ついに世子嬪(セジャビン)に選ばれたヨヌ。しかし、彼女を待ち受けていたのは、輝かしい未来ではなく、あまりにも残酷な運命の始まりでした。

黒い陰謀の主役は、やはり大妃(テビ)ユン氏。彼女は国巫(ククム)チャン・ノギョンに、星宿庁(ソンスチョン)そのものを人質にとるという卑劣な手で、ヨヌに呪いをかけるよう脅迫します。ノギョンは抵抗するも、大勢の巫女たちの命には代えられず、断腸の思いで呪術を行うことを承諾。ただし、すぐには殺めず、数日かけて衰弱させるという条件をつけ、時間を稼ごうとします。突然死では怪しまれると考えた大妃も、これに同意しました。

さらに恐ろしいことに、大妃はこの呪いの儀式に、まだ幼いミナ王女を立ち会わせます。目の前で繰り広げられるおぞましい光景に、ミナ王女は恐怖で震え上がり、悪夢にうなされるようになってしまいました。

呪いの力は絶大でした。ヨヌは原因不明の重い病に倒れ、どんな薬も効きません。日に日に衰弱していくヨヌの姿に、宮殿内では不吉だという声が上がり始めます。これを好機と見た大妃派の重臣たちは、許(ホ)一族にありもしない罪を着せ、ヨヌを世子嬪の座から引きずり下ろすよう王に迫ります。

王はすべてが大妃たちの策略だと見抜いていましたが、病気のヨнуを世子嬪にしておくことはできず、涙をのんで廃位を決定。フォンは、愛するヨヌが罪人のように別宮から追い出されていくのを、ただ見ていることしかできませんでした。国法という大きな壁の前で、世子といえども無力だったのです。

その夜、フォンは護衛のウン(ウン)を連れて密かに宮殿を抜け出し、ヨヌのもとへ駆けつけます。自分の無力さを責め、悲しみにくれるフォンに対し、ヨヌは弱った体で必死に彼を慰めます。あなたのせいではありませんと。その健気な姿が、さらにフォンの胸を締め付けました。

しかし、ヨヌの病状は悪化する一方。もはや人の形を保つのも難しいほど苦しむ娘の姿に、父ホ・ヨンジェは憔悴しきっていました。そんな彼の前に、ノギョンが再び現れ、こう告げます。お嬢様の苦しみを終わらせる方法は、ただ一つ…死しかありませんと。

ノギョンから手渡された薬を手に、父は苦悩します。しかし、これ以上娘が苦しむ姿を見てはいられませんでした。彼は、愛する娘ヨヌをその腕に強く抱きしめ、涙ながらに薬を飲ませるのでした。ヨヌはすべてを悟ったかのように、最後の力を振り絞って父を慰めるのでした。

一方、ヨヌが世子嬪になったと信じ、都を離れて気ままに旅をしていたヤンミョングン。しかし、彼の耳に届いたのは、ヨヌが重病で廃位されたという衝撃の知らせでした。彼は急いで都に駆け戻りますが、そこで目にしたのは、ヨヌの小さな亡骸を納めた棺が、冷たい土の中へと埋められていく、あまりにも悲しい光景だったのでした。

『太陽を抱く月』第5話の感想

この第5話は、物語が大きく動く、あまりにも切なく、そして残酷な回でした。純粋な愛を育んでいたフォンとヨヌが、権力という巨大な力によって無慈悲に引き裂かれる様子は、見ていて胸が張り裂けそうになります。特に、自分の無力さを嘆くフォンと、病に苦しみながらも彼を気遣うヨヌの姿は涙なしには見られません。また、娘の苦しみを終わらせるために、自らの手で薬を飲ませなければならなかった父の心情を思うと、言葉を失います。大妃の底知れぬ悪意と、それに翻弄される人々の悲劇が色濃く描かれ、物語の深みと重さが一気に増したように感じます。登場人物それぞれが抱える痛みと絶望がひしひしと伝わってきて、見終えた後も深い余韻が残りました。

つづく