原因不明の病に倒れた王、フォン。どんな名医も首をひねるばかりの状況に、ついに祖母である大王大妃が動きます。彼女が白羽の矢を立てたのは、かつて宮廷を去った稀代の巫女、チャン・ノギョン。しかし、ノギョンがそう簡単にもどってくるはずもありません。

業を煮やした大王大妃の側近は、なんとノギョンの娘と勘違いしてヨヌを力づくで拉致!愛するヨヌを人質に取られては、ノギョンも都へ向かうしかありませんでした。こうして、巫女ウォルと名を変えたヨヌは、ソル(雪)やチャンシルと共に、再びあの運命の場所、都へと足を踏み入れることになります。

その頃、病床のフォンが想い描いていたのは、ただ一人。かつてヨヌの面影を重ね、ウォル(月)と名付けたあの巫女でした。すぐに腹心のウン(ウン)に捜索を命じますが、時すでに遅く、彼女たちが暮らしていた小屋はもぬけの殻…。すれ違う運命がもどかしいですね。

一方で、宮殿の別の場所では、微笑ましい(?)夫婦の姿が。ヨヌの兄ヨムに嫁いだミナ王女は、早く夫婦の契りを交わしたいのに、夫のヨムが全く相手にしてくれないとおかんむり。ヨムからすれば、感謝はしているものの、いつまでも無邪気なミナ王女は妹のようで、とてもそんな気にはなれないのでした。この二人の関係も、物語の重要な鍵を握っていくことになります。

さて、都に戻ったノギョンとヨヌを待ち受けていたのは、あまりにも過酷な運命でした。大王大妃の息のかかった巫女が、ウォル(ヨヌ)を『人間呪符』として王の寝所に置き、王の邪気を吸い取らせるという恐ろしい策を進言したのです。もちろん、大王大妃はこれを許可。

そうとは知らず、夜、フォンの寝所へと運ばれるヨヌ。そこに横たわる王の顔に見覚えはないはずなのに、なぜか心が揺さぶられます。悪夢にうなされるフォンの額を、記憶の奥底にある愛情に導かれるかのように、そっと撫でるヨヌ。薬湯で深く眠っているはずのフォンも、その温かい気配を確かに感じ取り、翌朝には心が安らぎ、気力がみなぎるのでした。

人間呪符の効果てきめんに喜んだ大王大妃は、褒美を与えるためにヨヌに会おうとします。正体がバレれば万事休す!ノギョンは咄嗟の機転で自分が星宿庁の国巫の座に戻る人間呪符は王の厄を吸い取りすぎており、謁見は不吉と進言し、なんとかその場を切り抜けます。ノギョンの肝の据わり方、さすがです。

体調が回復したフォンは、ただ病が癒えたわけではありませんでした。宮廷の外戚、ユン・デヒョン一派が密かに武器を製造し、謀反を企てていることに気づいていたのです。しかし、まだ彼らに対抗する力がないフォンは、静観を貫きます。ユン・デヒョンたちの狙いは、フォンと正室の間に世継ぎが生まれた後、フォンを亡き者にして権力を掌握すること。水面下で、恐ろしい計画が着々と進んでいたのです。

そして、物語は衝撃のラストへ。毎夜自分のそばに誰かがいる気配を感じていたフォンは、その正体を突き止めるため、ある行動に出ます。差し出された薬湯を、わざと吐き出したのです。今宵、意識ある王の前で、ウォル(ヨヌ)の運命はどうなるのでしょうか。

『太陽を抱く月』第8話の感想

記憶を失ってもなお、魂が互いを求め合う。第8話は、そんなフォンとヨヌの切ない繋がりが胸を打つ回でした。人間呪符というあまりに酷い形で再会しながらも、ヨヌの無意識の優しさがフォンを癒していく場面は、この物語の核心を象徴しているようです。彼女の存在そのものが、フォンにとっての唯一の薬なのだと示されているようで、見ていて胸が締め付けられました。一方で、娘同然のヨヌを危険な渦中に置かざるを得ないノギョンの苦悩と覚悟、そして着々と進むユン・デヒョンたちの謀反の計画が、甘く切ないだけの物語ではない、重厚な緊張感を生み出しています。ただの恋愛ドラマに終わらない、運命と陰謀が複雑に絡み合う本作の奥深さを改めて感じさせられました。

つづく