あらすじ(ネタバレあり)

第3話は、いきなり15年前の過去から始まる。シン社長がガラス張りの牢獄にいる男になぜやったと詰め寄るシーンだ。この男、ユン・ドンヒが後々、シン社長の人生を狂わせた元凶だとわかる。

場面は現在に戻る。肥料工場のせいで兄や村の年寄りが死んだと信じるイ・サンヒョンが、爆弾を手に倉庫に立てこもる。シン社長は、彼を説得して倉庫の中へ入ることに成功する。警察が現場を包囲する緊迫した状況で、シン社長は交渉役としてまず食料を要求するんだ。この度胸が普通じゃない。

コーヒーを注文するフリをして、フィリップたち仲間にキャサリンという暗号を送る。ここからチームプレーが始まる。フィリップたちは裏で事件を調べ、市長が肥料会社から賄賂を受け取っていた証拠を掴む。大手柄だ!

サンヒョンの要求は、金じゃない。政府が非を認め、謝罪すること。でも、役人たちは取り合わない。交渉は行き詰まる。

シン社長は最後の賭けに出る。警察のヨンスに、自分が合図なしに交渉から戻らなかったら、停電させるよう頼む。そしてシン社長は戻らない。計画通り停電が実行される。直後、市長を連れてシン社長が出てくるが、サンヒョンは中に残ったままだ。シン社長が彼を助けに戻ろうとした瞬間、倉庫は大爆発する。

でも、これは全部シン社長が仕組んだ芝居だった。彼は停電の混乱に乗じて、チェ・チョルにサンヒョンを裏から逃がさせていたんだ。サンヒョンは母親と再会し、マダム・ジュが用意した偽造パスポートで海外へ逃げる。法で裁けない悪を、シン社長は自分のやり方で裁き、被害者を救ったわけだ。

じゃあ、なぜシン社長はここまでやるのか。その理由が、彼の悲しい過去で明らかになる。昔、彼は凄腕の交渉人だった。ある人質事件の交渉中、別の場所で自分の息子が通り魔に襲われていた。犯人は、冒頭に出てきたユン・ドンヒ。交渉のせいで息子のそばにいられなかったシン社長は、妻に激しく責められる。この事件が、彼をチキン店の店長にしたんだ。

事件は一件落着したように見えたけど、チキン店の外からシン社長を監視する怪しい男の影が。まだ何も終わっていないことを予感させる。

感想

今回の話で、シン社長のキャラクターが一気に深まったね。ただの変わり者のチキン屋の店長じゃなかった。元々は国のために働くほどの凄腕交渉人で、でもその仕事が原因で最愛の息子を失うっていう、とんでもなく重い過去を背負っていた。人質事件の交渉中に自分の息子が殺されるなんて、想像するだけで胸が張り裂けそうだ。彼が法だけを信じなくなった理由が、痛いほど伝わってきたよ。

チームの連携プレーも見ていて楽しかった。特にフィリップ。最初は堅物で融通の利かない判事だったけど、シン社長と関わるうちに、法だけでは救えない現実を知っていく。今回、市長の汚職の証拠を掴んだのは彼の大手柄だ。シオンやチェ・チョル、キム・スドン、そして謎多きマダム・ジュ。それぞれの得意分野を活かしてシン社長を支える姿は、見ていて頼もしかった。

犯人を捕まえるだけが正義じゃないっていうメッセージも、このエピソードの核心だと思う。シン社長は、法が見捨てたサンヒョンを、自分のやり方で救い出した。最後に警察のヨンスが、逃亡したサンヒョン親子の写真を見て静かに微笑むシーンは、このドラマが描きたい本当の正義とは何かを象徴しているようだった。

つづく