目の見えないダリムと、そばにいる「テウン」の正体
物語は、目の手術を終え、まだ包帯が取れないダリム(イ・ダリム)のシーンから始まります。不安でいっぱいのダリムを病室で献身的に支えるのは、兄のような存在のテウン(チャ・テウン)…ではなく、なんとガンジュ(ソ・ガンジュ)!
ダリムは、声や雰囲気からてっきりテウンだと思い込んでいるんですよね。「顔が見てみたい」「包帯を取ったら一番に顔を見せて」なんて無邪気に話しかけるダリムと、正体を明かせず、ただ静かにその言葉を受け止めるガンジュの姿が、もう…切なすぎる!
ダリムが手術を乗り越えたことを「褒めて」と甘えるシーンでは、思わず涙ぐみながらも、声を出さずにダリムの頭を撫でることしかできないガンジュ。そして、その場を去った後、一人で「よくやった!」「おめでとう!」と、声にならない喜びを爆発させるんです。この男、どこまで不器用で優しいんだ…!
一方、イ家ではとんでもないことになっていました。ボンヒ(コ・ボンヒ)の両親、ジョング(イ・ジョング)夫妻は、隠した大金の上にマットレスを敷いて寝ることに。しかし、案の定「金の上で寝ると息苦しい」「背中が痛くてたまらない」と悪戦苦闘!でも、また土に埋められるのはごめんだと、ボンヒの前では「快適だ~」なんて嘘をつく姿がコミカルで笑っちゃいました。
ついに視力回復!感動の再会と、ガンジュの悲劇
そして、ついにその時がやってきます。ダリムの包帯が外され、ゆっくりと目を開けるシーンは、見ているこっちまで息を呑みました。
「お母さん…」「おじいちゃん、おばあちゃん!」と、久しぶりに見る家族の顔に涙ぐむダリム。家族みんながダリムの回復を心から喜び、病室は温かい空気に包まれます。
しかし、その感動ムードは一瞬にして凍りつきます。
「はじめまして、テウンです」と名乗るテウンに、ダリムは固まってしまうのです。そう、彼女が今まで「テウン」だと思って話していた相手は、目の前にいる彼ではなかったから。そして、本当のガンジュがそこにいても、ダリムは彼の顔を知らないのです。
この時のガンジュの、期待と不安が入り混じった表情からの、失望…。ああ、神様はなんて残酷な試練を与えるんでしょう。
新たな火種は「金、カネ、KANE!」
ダリムの視力回復という大きな喜びも束の間、イ家では新たな問題が勃発。そう、お金の問題です。
ダリムの手術費用80万ドルの出所を、叔母のチャリム(イ・チャリム)たちが怪しみ始めます。さらに、祖母は「ダリムだけじゃなく、結婚するムリム(イ・ムリム)にも家を買ってやれ」「私の癌の治療費も必要だ」と、隠し金を使う気満々!しかし、出所不明の大金を使えばマネーロンダリングで家族全員が刑務所行きになる可能性があると知り、一同は青ざめます。
一方、ガンジュの母ミヨン(ミヨン)は、失った大金を取り戻すため、昔の裏社会の知り合いキム・ジェソン(キム・ジェソン)に金の捜索を依頼。こちらの家族も、金に振り回されていますね。
衝撃のラスト…ダリムはなぜガンジュを無視したのか?
退院したダリムは、見えるようになった世界を心から楽しんでいました。そんな彼女が街中でガンジュとすれ違います。ガンジュはダリムに気づき、声をかけようとしますが…なんとダリムは、ガンジュを一瞥しただけで、知らない人のように通り過ぎてしまうのです!
「俺の顔を見たはずなのに…知らないフリか?」と、呆然と立ち尽くすガンジュ。
え、どういうこと!?病室での一件で、彼が誰なのか気づいたはずでは?それとも、何か別の理由が…?最大の喜びの直後に突きつけられた最大の謎。ここで9話は終わりです!
『タリミファミリー~恋もお金もクリーンに!』第9話の感想
今回のエピソードは、光と影のコントラストが非常に巧みでした。ダリムの視力が回復するという、このドラマの大きな目標の一つが達成され、心からの感動と安堵感に包まれたのも束の間、すぐに新たな問題が次々と浮上してきます。特に、ずっとダリムを陰で支え続けてきたガンジュの想いが、最も残酷な形で報われない展開には胸が締め付けられました。彼の切ない表情が目に焼き付いて離れません。また、大金を巡る家族の欲望や対立は、非常に現実的で生々しく描かれており、コメディタッチの中にも人間の本質を突く鋭さがあります。ダリムの視力回復が、決してゴールではなく、新たな波乱の始まりであることを予感させる、見事な脚本だったと思います。ラストのダリムの不可解な行動の真意が気になって仕方ありません。
つづく