今回の『秘密の扉』第15話は、息もつかせぬ展開の連続でしたね!父である王、ヨンジョから突きつけられたのは、あまりにも過酷なミッション。清国の使節団を説得し、戦争を回避せよ、と。成功すれば摂政の座に返り咲けるものの、失敗すれば未来永劫、政治の世界から追放されるという、まさに崖っぷちの条件です。

しかし、我らが世子イ・ソンは、この無謀とも思える挑戦を真正面から受け止めます。彼の義父は真っ青になりますが、ソン自身は落ち着いたもの。それもそのはず、彼はこの3年間、ただ無為に過ごしていたわけではなかったのです。密かに世界の政治や文化、軍事戦略について学び、知識という武器を蓄えていました。彼の腹心であるチェ補佐官も、その覚悟と準備を知り、再びソンの力になることを決意します。この二人の再会シーンは、胸が熱くなりましたね。

そんな中、ソンと正室ヘギョングンの関係にも、これまでとは違う空気が流れます。弓の練習をするソンのもとを訪れたヘギョングン。ソンが彼女に弓の引き方を教えるシーンは、不器用ながらも夫婦の距離が縮まるのを感じさせる、印象的な場面でした。ソンが自分の腕でヘギョングンを包み込むようにして弓を引かせると、彼女は戸惑いながらも、その近さに頬を染めます。しかし、彼女の瞳に浮かんだ涙は、夫の身を案じる心からのものでした。それでもソンは、民のために自分が立ち上がらなければならないと、彼女に理解を求めます。

物語が大きく動いたのは、3年前に姿を消したソ・ジダムの存在が、再び明るみに出たことでした。元捕校のピョンによって居場所を突き止められたジダムは、逮捕される寸前に。その知らせを受けたソンは、老論派との宴席を抜け出し、危険を顧みず彼女を救出します。

この一連の出来事は、すぐにヘギョングンの耳にも入りました。夫が自分以外の女性のために危険を冒した。その事実に彼女が何を思うのか、見ているこちらも固唾を飲んで見守りました。しかし、彼女の決断は、私たちの想像をはるかに超えるものでした。ソンから、ジダムは守るべき自分の民なのだと、苦しい胸の内を明かされたヘギョングン。民のためなら家族をも危険に晒す男を理解したくはない。でも…その心に、私は負けてあげたい。そう言って、彼女はジダムをピングンという名の女官として、自身の宮殿に受け入れることを決意したのです。

一方で、このジダム発見騒動自体が、謎の男チョルチュの仕掛けた罠だったことも判明します。彼の目的は、ジダムを宮殿に潜り込ませ、ソンと老論派を対立させること。敵の敵は味方とばかりに、老論派の重鎮キム・テクにまで接触するチョルチュの暗躍が、物語をさらに複雑にしていきます。

そして迎えた、清国との交渉の日。ソンは和平の証として最高級の高麗人参を贈ろうとしますが、キム・テクの策略により、使節の目の前で披露された人参は、見るも無残に腐っていました。激怒する使節、愕然とするソン。交渉は決裂し、ソンは最大の窮地に立たされることになったのです。

『秘密の扉』第15話の感想

今回のエピソードで最も心に残ったのは、間違いなくヘギョングンの変化と決断でした。これまで彼女は、自身の家門と政治的な立場を第一に考える、冷静で計算高い女性として描かれてきました。しかし、夫であるソンが民を思う純粋な心と、そのために全てを懸ける覚悟を目の当たりにし、彼女の中の何かが大きく動いたのでしょう。あなたの民を思う心に、私は負けてあげたいという台詞は、彼女がソンの理想を理解し、妻として、そして未来の国母として、彼を支える覚悟を決めた瞬間でした。危険人物であるジダムを自らの宮殿に受け入れるという行為は、政治的なリスクを考えればあまりにも無謀です。しかし、それ以上に夫の信念を守ることを選んだ彼女の姿は、これまでの印象を覆す、人間味あふれるものでした。この決断が、今後の彼女とソンの関係、そして宮廷の勢力図にどのような影響を与えていくのか、目が離せません。

つづく