あらすじとネタバレ
太后(たいこう)の罪、ついに暴かれる
皇帝・劉俱(りゅうきょ)が劉皎(りゅうきょう)を連れて都に戻ってきた。宮殿では、案の定、劉衍(りゅうえん)と太后(たいこう)が一触即発の状態で睨み合ってたんだ。劉俱(りゅうきょ)は息子を連れてその場を離れようとする。でも太后がそれを許さない。ちょうどいいから、劉衍(りゅうえん)の送別の宴を一緒にやりましょうなんて言い出す始末。その言葉にカチンときた劉俱は、激しく咳き込んでしまう。俺が腹を立ててるのは全部お前のせいだ、と。
ここで太后が、ついに本性を現した。もし劉俱が都にいなかったら、劉衍なんてもうとっくに死んでたって認めたんだよ。昔、劉衍の母である雲妃(うんひ)が腹をかっさばいて彼を産んだ時も。5年前に劉琛(りゅうしん)が彼を助けた時も。本当はあの時に死んでるはずだった、ってね。
太后の憎しみは、先帝に向けられていた。先帝は雲妃(うんひ)を深く愛していた。だから雲妃が死んだら、自分も後を追おうとした。太后は、夫である先帝から皇后としてしか見られていなかった。その恨みが、全部息子の劉衍に向かったわけ。まだ赤ん坊だった劉衍を、冷たい水の中に突き落とそうとしたことまで白状した。子供に罪はないだろう、と劉俱は嘆く。でも太后の耳には届かない。
悲劇の連鎖
劉衍は太后に食ってかかる。お前の個人的な恨みで、3万の兵士の命を弄ぶなんて許されることじゃない。国の根幹を揺るがす気か、と。太後も最初はしらを切ろうとする。だけど、薛笑棠(せつしょうどう)が懐から証拠の令牌を取り出した。あれは太后が直接渡したものだった。追い詰められた太后は叫ぶ。あいつらは劉衍の兵だ、だから死んで当然だ!もう話にならない。
太后は、この場で劉衍を完全に消そうとする。でも、もう遅かった。劉俱が先手を打って、太后の兵をすべて撤退させていたんだ。彼はこの最悪の事態を恐れて、真相を知る者たちを秘密裏に始末していた。劉俱は劉衍に頼む。
太后を許してやってくれないか、と。劉衍は答える。どうやって許せと?母上を殺し、多くの兵士を殺した。許せるわけがないその言葉を聞いた劉俱は、絶望と怒りで血を吐いて倒れ、そのまま息を引き取った。死ぬ間際に、太后を許してやってくれ、自分の子供たちを頼む、そしてお前は生き抜け、と劉衍に言い残して。
真の黒幕
この地獄絵図を見て、薛笑棠(せつしょうどう)は慌てて逃げ出した。でも、逃げる途中で劉皎(りゅうきょう)とばったり会う。彼は思わず駆け寄って柔嘉(じゅうか)を抱きしめた。その瞬間、彼の体に激痛が走る。柔嘉(じゅうか)が、隠し持っていた匕首で彼を突き刺したんだ。婚約の時、私のために命を捨てると言ったわね。その願い、今叶えてあげる柔嘉は冷たく言い放つ。お前は太后と組んで多くの人を手にかけた。死んで当然だ、と。
ちょうどその時、皇帝崩御を知らせる鐘が鳴り響く。柔嘉は薛笑棠の亡骸をその場に残し、急いで宮殿へ戻った。他の皇子たちも、知らせを聞いて駆けつけてくる。
柔嘉は太后の部屋へ行き、薬を差し出す。そして父である皇帝が亡くなったことを告げた。太后は信じられない。お前は何を言っているんだ、と柔嘉を叩こうとする。でも、その腕は柔嘉によってあっさりと振り払われた。ここで太后はすべてを悟る。今までのおとなしい柔嘉は、すべて演技だった。一番信頼していた侍女の佩蘭(はいらん)でさえ、柔嘉の手下だったんだ。
柔嘉はついに正体を明かす。あなたは私の駒に過ぎないそして、自分が北涼(ほくりょう)の密偵だったことを告白した。太后は愕然とする。
柔嘉の復讐
柔嘉の母親である杏児(きょうじ)は、かつて太后に殺されていた。理由は、皇帝に寵愛されていたから。
太后は自分の地位を固めるため、邪魔な存在を消したんだ。幼い柔嘉が同じ目に遭うことを恐れた劉俱は、彼女を皇姑祖(こうぐそ)に託し、江南で育てさせた。
成長した柔嘉は、復讐のため都に戻ってきた。そして佩蘭(はいらん)を太后のそばに送り込み、薛笑棠を誘惑して手駒にした。北涼(ほくりょう)に行軍図を渡したのも、すべて柔嘉の計画だった。薛笑棠は、事が終わればすべてを皇帝に話す約束だった。でも、劉俱が薛笑棠を殺そうとした(と柔嘉は思わせた)ことで、計画は狂ってしまった。いや、狂ったんじゃない。柔嘉が、自らの手で計画を最終段階に進めたんだ。
感想
いや、もう、言葉が出ないよ。今回のエピソードは衝撃的すぎた。まさか、あの物静かで可憐に見えた劉皎が、すべてを裏で操る黒幕だったなんて。正直、鳥肌が立った。彼女の豹変ぶり、特に薛笑棠を刺すシーンと太后を突き放すシーンは圧巻だったね。今までのか弱い姿は全部計算ずくだったのかと思うと、ゾッとする。母親を殺された復讐心だけで、ここまで冷徹な計画を実行できるなんて、彼女の抱えてきた闇は相当深い。太后も散々悪事を働いてきたけど、最後の最後で一番信頼していた人たちに裏切られて駒にされてたって知るなんて、ある意味哀れに見えてくるから不思議だ。そして、息子のために、国の未来のために苦悩し続けた劉俱の最期は本当に悲しかった。物語が根底からひっくり返る、とんでもない回だったよ。
つづく