Sラインが暴く真実と嘘
今回の物語は、刑事であるハンが「Sライン」―つまり過去に性的関係を持った相手と繋がる赤い線―が見える特殊なメガネを本格的に使い始めるところからスタートします。自分の人生を振り返り、自由を求めていたはずが、長い間ソナの保護者として生きてきたハン。その彼がメガネをかけると、同僚や街ゆく人々の頭上にはっきりとSラインが見え、誰が誰と繋がっているのかが一目瞭然になります。
まずハンが向かったのは、入院中のソナの病室。そこで彼は衝撃の事実を目の当たりにします。なんと、自分とソナの間にはSラインが存在しなかったのです。長年保護者として寄り添ってきただけに、ハンは動揺を隠せません。
そんな中、女子高生ジナへの性的暴行事件が発生。ハンは早速メガネを捜査に活用し、学校へ向かいます。生徒たちの頭上には無数のラインが飛び交っていますが、ソナの担任であるギュジン先生には一本のラインもありません。ハンはギュジンに惹かれているのか、ぎこちなく食事に誘ってはすぐに取り消すという、なんとも不器用な一面を見せます。しかし、その時ギュジンは、まるでハンの頭上にある花束のようなSラインの束が見えているかのように、意味深な笑みを浮かべるのでした。
一方、ハンの娘(?)ヒョンフプは、ハンが例のメガネをかけていることに気づき、「そんな危険なものを軽々しく使わないで!」と彼を叱責します。彼女は、ジナの事件がこのメガネと関係していると直感していました。
捜査は難航しますが、ハンの同僚ドンシクとの巧みな連携プレーと、ヒョンフプの「事件前、ジナにはSラインが一本もなかった」という決定的な目撃情報により、事態は急展開を迎えます。ヒョンフプはさらに、4人の男子生徒全員からジナに向かってラインが伸びているのを目撃。この情報が決め手となり、ハンは4人を警察署へ連行します。
尋問の末、ついに犯人グループは口を割ります。主犯はハニュという生徒で、彼がジナに薬物を飲ませて犯行を画策したことが明らかになりました。
衝撃のラスト!新たな謎の幕開け
事件は解決したかのように見えましたが、物語はここからが本番でした。ハンがヒョンフプと車で帰宅していると、彼の父親が入所している介護施設から「お父様が失踪した」との連絡が入ります。
慌てて施設へ向かったハンが防犯カメラを確認すると、そこにはなんと、ギュジン先生らしき女性が父親をタクシーに乗せる姿が映っていました。まさかの人物の登場に、ハンは急いでソナの病室へと車を走らせます。
病室に駆け込んだハンが見たものは、信じがたい光景でした。ソナの頭上から伸びるSラインが、ゆっくりとドアの方へ向かっているのです。そして、そのドアを開けて入ってきたのは…失踪したはずのハンの父親でした。ソナと、自分の父親が、Sラインで繋がっている…?このありえない事実にハンが呆然としていると、彼の携帯が鳴り響きます。
電話の相手はヒョンフプ。彼女は血まみれの姿で、「助けて…」と悲痛な声を上げるのでした。
『Sライン』第5話の感想
今回のエピソードは、一つの事件が解決したかと思えば、それを遥かに上回る個人的な謎が主人公に突きつけられるという、見事な構成でした。「Sライン」という設定が、単なるSFガジェットではなく、登場人物たちの隠された過去や人間関係の残酷さをえぐり出す装置として、非常に効果的に機能しています。特に、ソナとハンの父親がラインで繋がっていたシーンの衝撃は計り知れません。これまでハンが守ってきた日常や信じてきたものが、根底から覆される瞬間を目の当たりにし、彼の心情を思うと胸が締め付けられます。そして最後のヒョンフプの危機。サスペンスフルな展開に、物語全体の緊張感が一気に高まりました。各キャラクターが抱える秘密が少しずつ明かされ始め、人間ドラマとしての深みも増しており、今後の展開から目が離せません。
つづく