第8話のネタバレ
工場との別れ、そして家族との時間
ついにキム・ナクスが工場を去る時が来た。荷物をまとめて出ていくナクスを、ジュヨンが見送りに来た。彼女はナクスに感謝を伝えた。ナクスのおかげで、工場で働くみんなが1年間は仕事を続けられる。次の準備をする時間ができたんだ。ナクスは自分を犠牲にした。それでも工場の仲間を守った。立派な仕事だったよな。
去り際にナクスは自分の名刺を渡す。営業チーム長じゃない。ただのキム・ナクスとしての名刺だ。二人は敬意を込めて握手をして別れた。ナクスが車で工場を出るとき、他の作業員たちもみんな出てきて彼に別れを告げた。こうしてキム・ナクスはACT社を完全に去った。新しい道に進む準備はできた。
家に帰ったナクスの態度は、前とは全然違った。妻ハジンの作った食事に文句を言うどころか、感謝するようになったんだ。息子のスギョムは、詐欺師が捕まったことを報告した。親父に借金を肩代わりしてもらう気はないらしい。スギョムは自分で必死に働いて、ローンを返済するつもりだ。親父から簡単にお金をもらいたくない。そういうプライドがあるんだよな。
スギョムとハンナのすれ違い
ただ、ハンナの考えは違った。彼女はスギョムに、父親からのお金を受け取るべきだと言った。借金のこと、誰のせいなのか。二人の意見はぶつかり合う。スギョムが、ジョンファンを紹介したハンナのせいだ、みたいなことを言ってしまう。これにはハンナもカチンときた。彼女はスギョムにお金を投げつけ、謝罪の言葉を口にして、彼を突き飛ばして去っていった。
ナクスはハジンの不動産会社への面接に付き添ったりして、忙しく過ごしていた。その夜、昔の同僚サンチョルに会う約束もした。
プライドが邪魔する再就職活動
サンチョルとの再会は、かなり気まずい雰囲気だった。サンチョルは言った。ナクスほどの営業マネージャーは、なかなか見つからない、と。ただ、もしナクスが会社に戻るなら、役職はマネージャーじゃない。給料もかなり安くなる。数ヶ月前、ナクスは興味がないと断っていた。もうその話は終わったようなものだった。
妹のハヨンは、姉のハジンがナクスの再就職のために夕食会を開いたことを知って大笑いした。ハジンは怒りを抑えた。それでも、この一件は家族にとって大きな打撃だった。
他の会社の基本給も低い。ナクスに合う仕事はどこにもないみたいだ。彼は追い詰められていた。請求書はたまっていく。退職金に手をつける誘惑にかられる。ナクスは求人情報を眺め続けた。情熱とか、自分の強みとかじゃない。金と給料だけで仕事を探していた。
一発逆転を狙った危険な賭け
ついにナクスは心を決めた。大きな投資をする、と。彼はAPロイヤルという会社に向かった。以前、住宅投資のチラシをもらった場所だ。そこの物件はすごい人気らしい。商業用の区画は、もう残り一つしかないと言われた。
これはちょっとした賭けだ。値段も高い。でも、最高の立地で、多くの有名ブランドが欲しがっている物件だそうだ。うまくいけば月に1000万ウォンの家賃収入が手に入る。物件の購入価格は16億ウォン。
最終的にナクスは、その一つの区画を10.5億ウォンに値引きしてもらった。彼は契約を急いだ。口のうまい営業マンにすっかり乗せられてしまった。長年の営業経験で培ったナクスの専門知識は、ここでは何の役にも立たなかった。ナクスはその場でサインした。
彼はこのことをハジンに相談しなかった。その頃、ハジンは新しい不動産の仕事に採用されたばかりだった。彼女がその朗報を伝える前に、ナクスは彼女を寝室に連れて行き、お祝いをした。
詐欺の連鎖と残酷な現実
翌朝、ナクスは個人ローンを申請した。持っていた株も全部現金に変えた。そしてスギョムに3000万ウォンを送金した。
父親が助けるためなら何でもすると言ってくれたことに、スギョムは感動した。その直後、彼はSNSでハンナの投稿を見る。彼女が海外に行くかもしれない、と書いてあった。スギョムは彼女を追いかけて走った。
結局、その投稿は事前に設定されたものだった。ハンナはまだチケットすら予約していなかった。スギョムは彼女に言った。行かないでくれと。ここにいてほしい、と。
その日の午後、ナクスにまた電話があった。あの強引な営業マンからだ。話が違う。約束されていたカフェじゃない。トースト専門の新しい会社がその物件に入りたいと言っているらしい。家賃は900万ウォン。敷金は2000万ウォン。
ナクスは敷金の少なさが気になった。でも、この話がうまくいくことを願って契約にサインした。このエリアで空いているのはこの物件だけだ。長く空室にしておくのは良くない、と営業マンは説明した。
そんな中、ナクスの健康診断の結果が届いた。彼の年齢にしては、体は驚くほど健康だった。ただ、ストレス指数は高い。もちろん、仕事のせいだ。
ナクスは、ようやく上向きになれるかもしれないと喜んだ。車に戻るまでは。彼は気づいてしまった。自分は完全に詐欺に遭った。全財産を失ったことに。
その事実に気づいたナクスはショックを受け、物件へと急いで戻った。30万ウォン程度の価値しかないアパートを、10億ウォン以上で売りつけられていた。連中は莫大な利益を上げていたんだ。さらに悪いことに、近くの駅はもうずっと前から機能していなかった。すべてが嘘だった。
騙されたのはナクスだけじゃなかった。他にも大勢の被害者が同じ問題に直面していた。何が起こったのかを理解したとき、彼はショックで平静を保てなかった。胸を押さえて、ただ立ち尽くすしかなかった。
第8話の感想
いやー、マジかよ。今回はキツい回だったな。営業のプロであるナクスが、営業でまんまと騙されるなんて皮肉すぎる。会社を辞めて、家族との関係も少しずつ良くなってきたところだったのに。あのプライドの高さが、結局は焦りを生んで、一番やっちゃいけない判断ミスにつながった。ハジンに一言相談していれば、って思うと、こっちまで悔しくなるよな。
スギョムとハンナの若い二人の関係が少し前に進んだのが、唯一の救いか。でも、それもナクスが騙されて作った金がきっかけになってるのが、また複雑な気分にさせる。
最後のシーン、ナクスが全てを悟って、車の中で固まる姿は見てて辛かった。あの絶望感、画面越しに伝わってきたよ。ここからどうやって立ち上がるんだ、キム・ナクス。どん底に落ちた男が、ただの父親が、どう反撃するのか。本当に目が離せない。
つづく

