いよいよ物語が最終章へと突入し、血の嵐が吹き荒れる直前の、息詰まるような空気が漂う第19話。今回は、登場人物たちの悲しみと覚悟が交錯し、破滅へのカウン(ウン)トダウン(ウン)が始まる、まさに神回でした。
黒い同盟と王妃の呪い
ついに、王座を狙う者たちが黒い手を結びます。王の外戚であるユン・デヒョンは、王族の陽明君(ヤンミョングン)を焚きつけ、謀反の密約を交わしました。
その頃、王妃である宝鏡(ポギョン)は、父ユン・デヒョンの企みに薄々感づいていました。王に知らせようとしますが、そこで見てしまったのは、王フォンと巫女ウォル(ヨヌ)が仲睦まじく語らう姿…。嫉妬と絶望に心を焼かれた宝鏡は、王に真実を告げることなく、その場を去るのでした。
宮殿の外では王が巫女に心を奪われている死んだはずのホ・ヨヌが生き返ったという噂が広まり、朝廷は不穏な空気に包まれます。追い詰められた宝鏡は、臨時で国巫の座についたクォン氏を呼びつけ、ヨヌを呪い殺すよう命令。自ら呪いのための人形まで用意する始末です。しかし、ヨヌには彼女を守るチャン氏の強い霊力が働いていました。呪詛は失敗し、逆に何かに取り憑かれたクォン氏はその呪い、いずれお前自身に返ってくるぞ!と宝鏡に不気味な警告を残します。
引き裂かれる真実と忠義の死
ヨヌの兄、ホ・ヨムにも残酷な真実が突きつけられます。彼は、妹ヨヌが生きているかもしれないという知らせと同時に、最愛の妻であるミナ王女が、かつてのヨヌの死に深く関わっていたことを知ってしまいました。裏切りと悲しみに打ちひしがれたヨムは王女を問い詰め、二人の絆は完全に引き裂かれてしまいます。
そんなヨムの命を、ユン・デヒョンが放った刺客が狙います。その刃からヨムを守ったのは、ずっとヨヌを想い、仕えてきた下女の雪(ソル(雪))でした。ヨムの腕の中で息絶える直前、ソル(雪)は最後の力を振り絞って伝えます。お嬢様は…ヨヌお嬢様は、生きています…と。
止まらない悲劇の連鎖
ソル(雪)の死の知らせは、ヨヌの心を深くえぐります。一方、王フォンは祖母である大王大妃の身に危険が迫っていることを予感し、護衛の兵を送りますが、時すでに遅し。ユン・デヒョンの息のかかった者によって、大王大妃は毒殺されてしまいました。
宮殿の最大の権力者を失い、王は完全に孤立無援の状態に。この機を逃さず、ユン・デヒョンと陽明君(ヤンミョングン)は、王が狩りに出る講武日を謀反の決行日と定め、最終準備を進めます。陽明君(ヤンミョングン)は参加者全員に連判状への署名を要求。成功の暁には、ここに名を連ねた者すべてが功臣となると宣言しますが、その真意は別のところにあるようでした…。
王宮に血の嵐が吹き荒れるまで、あとわずか。それぞれの運命が、破局へと向かって突き進んでいきます。
『太陽を抱く月』第19話の感想
今回は、これまで積み重ねられてきた物語の伏線が、悲劇という形で一気に噴出した回でした。特に印象的だったのは、ホ・ヨムが妻の罪を知る場面です。愛する妻が、敬愛する妹を死に追いやった元凶の一人だったという事実は、あまりにも残酷です。彼の絶望と、それでも夫を愛し続けるミナ王女の悲痛な姿に、胸が締め付けられました。また、忠義を貫き、最期に真実を伝えて散っていったソル(雪)の姿には涙を禁じえません。彼女の死が、止まっていた物語の歯車を大きく、そして悲しい音を立てて回し始めました。悪役たちの計画が着々と進む中、最大の庇護者まで失ったフォンとヨヌが、この絶望的な状況からどう立ち向かっていくのか。物語の結末から目が離せません。
つづく