ついに世子嬪の座を手に入れたユン・ボギョン。彼女は、その座を得るために父がホ・ヨヌを死に追いやったと知り、一瞬だけ罪悪感に苛まれます。しかし、その感傷は、長年の夢だった世子嬪の地位に就くという喜びに、あっという間にかき消されてしまいました。

その頃、誰も知らない場所で、驚くべき計画が実行されていました。国巫チャン・ノギョンは、大妃ユンに呪術で神力を消耗したため、宮殿を離れて身を清めたいと申し出て、密かにヨヌの墓へと向かいます。彼女がヨヌに与えた薬は、実は仮死状態に陥る秘薬だったのです。全ては、ヨヌの命を陰謀から守るための、ノギョンの苦肉の策でした。

ノギョンが土を掘り返すと、棺の中で息を吹き返したヨヌが現れます。しかし、過酷な体験の末に、彼女は過去の記憶をすべて失っていました。そこに、ヨヌの身を案じて墓を訪れた侍女のソル(雪)が偶然通りかかります。生きている主人を目の当たりにしたソル(雪)は、生涯をかけて彼女を守ることを誓い、ノギョンと共に行くことを決意するのでした。

一方、宮殿では、ヨヌの死に打ちひしがれる世子フォンがいました。そこへ旅先から駆けつけた陽明君(ヤンミョングン)が、怒りに燃えてフォンを激しく詰ります。なぜ守ってやれなかった!私なら命に代えてもヨヌを守った!と叫ぶ陽明君(ヤンミョングン)。この時フォンは初めて、兄もまたヨヌを深く愛していたという事実に気づき、呆然とするしかありませんでした。

やがて、フォンとボギョンの婚礼の儀が執り行われます。しかし、フォンの心は冷え切ったまま。彼の瞳には、愛するヨヌの面影しか映っていませんでした。

そして、8年の歳月が流れます。

若き王となったフォンは、いまだに初恋の少女ヨヌを忘れられずにいました。朝廷は、大王大妃となったユン氏とその一派が牛耳っており、フォンは孤独な戦いを強いられています。王妃となったボギョンもまた、フォンの心を決して得ることはできず、同衾さえも拒まれ、満たされない日々を送っていました。

ヨヌの兄ホ・ヨムは、ミナ公主と結婚し、王の義兄(駙馬)となっていました。駙馬は政治に関われないという制約のため、彼の類まれな才能は生かされずにいます。しかし炎は、この結婚がなければ、ヨヌの死によって一族が罪人として滅ぼされていたかもしれない、公主が家族を救ってくれたのだ、と静かに語るのでした。

雨の降る夜、フォンはただ一人心を許す護衛官ウン(ウン)に、ヨヌへの尽きない想いを吐露します。

その頃、人里離れた場所で、ノギョンは天を見上げていました。彼女の傍らには、記憶を失いウォルという名で巫女として生きるヨヌ、ソル(雪)、そして神力を持つ少女チャンシルの姿が。ノギョンは、星の動きから、決して逃れることのできない運命の歯車が、再び大きく動き出そうとしていることを悟るのでした。

『太陽を抱く月』第6話の感想

少年少女時代の悲恋に一区切りがつき、8年後の世界へと舞台が移る、まさに物語の転換点となる回でした。前半は、愛する人を失ったフォンと陽明君(ヤンミョングン)の悲痛な叫びが胸に迫ります。特に、これまで穏やかだった陽明君(ヤンミョングン)がフォンに激しい怒りをぶつける場面は、彼のヨヌへの想いの深さを物語っており、非常に印象的です。

そして後半、8年の歳月が流れても、フォンのヨヌへの想いは少しも色褪せていないことに心を打たれます。王という重責を背負いながらも、彼の心は初恋の少女に囚われたまま。その一途さが、この物語の切なさを一層際立たせています。一方で、王妃となりながらも決して愛されることのないボギョンの孤独もまた、深く描かれていました。記憶を失ったヨヌが、これから巫女として、どのような形でフォンの前に現れるのか。登場人物それぞれが抱える痛みと変わらぬ想いが交錯し、今後の運命的な再会を予感させる、重厚なエピソードでした。

つづく