いやあ、今回の『秘密の扉』第17話は、物語が大きく動きましたね!イ・ソン(世子)が真の君主として覚醒する、まさに神回と言ってもいいんじゃないでしょうか。それでは早速、あらすじとネタバレを見ていきましょう!
代理聴政、再開!しかし父の壁は厚く…
3年ぶりに代理聴政を再開したイ・ソン。父である王・英祖は、弓場で稽古をつけながらお前を全面的に支援すると優しい言葉をかけます。しかし、その実態は人事権を自分が握ることで、イ・ソンの政治を裏から操ろうという腹づもり。まさに老獪な王のやり方です。
イ・ソンは最初の朝議で党派の利益ではなく、民のために働く者だけが生き残ると宣言し、臣下たちを牽制します。しかし、羅州掛書事件の連坐制廃止を巡る議論では、老論派との全面対決を避けるため、時期尚早として議題を退けてしまいました。この決断には、腹心のパク・ムンスも民心を失いますぞと失望を隠せません。イ・ソンは戦争ではなく政治がしたいと英祖に訴えますが、理想と現実の狭間で苦しんでいる様子が伝わってきます。
一方、東宮殿ではソ・ジダムがピンチに!恵慶宮に正体を探られ、ヒヤリとする場面もありましたが、イ・ソンとジダムの機転でなんとか切り抜けました。でも、いつバレるか分からない、まさに薄氷を踏む毎日ですね。
一人の青年の夢が、世子を変える
そんな中、物語を大きく動かす事件が起こります。イ・ソン付きの内官の弟、チャン・ドンギという青年が、科挙の替え玉受験(巨擘)で逮捕されてしまうのです。
ドンギは、賤民の生まれで才能がありながらも、科挙を受けることすら許されない身の上でした。彼はイ・ソンにこう訴えます。官服を着て、世の役に立ちたかった。私のような者には、そんな夢を見ることも許されないのですか?と。
この言葉に、イ・ソンは雷に打たれたような衝撃を受けます。自分が権力闘争に明け暮れ、本当に救うべき民の夢や苦しみから目をそらしていたことに気づいたのです。
覚醒したイ・ソンは、ドンギに約束します。君が自分の名前で科挙を受けられる道を一緒に探そう。道がないなら、今から作ればいい。
通清閏許!国を揺るがす決断
イ・ソンはすぐに行動を起こします。パク・ムンスに支持を取り付けると、朝議で衝撃的な宣言をしました。
来月の科挙より、賤民を除くすべての良人(ヤンイン)に受験資格を与える!
これは通清閏許(トンチョンユンホ)と呼ばれる、国の根幹を揺るがす大改革。当然、両班である臣下たちは国の秩序が乱れる!と猛反対します。しかし、イ・ソンは既得権益を守るための言い訳だと一蹴し、決定を覆しません。
この報はすぐに民衆に広まり、釈放されたドンギは歓喜の涙を流します。
父子の最終対決へ
しかし、この大胆な改革が、父・英祖の逆鱗に触れないはずがありません。激怒した英祖はイ・ソンを呼びつけます。
身分秩序を壊せば、王室の権威も失われるのだぞ!
英祖の叱責に対し、イ・ソンは静かに、しかし力強く言い放ちます。
両班を盾にしなければ存続できない王室ならば、生き残る価値はありません
息子の口から出た、王室の存在そのものを否定しかねない言葉。英祖は王室が滅びても構わないと言うのか…?と、愕然とするのでした。
父と子の理念の対立は、ついに決定的な局面を迎えてしまいました。
『秘密の扉』第17話の感想
今回のエピソードは、イ・ソンが真の指導者として覚醒する過程が見事に描かれていました。前半は父・英祖との権力ゲームや臣下との駆け引きが続き、政治の複雑さや難しさを感じさせましたが、チャン・ドンギという一人の青年の純粋な夢に触れたことで、物語の空気が一変しました。権力闘争というミクロな視点から、国のあり方や民の生き方というマクロなテーマへと一気に昇華していく展開には、心を揺さぶられました。特に、イ・ソンの無謀とも思える決断に対し、パク・ムンスが一度だけ、あなたと共に狂ってみましょうと応じる場面は、理想を追い求める者の孤独と、それを支える忠臣の絆が凝縮された名シーンだと感じます。父・英祖との最後の対決は、単なる親子の諍いではなく、古い価値観と新しい時代の理念が激突する、このドラマの核心を突くものでした。
つづく