親友シン・フンボクの死の真相に迫っていた世子イ・ソンでしたが、事態はとんでもない方向へ転がり始めます。なんと、師であるパク・ムンスからフンボクの遺体を井戸に捨てたのは私だという衝撃の告白を聞かされるのです。ソンがその言葉の意味を理解する間もなく、役人たちがなだれ込み、今度はソン自身が殺人容疑で逮捕されてしまいました。
父である王ヨンジョが自ら主宰する尋問の場で、ソンは厳しい追及を受けます。なぜ死んだ男の家に行ったのかと問われ、ソンはフンボク殺しの黒幕を追っていたと正直に答えます。そして、その黒幕は誰かとヨンジョに詰め寄られると、ソンの頭の中では恐ろしい光景が繰り広げられました。
(ここからソンの想像シーン)ソンは立ち上がり、居並ぶ重臣たちの中からキム・テクを指さし、犯人はお前だ!と告発します。しかし、ヨンジョが動機を問うと、今度はソンは父である王に向き直り、ならば父上なのですか?と問い詰めるのです。フンボクが書き写した秘密文書盟約を突きつけられ、ヨンジョはなすすべなく崩れ落ちるのでした…。
ハッと我に返ったソン。あまりに危険すぎる真実を口にすることをためらい、答えられないと口を閉ざしてしまいます。その態度に激怒したヨンジョは、現場から見つかったソンの短刀を証拠として突きつけ、なんと実の息子であるソンを牢獄へ送るよう命じるのです。父の非情な命令に、ソンはキム・テクを睨みつけることしかできませんでした。
牢獄に入れられたソンは、フンボクが残した盟約の写しを改めて読み解きます。そこには、キム・テクをはじめとする老論(ノロン)派の重臣たちが、ヨンジョを王位に就けるために交わした誓いが記されていました。ソンは、父がこの陰謀を知っていたのか、という底知れぬ疑念に苛まれます。
一方、ソンの師パク・ムンスは、各方面から板挟み状態に。ヨンジョからは息子を助けたければ盟約を渡せと脅され、さらには無実のチョルチュを犯人に仕立て上げろとまで命じられます。老論派だけでなく、味方であるはずの少論(ソロン)派からも盟約を狙われ、まさに八方塞がり。
そんな中、事態を打開しようと動いたのは、ソンの妻ヘギョングンでした。彼女はなんと、事件の鍵を握るソ・ジダムを誘拐同然の方法で保護していたのです。そして、まだ幼い息子イ・サン(後の正祖)を連れ、王宮の中庭でひざまずき、夫の再審をヨンジョに涙ながらに訴え始めます。
王の孫と私は、ここを墓場とします!
ヘギョングンの悲痛な叫びが王宮に響き渡る中、ソンは彼女とジダムの身を案じます。証拠不十分でジダムが罰せられる危険性を考え、焦りを隠せません。妻の覚悟、父の狂気、そして敵の陰謀が渦巻く中、ソンは絶体絶命の窮地から抜け出すことができるのでしょうか。
『秘密の扉』第9話の感想
今回は、各キャラクターの思惑が激しくぶつかり合い、物語が大きく動いた回でした。特に印象的だったのは、これまで気丈ながらも一歩引いていたヘギョングンの変貌です。夫を救うため、そして自らの未来を守るために、ジダムを保護し、幼い息子を連れて王に直訴するという大胆な行動には驚かされました。彼女の内に秘めた強い意志と覚悟が表に出てきた瞬間であり、今後の展開の鍵を握る人物になることを予感させます。
また、ヨンジョ王の父親としての苦悩と、権力者としての非情さが入り混じった狂気には、見ていて胸が苦しくなりました。息子を救いたい気持ちと、王座を守るためなら息子すら駒として使う冷徹さ。その二面性が、この親子の悲劇をより一層深くしています。イ・ソン、パク・ムンス、キム・テク、そしてヘギョングン、それぞれの正義と立場が複雑に絡み合い、誰が敵で誰が味方なのか、一筋縄ではいかない重厚な人間ドラマが繰り広げられました。
つづく