さあ、『太陽を抱く月』第10話、今回も息をするのを忘れるくらい見入ってしまいましたね!フォンとウォル、そして二人を取り巻く人々の感情が激しくぶつかり合い、物語が大きく動き出しました。特にラストシーン、思わずえっ!と声が出てしまった方も多いのではないでしょうか?

それでは早速、胸が締め付けられる第10話の世界へ飛び込んでみましょう!

嫉妬の炎に焼かれる王妃と、冷酷な王の顔

前回、王であるフォンと巫女ウォルの親密な(ように見えた)様子を覗き見てしまった王妃ボギョン。彼女の心は、当然穏やかではありません。嫉妬と不安で、正気を失わんばかり。フォンがウォルを見る眼差しは、ただの厄除けの道具に向けるものではなく、紛れもなく一人の女性に向けられたものでした。その事実に、ボギョンの怒りと悲しみは頂点に達します。

この状況を察したフォンは、ボギョンのもとを訪れます。しかし、慰めるどころか合宮の日まで私の行動を探るな。お前が見たのは、ただの呪符(ウォルのこと)に過ぎぬと、あまりにも冷たい言葉を言い放つのです。愛する人にここまで突き放されたボギョンの絶望は計り知れません。彼女はついに、侍女に命じてフォンとウォルの動向を監視させるという、危険な一線を超えてしまいます。

それぞれの切ない想い…ウォルを探すヤンミョン

一方、宮殿の外では、もう一つの切ない恋が動いていました。そう、ヤンミョングンです。彼は行方の知れなくなったウォルを必死に探し回っていました。そんな中、偶然にも幼い頃に助けたことのある巫女、チャンシルと再会します。

ヤンミョンは藁にもすがる思いでチャンシルにウォルのことを尋ねますが、彼女は神母ノギョンから固く口止めされており、真実を話すことができません。命の恩人であるヤンミョンを助けたい気持ちと、禁忌を破ることへの恐怖。チャンシルの葛藤もまた、見ていて胸が苦しくなりました。しかし、最終的に彼女はヤンミョンへの恩義を果たすことを決意し、必ずウォルに会わせると約束するのでした。

混乱する王と巫女…隠された記憶の断片

さて、宮殿の中。フォンはウォルが牢で書いた手紙のことで、彼女を呼び出します。その手紙の文面から、フォンは民を救えぬ王の無能を責めているのかとウォルを問い詰めます。二人の間で激しい言葉の応酬が繰り広げられる中、フォンはふと、かつてヨヌと交わした会話と全く同じ状況であることに気づき、目の前のウォルにヨヌの幻を見てしまいます。

混乱したフォンは、ウォルを連れて散歩に出ます。そして、知ってか知らずか、かつてヨヌが連れ去られた思い出の場所隠れ月閣へと足を運びます。すると、ウォルの脳裏にも、自分が体験したはずのない光景が鮮明に浮かび上がり、自然と涙がこぼれ落ちるのです。

このウォルの反応を見て、フォンの混乱は頂点に。お前は一体何者なのだ!と正体を問いただしますが、ウォルはただの巫女ですと答えるしかありません。自分の中に芽生える不可解な感情と、断片的に蘇る他人の記憶。ウォル自身もまた、自分の身に何が起きているのか分からず、深い苦悩に沈んでいくのでした。

すべてを繋ぐ鍵は筆跡にあり!

物語がクライマックスに向けて大きく動いたのは、ヨヌの兄、ヨムの行動がきっかけでした。彼はヨヌの部屋で、彼女が生前フォンに宛てて書いた最後の手紙を発見します。そして、これを王に直接届けるため、宮殿へ向かうのです。

フォンはヨムから受け取った手紙を読み、亡きヨヌを思って涙を流します。そして、彼女の美しい筆跡に改めて感心し、懐かしさから尚膳に命じて、かつてヨヌが13歳の頃に書いた書状を持ってこさせます。

そして、運命の瞬間が訪れます。

フォンは、ヨヌの幼い頃の書状と、先日ウォルが書いた手紙を、何気なく見比べます。

…まさか

そこに書かれていたのは、あまりにも似すぎた筆跡でした。違う人間が書いたとは思えないほど酷似した二つの文字。驚愕したフォンは、血相を変えて叫びます。

すぐにあの巫女を、ウォルをここに連れてまいれ!

ついに、真実の扉を開ける鍵が見つかった瞬間でした。

『太陽を抱く月』第10話の感想

今回の第10話は、登場人物それぞれの感情が深く、そして丁寧に描かれた秀逸な回だったと感じます。特に印象的だったのは、フォンがウォルに対して抱く感情の複雑さです。亡き初恋の人ヨヌの面影を重ねてしまい、惹かれていく心と、身分違いの巫女だと自分に言い聞かせ、冷たく突き放そうとする理性。その間で激しく揺れ動くフォンの姿は、痛々しくも人間味にあふれていました。

また、ボギョンの嫉妬やヤンミョンの切なさも、物語に深みを与えています。彼らは決して単なる悪役や当て馬ではなく、それぞれが純粋な想いを抱えているからこそ、その行動がより一層悲しく映ります。そして、全ての記憶を失いながらも、魂が過去を覚えているかのように涙を流すウォル。彼女の存在そのものが、この物語の切なさを象徴しているようです。静かに、しかし確実に真実へと収束していく脚本の巧みさには、ただただ感服するばかりです。

つづく