ついに物語が大きく動き出す第16話!今回は、今まで散りばめられてきた謎が一つの線となり、登場人物たちの感情が激しくぶつかり合います。胸が締め付けられるような展開の連続でした。
陽明君(ヤンミョングン)の宣戦布告と、追い詰められるボギョン
陽明君(ヤンミョングン)は王であるフォンに対し、王位も捨てられない、死んだヨヌも忘れられない、今そばにいる者さえ守れないと痛烈な言葉を浴びせ、自分は家臣の身分を捨ててでも月(ウォル)を選ぶと宣言します。王の痛いところを突く、陽明君(ヤンミョングン)の悲しい決意でした。
一方、月と対面した王妃ボギョンは、死んだはずのヨヌそっくりの姿に言葉を失い、激しく動揺します。月は自分はヨヌではないと否定し、ヨヌの魂から王妃様の幸せを願っているとの伝言を預かったと嘘をつきます。しかし、この言葉が逆にボギョンの動揺を誘い、あの子がそんなことを言うはずがない!と取り乱す始末。その過剰な反応を見た月は、ボギョンがヨヌの死に深く関わっているのではないかと確信を強めるのでした。ボギョンは、かつて父ユン・デヒョンに王妃になるためには哀れみや罪悪感を捨てろと言われたことを思い出し、恐怖に震えます。
隠月閣での辛い別れ
月は知らず知らずのうちに、かつてフォンとの思い出が詰まった隠月閣へと足を運んでいました。そこで偶然フォンと再会してしまいます。フォンは、活人署での暮らしを心配し、遠くの地へ行けるよう手配しようかと提案しますが、月は王様にご迷惑はかけられませんと、本当の想いを隠して拒絶。最終的にフォンは、これ以上苦しまないために二度と私の前に現れるなと冷たく突き放し、月は涙ながらにその場を去るのでした。
国巫チャン・ノギョンが明かす、呪術の真相
ついに国巫(ククム)チャン・ノギョンが、月にすべての真実を打ち明けます。
8年前、ヨヌを死に至らしめた呪術には生贄が必要でした。そして、その生贄になったのが、なんとホ・ヨムに恋焦がれるあまり、彼を手に入れたい一心でヨヌの死を願ったミナ王女だったのです。大王大妃に利用されたミナ王女は、自ら呪術の生贄となることで、ヨヌを死に追いやった共犯者でした。
この事実は、あまりにも残酷です。もし真相が明らかになれば、王であるフォンを裏切ったミナ王女は大罪人として罰せられ、その夫であるホ・ヨムもただでは済みません。愛する兄と、自分を慕ってくれた王女を守るため、月は真実を知っても名乗り出ることができないという、あまりにも過酷な運命を突きつけられたのです。
王の調査、そして涙のクライマックスへ
フォンの命を受けたホン・ギュテの調査は着実に進んでいました。彼はホ家の使用人からお嬢様の墓が、埋葬の翌日に掘り返された跡があったという決定的な証言を得ます。さらに、その使用人が月の付き人であるソル(雪)を見かけたことも報告。
すべてのピースがはまったフォンは、月がヨヌであると確信。いてもたってもいられず、星宿庁のチャン・ノギョンの元へ駆けつけます。
あの巫女ウォルは、ホ・ヨヌなのか?
フォンの震える声での問いに、ノギョンは静かに頷きます。
真実を知った瞬間、フォンの中にあったこれまでの自責、後悔、そしてヨヌへの想い、そのすべてが堰を切ったように溢れ出します。彼は子供のように声を上げて泣き崩れるのでした。
『太陽を抱く月』第16話の感想
今回のエピソードは、登場人物一人ひとりの心の奥底にある傷や罪悪感が、これでもかとばかりに描かれた回でした。特に印象的だったのは、残酷な真実を知った月とフォンの対比です。愛する兄とミナ王女を守るため、自分がヨヌだと名乗れない月の苦しみ。そして、ついに真実を知り、愛する女性を守れなかった後悔と自責の念から泣き崩れるフォンの姿。どちらの立場もあまりに切なく、胸が張り裂けそうでした。また、自分の欲望のために友を裏切ってしまったミナ王女の罪の意識や、過去の罪に怯えるボギョンの狂気も、物語に深い陰影を与えています。ただの恋愛史劇ではなく、人間の業や運命の皮肉さを鋭く描いた、非常に見ごたえのある内容だったと感じます。
つづく