礼童入宮と二つの月
ミナ王女の学友(礼童)として、ついにホ・ヨヌとユン・ポギョンが入宮します。宮殿の前でばったり出くわした二人の間には、早くも気まずい空気が…。ヨヌは過ぎたことは水に流して仲良くしましょうと純粋な笑顔を向けますが、ポギョンは父ユン・デヒョンの宮中では敵にも本心を見せるなという教えを思い出し、作り笑いを浮かべるのでした。この対比が、今後の二人の運命を暗示しているようで、なんとも言えませんね。
一方、大妃ユン氏は張露英(クンム)ノギョンを呼びつけ、ヨヌとポギョンの人相を見るよう命じます。これは表向きは王女の学友選びですが、真の目的はもちろん未来の世子嬪(セジャビン)選び。屏風の裏から二人を観察したノギョンは、一人は王妃の相だが王妃にはなれない。もう一人は王妃の相ではないが王妃になる運命という不吉な予言を口にするのです。
宮中では、ミナ王女が兄ヨムの妹であるヨヌを大層気に入り、あからさまにひいきします。これがポギョンの嫉妬心に火をつけ、彼女の心を静かに蝕んでいくことになります。
蹴鞠とすれ違う密会
その頃、世子フォンはヨヌから贈られた鉢植えの正体が分からず、やきもきしていました。ヨヌが入宮したと知るや、内官のヒョンソンになんとかして会う機会を作ってくれ!と無理難題を押し付けます。そして、そなたが入宮すると聞き、夜も眠れなかったなんていう情熱的な手紙を書き、ヨヌに渡すよう命じるのです。
フォンはヨヌに会う口実を作るため、兄のヤンミョングンを誘って蹴鞠(チュックク)の試合に参加します。そこで、ヤンミョングン、ヨム、そして武科に首席合格したウン(ウン)が親友同士であることを知り、不思議な縁を感じるのでした。
刺繍の最中にフォンからの手紙を見つけたヨヌは、その内容にドキドキ。しかし、その様子をポギョンにしっかりと見られてしまいます。そんな中、フォンの使いであるヒョンソンがヨヌを探しに来ますが、ヨヌはとっさに人違いですと嘘をついて逃げてしまいました。この些細な嘘と勘違いが、とんでもない事態を引き起こします。ヒョンソンはポギョンをヨヌだと誤解し、フォンの待つ場所へと連れて行ってしまうのです。待ち合わせ場所に現れたのがポギョンだと知ったフォンは、驚いてその場を走り去りますが、時すでに遅し。世子様とユン参判の娘が密会していたという噂が、あっという間に宮中に広まってしまいました。
二つの太陽の恋心
この密会騒動は王の耳にも入り、フォンは厳しく叱責されます。そこでフォンはついに私の心にいるのはホ・ヨヌですと告白。時を同じくして、ヤンミョングンも王にヨヌを妻に迎えたいと願い出ていたため、王は二人の息子が同じ女性を愛していることを知り、衝撃を受けます。この恋が政争の火種になることを恐れた王は、フォンにヨヌを諦めるよう諭すのでした。
そして、世子嬪を正式に選ぶため、国中に禁婚令が下されます。
ナレの夜、運命の告白
いよいよ、邪気を払う宮中儀式ナレ(儺礼)の夜がやってきます。儀式の最中、チャン・ノギョンノギョンは神力によってヨヌの墓が見えるという恐ろしい未来を予見し、心の声で逃げなさい!と警告します。その声に導かれるように歩いていたヨヌは、突然、仮面をつけた男に腕を引かれ、人気のない場所へと連れ去られます。
驚くヨヌの前で、男は静かに仮面を外します。その顔は、世子フォンでした。
そなたに会うためだった。私が、この国の世子、イ・フォンだ
フォンが正体を明かした瞬間、夜空に美しい花火が打ち上がります。その光景を、ヤンミョングンは胸が張り裂けるような想いで見つめていました。そして、ヨヌが落としていった長寿を願う縄を、ポギョンが暗い表情で拾い上げるのでした。二つの太陽と二つの月、それぞれの想いと運命が、この夜を境に大きく動き始めたのです。
『太陽を抱く月』第3話の感想
今回のエピソードは、少年少女の純粋な恋心が、大人の権力争いという濁流にいかに翻弄されていくか、その序章を見せつけられた回でした。フォンとヨヌの初々しいやり取りは微笑ましい限りですが、その裏で着々と進む大妃たちの陰謀が、二人の未来に暗い影を落としているのがはっきりと見えます。特に、内官の些細な勘違いが大きなスキャンダルに発展し、政争の道具にされてしまう展開は、宮廷の恐ろしさを象徴していました。また、一途にヨヌを想いながらも、身分や立場のせいで一歩を踏み出せないヤンミョングンの切なさには、思わず感情移入してしまいます。彼の heartbroken な表情は、この物語が単なるラブストーリーではない、深い人間ドラマであることを物語っています。純粋さがかえって登場人物たちを危うい状況に追い込むという皮肉な構図に、胸が締め付けられる思いです。
つづく