今回は『秘密の扉』第13話、息をすることすら忘れてしまうほどの衝撃的な回でしたね。父と子の絆が、これでもかと引き裂かれていく様は、まさに圧巻の一言。さっそく、血と涙に濡れた第13話の世界に飛び込んでいきましょう!

父子の涙と、埋められない溝

ついに父王ヨンジョに盟約(メンイ)の真実を突きつけた世子イ・ソン。兄である景宗(キョンジョン)の死に関与したという秘密が記された文書を手に、そこに書かれていることは真実なのですか?と問い詰めます。

問い詰められたヨンジョは、怒りに震えながらも涙を浮かべて叫びます。『どれほどお辛かったのですか?殺すと脅されたのですか?』…もしお前が私の息子なら、そう聞くべきだ!。王である前に、一人の人間として抱えてきた恐怖と孤独。その悲痛な叫びに、イ・ソンはハッとさせられます。王の弟という立場で王位に就いた父の苦悩を、正統な後継者である自分は理解しようともしなかった。イ・ソンは涙ながらに膝をつき、許しを請います。

父子の心が通い合ったかに見えた、ほんの束の間。イ・ソンは真実を民に公表し、裁きを明らかにすべきですと、あまりにも純粋な理想を口にしてしまいます。その言葉が、ヨンジョの中に燻っていた猜疑心と恐怖に再び火をつけました。民が真実を知れば、自分は王座から引きずり下ろされる――。ヨンジョはイ・ソンの理想を一笑に付し、父を守りたければ、陰謀を企てる者たちを自らの手で殺せと冷酷に言い放ちます。

信じていた父からの非情な言葉に、イ・ソンの瞳からは怒りと絶望の涙がこぼれ落ちるのでした。

吹き荒れる粛清の嵐

その夜、ヨンジョが兄を殺したという噂が再び国中に広まり、新たな謀反の動きがあるとの報告が。ヨンジョはこれを少論(ソロン)派による新たな反乱と断定し、狂気的な笑い声を上げます。

緊急の朝議を招集したヨンジョは、噂の元凶となった禁書の出版に関わった者すべてを逮捕せよと厳命。過激な少論派のシン・チウンが首謀者は私だと名乗り出ますが、ヨンジョはこれを口実に、朝廷にいた少論派の重臣たちを次々と逮捕。師であるパク・ムンスまでもが捕らえられてしまいます。

粛清の嵐は宮殿の外にも吹き荒れ、町中の貸本業者たちが無差別に連行されていきました。その中には、ソ・ジダムの父の姿も。父が縄で引かれていくのを見て泣き叫ぶジダム。そこに駆けつけたイ・ソンでしたが、なすすべもありません。父を助けてくださいますよね?と涙ながらに懇願するジダムに、イ・ソンは必ずお父上を君の元へ返すと約束するのでした。

引き裂かれる忠臣、ヘギョングンの機転

ジダムとの約束を果たすため、父ヨンジョに再考を懇願するイ・ソン。しかし、ヨンジョは聞く耳を持ちません。それどころか、キム・テクの讒言(ざんげん)と、イ・ソンがジダムの父の逮捕直後に彼女の家へ向かったという報告を受け、息子が私の背中に刀を突き立てたというのか?と、イ・ソンへの疑いを深めていきます。

ついにイ・ソンは、謀反の疑いで軟禁されてしまいます。さらにヨンジョは、イ・ソンの腹心であるチェ補佐官を呼び出し、世子の命を助けたければ、今日から私の人間になれと脅迫。苦渋の末、チェ補佐官はヨンジョに忠誠を誓い、イ・ソンに王こそが真実であり、世子様は偽りですと偽りの決別を告げるのでした。信じる者に次々と裏切られ、イ・ソンは孤独の淵に突き落とされます。

その頃、イ・ソンが軟禁されている東宮殿を、妻のヘギョングンが息子を連れて訪れます。しかし、そこにイ・ソンの姿はありません。彼は内官と服を取り替え、宮殿を脱出していたのです。衛兵が不審に思い近づいてきたその時、ヘギョングンは機転を利かせ、まるでイ・ソンがそこにいるかのように息子に話しかけ、その場を切り抜けるのでした。彼女の聡明さと夫への深い愛情が光る名場面です。

血に染まった王、最後の対決

宮殿を脱出したイ・ソンは、ミン・ウソプの協力を得て、キム・テクが隠し持つ盟約の原本を探します。そしてついに、宮殿の書庫で、古書の中に隠された本物の盟約を発見します!

しかし、その間にも、宮殿では地獄絵図が繰り広げられていました。軍服に身を包み、自ら剣を抜いたヨンジョは、捕らえた者たちへの拷問を始めます。シン・チウンは胸を焼かれて絶命。仲間たちが次々と惨殺されていくのを目の前で見せつけられたジダムの父は、ついに叫びます。こんな王に仕えるお前たちは狂っている!これは王ではない!。

その言葉に激昂したヨンジョは、自らの剣でジダムの父を斬り殺してしまいます。返り血を浴び、狂気の王と化した父。

すべての拷問が終わり、死体の山が転がる中、イ・ソンが盟約の原本を手に駆けつけます。今すぐおやめください!さもなくば、この盟約を壁に貼り、万民の前に公開します!。

血に染まった父王と、最後の切り札を握る息子。二人は、廷臣たちが見守る中、法廷の真ん中で睨み合うのでした。

『秘密の扉』第13話の感想

今回のエピソードは、登場人物たちの感情が極限まで高まり、物語が大きく動いた回でした。特に印象的だったのは、ヨンジョの狂気と孤独の描写です。王という立場が彼を追い詰め、息子であるイ・ソンの純粋さすら脅威に感じてしまう。その恐怖が、彼を残酷な粛清へと駆り立てていく過程は、見ていて胸が締め付けられるようでした。一方で、父を理解しようと涙しながらも、決して理想を曲げないイ・ソンの姿もまた、痛々しくも気高いものでした。そして、夫の危機を救うヘギョングンの聡明な機転は、この重苦しい物語の中の一筋の光のように感じられました。忠臣であったチェ補佐官が苦渋の決断を迫られる場面も、権力の前では人の絆がいかにもろいかを突きつけられ、深く考えさせられるものがありました。父子の対立はもはや修復不可能な段階に至り、物語は悲劇的な結末へと加速していきます。

つづく