今回の『太陽を抱く月』第13話は、息をするのも忘れるくらい見入ってしまいましたね…。フォンとウォル、そしてヤンミョングンの運命が、巨大な陰謀の渦に飲み込まれていく様子は、まさに圧巻の一言でした。

さっそく、怒涛の展開となった13話の世界に飛び込んでいきましょう!

束の間の安らぎと、動き出す黒い影

王フォンとの合房の儀が、彼の突然の失神によって中断されるという衝撃的な幕開け。その頃、ウォルはヤンミョングンから熱烈な愛の告白を受けていましたが、自分は神に仕える器として、その想いを静かに拒みます。

一方、意識を取り戻したフォンは、夜通し看病してくれたウォルの手を固く握りしめ、夜が明けるまでそばにいてくれと懇願します。王の顔ではなく、一人の男としてウォルを求めるフォンの姿は、切なくも美しいものでした。しかし、この束の間の安らぎは、すぐに巨大な悪意によって打ち砕かれます。

フォンの失神は巫女による呪術のせいだという診断が下され、ユン・デヒョン率いる外戚一派は、これを好機とばかりに動き出します。王に恋慕した巫女が殿に忍び込み、王はそれを知りながら黙認したという噂を流し、王の権威を失墜させようと画策。ウォルが王妃ポギョンに嫉妬し、合房を妨害するために呪いをかけた、という卑劣なシナリオまで用意周到に準備していました。

投獄、そして地獄の拷問

宮中でささやかれるヨヌの死の真相…。ウォルがその噂話に耳を傾けていた矢先、彼女は王への反逆罪という濡れ衣を着せられ、突然、義禁府へと連行されてしまいます。

牢獄でウォルを待っていたのは、ユン・デヒョンによる非道な尋問でした。王との恋仲を認めれば、命だけは助けてやると。しかし、ウォルはフォンを守るため、決して口を割りません。彼女の瞳に、かつて自分が葬り去ったはずのヨヌの面影を感じ、一瞬動揺するユン・デヒョンでしたが、容赦なく拷問を命じます。

血まみれになりながらも、決して屈しないウォル。その姿は、痛々しくも気高く、彼女のフォンへの深い愛を物語っていました。

それぞれの守るための戦い

ウォル投獄の知らせは、すぐにフォンとヤンミョングンの耳にも入ります。

フォンは激昂し、自ら尋問すると息巻きますが、ユン・デヒョンに阻まれ、側近のヒョンソンからも今は耐える時です。王様ご自身の身を守ることが、巫女様を守ることにつながりますと必死に止められます。王でありながら、愛する一人も救えない無力感に、フォンは歯を食いしばるのでした。

一方、ウォルに振られた傷心を癒す旅に出ようとしていたヤンミョングンも、彼女の危機を知り、居ても立ってもいられず駆けつけます。

そして、ウォルの師である国巫チャン・ノギョンもまた、動いていました。彼女は大王大妃ユン氏に直談判しますが、逆にウォルと共謀したと疑われてしまいます。追い詰められたノギョンは、ついに最後の切り札を切ることを決意。このままでは、8年前の世子嬪様(ヨヌ)の死の真相をすべて暴露し、ウォルと共に死にますぞ!と脅しをかけたのです。その緊迫した場に、フォンが現れて…。

嘘が招いた兄弟の決裂

事態が大きく動いたのは、ヤンミョングンのあまりにも無謀な行動でした。彼は尋問の場に乗り込み、合房の夜、ウォルは私と一緒にいた!と嘘の証言をしたのです。

王族であるヤンミョングンに累が及ぶことを恐れたウォルは、咄嗟に悲しい嘘で彼を突き放します。私はこの方(ヤンミョングン)が王族とは知らず、ただ慕わしく思い、一緒に逃げてほしいと願っただけですと。

この嘘は、皮肉にもウォルを救うことになります。大王大妃とユン・デヒョンは、王と巫女の醜聞と王族と巫女の恋という二つの切り札を手に入れ、フォンとヤンミョングンの両方を意のままに操れると考え、ウォルを釈放。

しかし、この一件は、フォンとヤンミョングンの兄弟関係に、修復不可能なほどの深い亀裂を生んでしまいました。

ヤンミョングンはフォンに対し、あなたは私のすべてを奪った。父の愛も、王位も、そしてヨヌも…。今またウォルまで奪うというのなら、私はあなたを絶対に許さないと、憎しみを込めて言い放つのでした。

愛する人を守るための嘘が、さらなる悲劇を呼び、兄弟の絆を無残に引き裂いてしまったのです。

『太陽を抱く月』第13話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの守りたいという想いが、皮肉にも互いを深く傷つけ、事態を泥沼化させていく様が実に巧みに描かれていました。王でありながら無力なフォン、愛ゆえに無謀な嘘をつくヤンミョングン、そして二人を守るために心を鬼にして嘘を重ねるウォル。三者三様の痛みが胸に迫り、見ていて非常に苦しかったです。特に、血と泥にまみれながらも、決して信念を曲げないウォルの姿には心を打たれました。権力という巨大な渦の前では、個人の純粋な想いがいかに無力で、そして同時になんという強さを持つのかを改めて感じさせられます。物語の核心に迫る過去の事件の謎も深まり、重厚な人間ドラマとしての魅力が一層増した回でした。

つづく