あらすじとネタバレ

劉衍(りゅうえん)と北涼(ほくりょう)王子の腹の探り合い

北涼(ほくりょう)の王子、耶沐憬(やぼくけい)が酒を飲んでいる。彼は同僚に今日の件は南宸(なんしん)が負けを認められないだけだと息巻いていた。そこに定王・劉衍(りゅうえん)が現れる。彼は耶沐憬と酒を酌み交わし、話がしたいと持ちかけた。

劉衍(りゅうえん)はかつて拒馬河(きょばがわ)の戦いで大敗した。耶沐憬はそのことを蒸し返し、精鋭を失ってよく生きていられるなと挑発する。劉衍は動じない。彼は亡くなった戦友たちの思いを背負っている。だから死ぬわけにはいかないと静かに語った。

話は本題に入る。劉衍は、拒馬河の戦いには内通者がいたと確信していた。誰かが耶沐憬に情報を流した。劉衍はその人物が誰なのか知りたがっている。彼は耶沐憬に取引を提案した。知っていることをすべて話せ。そうすれば10年間、北涼に兵を進めない。

耶沐憬は最初、渋っていた。ただ、慕灼華(ぼしゃくか)たちが彼の弱みを見抜く。彼が急いで北涼に帰りたがっていることを見抜いた。観念した耶沐憬は、内通者の名として薛笑棠(せつしょうどう)の名を挙げた。彼はそう言い残すと、高笑いして去っていく。

残された劉衍と灼華は冷静だった。耶沐憬の言葉が真実だとは限らない。南宸の内部をかき乱すための嘘かもしれないと分析した。

灼華の戸惑いと劉衍の嫉妬

話が終わり、灼華はその場を去ろうとする。劉衍は彼女の腕を掴んで引き止めた。なぜ俺を避けるんだ。灼華は彼の問いにあなたが私の心を乱すからとだけ答える。彼女はそう言って、足早に去ってしまった。

場面は変わる。耶沐憬は国へ帰る前、妹の耶沐蓁(やぼくしん)に会う。彼は火はつけておいた。お前がもっと大きく燃え上がらせろと意味深な言葉を残した。

一方、灼華は同僚の沈驚鴻(しんきょうこう)と今回の件について話していた。そこに劉衍と第一皇子の劉琛(りゅうしん)が通りかかる。気まずい空気が流れた。灼華はごまかすように、劉琛(りゅうしん)の足の怪我の具合を尋ねる。劉琛(りゅうしん)は以前と違い、穏やかな態度だった。彼は父である皇帝・劉俱(りゅうきょ)に話し、灼華がいつでも学堂で講義できるようにしたと伝える。灼華は大喜びした。

その二人を、劉衍は複雑な表情で見つめていた。灼華が自分を避ける理由はこれか、と彼は思う。彼の心に嫉妬の炎が静かに灯った。

すれ違う二人の心

後日、劉衍と劉琛は碁を打っていた。劉琛は灼華の功績を認め、褒美を与えるべきではないかと劉衍に尋ねる。劉衍は嫉妬心からないとそっけなく答えた。

灼華と沈驚鴻(しんきょうこう)は、北涼使節団の接待での功績が認められる。二人はそれぞれ官位が上がり、昇進した。灼華は自分の昇進に劉衍の力添えがあったと感じていた。彼女はお礼を伝えるため、彼の屋敷を訪ね、硯を贈る。

劉衍は灼華に忠告した。皇子たちの争いに巻き込まれるな、と。彼は灼華が劉琛に近づくことを快く思っていなかった。灼華は何も答えられない。彼女が劉琛に近づいたのは、本当は劉衍から距離を置くためだった。官吏としての道を踏み外したくない。その一心だった。劉衍は彼女の沈黙を見て、不機嫌になる。

屋敷を去る時、灼華は劉衍の不満げな様子が気になった。彼女は翌日、手作りの菓子を用意する。雨の中、彼の屋敷へ届けに行った。しかし、執事は劉衍が早くに休んだと告げる。灼華は彼に会えなかった。

実は劉衍は体調を崩して寝込んでいた。灼華はそのことを知らない。彼女は家に帰り、侍女の郭巨力(かくきょりき)に本音を漏らす。彼を遠ざければ、心も離れると思った。でも、彼が会ってくれないと、こんなに苦しいなんて。

そんな中、宮廷に新たな問題が持ち上がる。江南で蝗(いなご)の害が発生した。劉琛はこの問題の解決に名乗りを上げる。皇帝・劉俱(りゅうきょ)は、彼を助けるために灼華と沈驚鴻(しんきょうこう)を同行させることを決めた。

第16話の感想

今回は、灼華と劉衍の心が大きく揺れ動く回だったね。見ていて、こっちまで胸が苦しくなったよ。灼華は官吏としての自分の未来を守るために、劉衍から距離を置こうとする。その手段として、あえて皇子の劉琛に近づく。でも、それが劉衍の嫉妬を煽る結果になってしまう。本当に皮肉な展開だ。

劉衍の嫉妬もすごく人間くさくていい。普段は冷静沈着な戦神が、恋する相手のことになると途端に不器用になる。灼華と劉琛が楽しそうに話しているのを見て、明らかに不機嫌になる顔。最高だった。

一番切なかったのは、灼華が雨の中、お菓子を届けに行くシーンだ。劉衍の機嫌を直したくて一生懸命なのに、彼は体調不良で会ってくれない。このすれ違いが、二人の距離をさらに広げてしまう。灼華が会えないのがつらいって本音をこぼすところは、彼女の恋心をはっきりと示した名場面だと思う。これから二人は江南で離れ離れになる。このもどかしい関係がどうなっていくのか、目が離せないね。

つづく