あらすじ
今回は、3000年前の陸炎(ルー・イエン)と、于登登(ユー・ドンドン)の前世である霊族の聖女・雲羲(ユン・シー)の物語が描かれます。人間と霊族、異なる種族でありながら、二人は共に平和な世界を夢見て心を通わせていきます。人間界の食べ物に感動したり、互いの故郷を語り合ったりと、穏やかで幸せな時間を過ごす二人。しかし、二つの種族間に横たわる根深い対立と憎しみは、彼らの純粋な願いを無情にも打ち砕きます。ある出来事をきっかけに、二人は抗うことのできない悲劇的な運命へと巻き込まれていくのでした。陸炎が3000年の時を超えて愛を貫く、その愛と悲しみの原点がここにあります。
ネタバレ
『請君~遥かなる恋人たち~』の物語の核心に迫る、超重要なエピソードがやってきました! 今回の第13話は、現代のコミカルな雰囲気から一転、陸炎(ルー・イエン)が3000年もの間、于登登(ユー・ドンドン)を待ち続けた理由、その壮絶な過去が描かれます。そう、これは陸炎(ルー・イエン)と、于登登(ユー・ドンドン)の前世である霊族の聖女・雲羲(ユン・シー)の、切なくも美しい愛の物語の始まりです。
心を通わせる二人、芽生えた平和への願い
物語は3000年前に遡ります。陸炎(ルー・イエン)は、霊族の聖女である雲羲を人間の食事処へ連れて行きます。そこで彼女が初めて口にしたのが「糍粑(ツーバー)」というお餅のようなお菓子。これまで食に無頓着だった霊族の雲羲にとって、人間の世界の多彩な味は驚きであり、喜びでした。
陸炎は語りかけます。霊族は奪い合うのではなく、人間のように知恵を使って食料を生み出すことができるはずだ、と。戦乱さえなければ、この世界にはもっと素晴らしいものがたくさんあるのに…。彼の言葉に、雲羲も深く共感し、二人は手を取り合って人間と霊族の平和な共存を目指すことを誓い合います。このシーン、二人の間に確かな信頼と愛情が芽生える、とても素敵な場面でしたね。
すれ違う正義、引き裂かれる運命
しかし、運命はあまりにも皮肉でした。ある雨の夜、暴走する馬車から母子を救うため、雲羲はとっさに霊術を使ってしまいます。その力を見た人間たちは、彼女を「霊族だ!」と罵り、一斉に襲いかかってきたのです。人を助けたはずが、その正体ゆえに追われる身となってしまうなんて…。
逃げる途中、雲羲は「息子を霊族に殺された」と憎しみを語る男の声を聞いてしまい、深く心を痛めます。彼女の「この力が人を傷つけるためでなく、救うために使えたら…」という願いが、胸に突き刺さりますよね。
愛ゆえの決断と、悲劇の戦い
崖の上で、雲羲は故郷の星を陸炎に見せながら、かつては美しかった故郷が資源の枯渇と争いで荒廃してしまった過去を語ります。彼女の悲しみを癒すかのように、陸炎は美しい花畑へ彼女を連れて行き、温かい糍粑を贈るのでした。感謝の気持ちでいっぱいになった雲羲は、思わず陸炎を抱きしめます。人間界の慣習を知らない彼女の純粋な行動が、二人の距離をさらに縮めました。
しかし、そんな穏やかな時間も束の間、霊族が再び攻め込んできたとの報せが届きます。陸炎の部下である衛都(ウェイドゥ)は、雲羲が災いを招いたと非難し、彼女を人質に取るよう進言しますが、陸炎は激しく叱責。
自分の存在が陸炎を苦しめると悟った雲羲は、彼を気絶させ、お守りとして簪(かんざし)を残して一人去って行きました。後日、その簪から彼女の危機を察知した陸炎は、すぐさま救出へ。棺に閉じ込められていた雲羲を助け出したものの、霊族の追手はすぐそこまで迫っていました。
霊族は衛都(ウェイドゥ)を人質に取り、降伏を迫りますが、陸炎たちは屈しません。そして、人間と霊族の全面戦争が勃発。多くの命が失われる壮絶な戦いの末、陸炎もまた、命を落としてしまうのです。
最期の力を振り絞り、なおも雲羲を殺めようとする衛都。しかし、彼女は一撃で彼を退けます。愛する陸炎の亡骸を抱きしめ、悲しみに打ちひしがれる雲羲。そして彼女は、陸炎を蘇らせるため、自らの命の源である「元丹」を彼に捧げるという、究極の決断を下すのでした。
『請君~遥かなる恋人たち~』第13話の感想
これまで断片的に語られてきた陸炎と雲羲の過去が、ついに一つの物語として明かされた第13話。なぜ陸炎がこれほどまでに于登登(ユー・ドンドン)に執着するのか、その理由が痛いほど伝わってくる、非常に見応えのあるエピソードでした。平和を心から願い、純粋な想いを育んでいた二人が、種族間の憎しみという大きな渦に飲み込まれ、最も残酷な結末へと突き進んでいく様は、本当に胸が締め付けられます。
特に印象的だったのは、雲羲の行動です。人間を救ったことで追われ、愛する人のために身を引き、そして最後は自らの命である元丹を捧げて彼を蘇らせる。その自己犠牲の精神と深い愛情は、この物語の根幹をなす悲劇であり、同時に最大の愛の証だと感じました。二人の純粋な世界と、それを取り巻く過酷な現実との対比が鮮やかで、物語の深みを一気に増した回だったと思います。
つづく