あらすじとネタバレ

息子の死と母との取引

ミンジェが死んだ。あの事件現場は、スヨルにとってただの現場じゃなかった。罪悪感が彼の肩に重くのしかかる。もう後がない。彼は決心した。連続殺人犯である母親、イシンの力を借りる。彼女のように考え、彼女のように行動する。その代償に、事件解決への協力を取り付ける。イシンは興奮を隠さない。息子が自分を必要としている。歪んだ形でも、彼女にとっては息子が自分を受け入れた証だからだ。

一方、ジョンホは迷っていた。イシンに協力することが、本当に正しいことなのか。妻は彼に言う。感情で物事を複雑にしちゃダメと。その一言が、彼の心をさらにかき乱す。

模倣犯、まさかの失態

イシンは模倣犯に揺さぶりをかける。電話口で、ミンジェの殺害現場がいかに雑だったかをあざ笑うように指摘した。挑発に乗った模倣犯は、自分のやり方を見せつけようとビデオ通話をかけてくる。これが大失敗だった。画面に映った犯行準備の様子から、ジアンがホテルの場所を特定する。警察は現場へ急行。イシンには、犯行を遅らせるための時間稼ぎという重要な役目が与えられた。

ホテルでの攻防、チームの亀裂

ホテルに着いたはいいが、10フロアもある。時間は刻一刻と過ぎていく。ナヒは焦っていた。非常ベルを鳴らして被害者を助け、逃げようとする犯人を捕まえようと提案する。だが、スヨルは首を縦に振らない。犯人を刺激して逃したくない。たとえ、そのせいで被害者が死ぬことになったとしても。

一部屋ずつ調べていくのは時間がかかりすぎる。その時、スヨルの脳裏にイシンの言葉が蘇る。彼女が起こした4番目の事件。部屋番号は418。まさかと思って確認すると、4階の監視カメラだけが止められていた。当たりだ。

しかし、模倣犯が被害者に手をかけようとした、まさにその瞬間。ナヒはためらわなかった。彼女は非常ベルのボタンを押す。混乱の中、犯人は客を装い、まんまと逃げおおせた。

ナヒはスヨルへの疑いを深める。なぜあれほどミンジェを救おうとした男が、被害者の命を危険に晒してまで犯人逮捕にこだわったのか。彼女はソンギュに、スヨルの身辺を洗うよう指示した。

犯人の正体、衝撃の過去

スヨルは後悔していた。イシンのように考えた結果、ソン課長を危険に晒してしまった。だが、イシンはそんなこと気にも留めない。彼女が注目したのは、ビデオ通話で犯人が口ずさんでいた歌。それは、誰にも知られていないはずの、彼女自身の歌だった。

さらにイシンは衝撃の事実を明かす。4番目の被害者カン・ヨンホの遺体には、自分がつけた傷以外に、もう2つ、浅い傷があったと。まるで子供がつけたような傷。スヨルは思い出す。被害者の息子、ヨンジュン。父親から虐待され、鼻を焼かれた少年だ。イシンによれば、その子は死んだ動物を持ち歩き、彼女をお母さんと呼んでいたという。

回想シーンがすべてを物語る。少年ヨンジュンは物陰に隠れ、イシンが歌いながら自分の父親を殺すのを、嬉しそうに見ていた。

警察はヨンジュンの行方を追うが、まるで神隠しにあったかのように見つからない。一方、ソン課長の友人から新たな情報が入る。ジョイと名乗る人物と関係を持ったソン課長が、私を殺してと言われて気味悪がっていたらしい。

ナヒとスヨルは、認知症を患うヨンジュンの母親を訪ねる。母親は言う。あの子は女の格好をして、たった今出ていったよ。看護師もそれを裏付ける。警察は、ヨンジュン、つまりジョイが、トランスジェンダー女性であると断定。捜査は新たな局面を迎える。

暴かれた秘密、スヨルの孤立

チームが犯人像の特定に追われる中、ソンギュがミンジェの部屋で一枚の写真を見つける。スヨルが班に戻ると、仲間たちの冷たい視線が突き刺さる。写真には、ミンジェ、イシン、そして幼いスヨルが写っていた。

ソンギュは吐き捨てる。お前も母親と同じだ。ナヒは怒りに震えていた。また嘘をつかれた。ジョンホが間に入ろうとするが、ナヒはスヨルに最後通告を突きつける。あなたか、この班か、選びなさい。

その夜、スヨルは妻のジョンヨンにもすべてを打ち明けた。自分の母親が、あの連続殺人犯イシンであることを。ジョンヨンは言葉を失う。スヨルは、彼女が自分を恐れているのだと誤解した。彼自身、自分を恐れていた。イシンの殺人衝動が遺伝するかもしれない。だから子供は欲しくない。そう告げると、彼は愛してるという言葉を残して家を出て行った。

第6話の感想

いやあ、今回はマジで息が詰まる回だったな。スヨルの周りから、どんどん味方がいなくなっていく。母親と協力すればするほど、彼は社会的に孤立していくんだ。皮肉なもんだよな。正義のために悪魔と手を組んだつもりが、自分自身が悪魔だと指をさされることになるなんて。

模倣犯の正体にもゾッとした。ただの模倣じゃなくて、イシンの殺人に深く関わっていたなんて。虐待されていた子供が、自分を虐待する親が殺されるのを見て喜ぶ。そして、その殺人鬼をお母さんと呼ぶ。この背景の重さよ。単純なサイコパスとして片付けられない、根深い闇を感じる。

ナヒの行動も考えさせられたな。彼女の正義感は正しい。被害者を救うのが警察の仕事だ。でも、そのせいで犯人を逃したのも事実。どっちが正解だったのかなんて、誰にも言えないよな。この対立が、チームを完全に壊してしまった。

そして最後の暴露シーン。写真一枚で、スヨルが築き上げてきたすべてが崩れ去る。仲間からの拒絶、そして妻の戸惑い。彼が一番恐れていたことが現実になった瞬間だった。これからスヨルはどうなっちまうんだ。完全に一人ぼっちじゃないか。スリリングな展開と、登場人物たちの心がえぐられるような心理描写が、本当に見事な回だった。

つづく