕されてしまうのでした。20数年前なら、迷わず彼女を助けに飛び込んでいったであろうジェヒョン。しかし、財閥の婿という今の彼に、そんなことは許されません。彼はただ、遠くからその光景を見つめ、固く拳を握りしめることしかできなかったのです。

『花様年華~君といた季節~』第3話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの立場と想いが複雑に絡み合い、物語に一層の深みを与えていました。特に印象的だったのは、変わってしまったジェヒョンと、変わらないジスの対比です。かつて理想に燃えていた青年は、今や富と権力の世界で冷徹な現実主義者となっています。しかし、その心の奥底には、今も昔の自分が息づいている。ジスとの再会は、彼が心の奥底に封じ込めていたはずの葛藤や良心を容赦なく揺さぶります。

一方のジスは、生活に追われながらも、かつての純粋な正義感を失っていません。彼女の存在そのものが、ジェヒョンにとって過去の自分を映し出す鏡のようです。二人が交わす言葉の端々から、過ぎ去った時間への愛おしさと、現在の状況へのもどかしさがひしひしと伝わってきて、胸が締め付けられるようでした。過去の美しい思い出が、現在の二人にとって甘美であると同時に、残酷な棘となって突き刺さる。この切ない物語の行方を、静かに見守り続けたいと思います。

つづく