引き裂かれる二人と、一家の悲しい決断
前回、ついにペク女史の前に立ちはだかり、衝撃の要求を突きつけます。「息子(ガンジュ)の前から娘を消せ!さもなくば警察に通報する!」と。
この言葉は、イ家にとって死刑宣告のようなもの。母と愛する人の間で板挟みになったガンジュは、苦渋の決断を迫られます。彼は母の元へ向かい、「ダリムとは必ず別れる。だから通報だけはしないでくれ」と約束。もし通報すれば、母親とも縁を切ると脅しにも似た覚悟を見せます。
一方、イ家では重苦しい家族会議が開かれていました。ペク女史の要求を受け入れ、40年以上も続けてきた「チョンリョムクリーニング」を畳み、この町を出ていくことを決めたのです。 祖父母の罪が明るみに出る前に、自分たちが身を引くしかない。その悲しい決断に、家族全員が言葉を失います。
ダリムもまた、ガンジュとの別れと会社の退職を決意。彼女が提出した辞表を、ガンジュは震える手で承認するしかありませんでした。
涙の別れと、祖父母の悲壮な覚悟
ついに訪れた別れの時。ガンジュはダリムを呼び出し、「もう会うのはやめよう」と冷たく言い放ちます。しかし、その言葉とは裏腹に、二人の間には未練と愛情が痛いほどにじみ出ていました。「俺の涙を飲ませてやった」なんて悲しい冗談を言うガンジュと、必死に気丈に振る舞うダリム。お互いの名前を呼び合っては「呼ぶな」と言い合う姿は、見ているこちらの胸が張り裂けそうでした。
その頃、自分たちのせいで子供や孫たちが不幸になっていくことに耐えられなくなった祖父母、マンドゥクとギルレは、ある悲壮な決意を固めます。「自分たちが罪を被って死ねば、すべて丸く収まるのではないか」。二人はペク女史に宛てて、自分たちが真犯人であると告白する手紙を書き、タクシーで漢江の橋へと向かいます。
しかし、二人の様子を不審に思った心優しいタクシー運転手の機転で、自殺は未遂に終わります。駆けつけたボンヒは、「親はそばにいてくれるだけで心の支えなんだ!」と涙ながらに二人を抱きしめ、家族の絆を再確認するのでした。
ついに訪れた最悪の結末
しかし、平和は長くは続きませんでした。ムリムの恋人スジの母であり、警察署長でもあるミオクが、ムリムの車のドライブレコーダー映像を復元。そこには、ボンヒと祖父母が共犯だったことを示す決定的な証拠が映っていたのです。
そして、イ家が涙ながらに引っ越しの荷造りをしていたその日、ついに恐れていた事態が起こります。ミオク率いる警察が家に乗り込み、ボンヒ、マンドゥク、ギルレを窃盗の容疑で逮捕。さらに、捜査妨害と証拠隠滅の罪で警察官であるムリムにまで手錠をかけます。ダリムたち姉妹も、盗品等有償譲受の容疑で任意同行を求められ、一家は一網打尽に。
近所の人々が見守る中、家族が次々とパトカーに乗せられていく絶望的な光景。そこに、駆けつけたガンジュが叫びます。
「待ってください!俺も共犯だ!俺も逮捕しろ!」
ダリムを守るため、自らも罪を被ろうとするガンジュ。彼の悲痛な叫びが響き渡る中、第34話は幕を閉じました。
『タリミファミリー~恋もお金もクリーンに!』第34話の感想
今回のエピソードは、登場人物それぞれの「愛」の形が、あまりにも切なく、そして痛々しく描かれていました。家族を守るために嘘をつき、愛する人と別れる決断をしたガンジュとダリム。子供たちに迷惑はかけられないと、自らの命で罪を償おうとした祖父母。そして、どんな状況でも家族を支えようとするボンヒの強さ。それぞれの行動は、すべて深い愛情から生まれているにもかかわらず、事態は最悪の方向へと転がっていきます。特に、ガンジュとダリムの別れのシーンは、互いを想う気持ちが強いからこそ、あえて突き放す言葉を選ぶ二人の姿に涙を誘われました。罪を犯したことの重さと、それでも守りたい大切な存在。このドラマが問いかけるテーマの深さを改めて感じさせられる、非常に見応えのある回でした。警察に連行されていく家族を前に、ガンジュが自らも共犯だと叫ぶラストシーンは、彼の愛の深さを示すと同時に、さらなる波乱を予感させます。
つづく