あらすじ
李嶷(りぎょく)は、まだ怒っている崔琳(さいりん)の機嫌を直そうと一生懸命だ。でも、二人の距離はなかなか縮まらない。そんな中、側室の顧婉娘が訪ねてきたことで、崔琳は意外な行動に出る。一方、李嶷は身分を隠したまま、崔琳の父である崔倚と偶然出会い、言葉を交わす。その頃、死んだはずの柳承鋒が生きていることを崔琳は察知していた。顧婉娘の父からの圧力も強まる中で、李嶷は彼女に対して正直な気持ちを伝えるという、大きな決断をすることになる。
ネタバレ
すれ違う二人、それぞれの思惑
李嶷(りぎょく)のご機嫌取りに必死だ。甲斐甲斐しく世話を焼こうとする。そこに、タイミング最悪な客が来た。顧婉娘(こばんじょう)だ。 李嶷(りぎょく)はイラっとして追い返させようとする。ところが崔琳(さいりん)は、彼女を部屋に招き入れた。 李嶷(りぎょく)は隣でオロオロするしかない。顧婉娘は、自分で刺繍したっていう鴛鴦(おしどり)の枕を献上してきた。 崔琳(さいりん)はこれをあっさり受け取る。それだけじゃない。ついでに屏風も刺繍してくれない?なんて頼む始末。 顧婉娘も、まさかこんな展開になるとは思ってなかっただろうな。でも、やるしかなくて引き受ける。彼女が帰ろうとした時、李嶷が呼び止めた。顧婉娘はちょっと嬉しそうだった。でも、李嶷から出たのはさっさと屏風を仕上げろっていう冷たい言葉だった。
父と過ごす、束の間の休息
李嶷は寝ている崔琳のために、温かいスープを持ってきた。 でも彼女はまだ目を覚まさない。彼はそっとスープを置いて、ベッドのそばに座る。 崔琳の寝顔を見て、思わず笑みがこぼれる。 顔に触れようとした、その瞬間。彼女が目を覚ました。 李嶷がそばにいるのを見ても、一瞥するだけ。すぐにプイッと顔を背けて、また寝てしまった。
場面は変わって、崔家の軍が解散した後。崔琳の父、崔倚(つい より)は毎日、川辺で釣りをしていた。 遠くを見つめて、これからの戦をどうするか考えている。そこに一人の若者が通りかかった。崔倚は彼に君ならどう戦うかと尋ねる。 若者は理路整然と答える。ただ、その口ぶりにはどこかため息が混じっていた。崔倚はその答えにすごく満足する。 名前を聞くと、若者は李嶷と名乗った。崔倚は聞き覚えがある名前に少し戸惑う。でも、どこで会ったかは思い出せない。 結局、年の離れた二人は一緒に釣りをすることになった。 崔倚は李嶷に自分の過去を語り始めた。亡くなった妻のこと。自分の後悔。輝かしい戦の記録。
床と布団と、縮まらない距離
夜、部屋に戻った李嶷はいろいろ考えていた。彼の中にも、後悔とか、申し訳ない気持ちがあるんだろう。崔琳が寝る準備を始めたのを見て、彼は布団を持って床で寝ようとする。その時、崔琳が彼を呼び止めた。李嶷は心の中でガッツポーズだ。ついにベッドで寝かせてくれるのかと期待する。でも、現実は甘くない。崔琳はただ、床が冷たいだろうと心配しただけだった。彼に分厚い布団を投げてよこそうとする。李嶷はちょっとがっかりして、その申し出を断った。崔琳は彼を無視して、布団を床にポイッと投げる。自分はさっさと自分の布団にくるまって寝てしまった。
死んだはずの男と、正直な気持ち
崔琳のもとに、ある知らせが届く。柳承鋒(りゅうしょうほう)が牢屋で風邪をこじらせて死んだ。 遺体は乱葬崗で焼かれたらしい。 でも崔琳は数日間考え込む。すべてが都合よすぎる。もしかして柳承鋒は死んでいないんじゃないか。病気になったというのは、脱出するための口実じゃないかと。 その読みは、見事に当たっていた。柳承鋒は生きていた。 それどころか、まだ李嶷を陥れる計画を立てていた。
そんな頃、顧婉娘の父である顧丞相(こしょう)がやってくる。娘に会うという名目で、李嶷に探りを入れてきた。 なぜ顧婉娘に優しくしないのか。なぜ一度も彼女の部屋で夜を過ごさないのか。 李嶷は適当にごまかそうとする。でも、顧婉娘のところへ行かない言い訳が見つからない。とうとう彼は、今夜は顧婉娘の部屋で食事をすると公表した。すると崔琳から伝言が届く。私はあなたと食事するつもりはないから、好きなところへ行けばいい李嶷は頭を抱える。でも、もう知らせてしまった後だ。彼は覚悟を決めて、顧婉娘の部屋へ向かった。部屋に入るなり、侍女たちを全員下がらせる。そして顧婉娘に正直に話した。君に対して男女の感情は一切ない。君の人生を無駄にしたくない。だから生活に不自由はさせない。もし心に決めた相手ができたら、いつでも自由にしていい、と。
第35話の感想: 素直になれない大人たちのもどかしさ
李嶷と崔琳、マジで意地の張り合いがすごい。お互い好きなのに、全然素直になれないのがもどかしいよな。でも、顧婉娘が来た時の崔琳の対応は一枚上手だった。ただ嫉妬するだけじゃなくて、相手に仕事を言いつけるっていうやり方は賢い。こういう強さがあるから崔琳は魅力的なんだよ。一方で、李嶷が変装して崔琳の父ちゃんと話すシーンは良かった。何も知らない義父と、正体を隠した婿。穏やかな時間だったけど、切なさも感じる。最後に李嶷が顧婉娘にはっきり君を愛せないって伝えたのは、すごく誠実だと思う。変に期待させるより、よっぽどいい。まあ、柳承鋒が生きてたのは予想通りだけど、こいつがまた厄介なことをしでかしそうで、気が抜けないな。
つづく