あらすじ
文人たちが集う議論の場で、慕灼華(ぼしゃくか)は大胆な持論を展開する。彼女が取り入ろうと画策する定王・劉衍(りゅうえん)が、すぐ隣の部屋にいるとも知らずに。その場には、科挙の首席候補と名高い沈驚鴻(しんきょうこう)も姿を現し、彼の鋭い意見が場の空気を一変させる。
その後、慕灼華は自分の野心を劉衍本人に見抜かれてしまう。絶体絶命のピンチ。だが彼女は臆することなく、女性が官吏を目指すことの困難さを力強く訴える。一方、劉衍は過去の戦いがもたらした癒えない心の傷と向き合うことになり、彼の苦悩が浮き彫りになる。それぞれの思惑が交錯し、物語は新たな局面を迎える。
ネタバレ
文錚楼の舌戦
今回の舞台は、インテリたちが集まるサロン文錚楼。議題は虎を飼うのは災いのもと?みたいな感じだ。慕灼華(ぼしゃくか)は、そこで自分の考えをぶちまける。隣の部屋に、あの定王・劉衍(りゅうえん)がいるとも知らずにね。
彼女は、拒馬河(きょばがわ)の戦いでの劉衍(りゅうえん)の逸話に触れる。功を焦って突っ込んだなんて言われてるけど、本当かなって。劉衍(りゅうえん)は壁一枚隔てた場所で、その言葉を静かに聞いていた。過去の壮絶な戦いを思い出しながら。
そこへ、一人の男が颯爽と登場する。沈驚鴻(しんきょうこう)だ。彼は虎は災いどころか、使いこなせると主張する。飼い主の器量次第で、猛獣すら役に立つってわけだ。この男、ただのイケメン秀才じゃない。相当なキレ者だよ。慕灼華(ぼしゃくか)は、この場の雰囲気が普通じゃないと察して、早々に退散しようとする。
狙いはバレバレ
文錚楼から出ようとした慕灼華(ぼしゃくか)。でも、入り口で例の周管家(しゅうかんか)が待ち構えていた。まずい。どう切り抜けようかと思った瞬間、背後に劉衍が現れる。周管家(しゅうかんか)は、劉衍の姿を見ると黙って去っていった。
慕灼華はチャンスとばかりに劉衍に媚びる。私はもうあなた様の人です!なんて大胆なことを言う。劉衍は冷たい。俺の何だって?。彼は、慕灼華が自分に取り入ろうとしている魂胆を完全にお見通しだった。周管家を捕まえて、全部聞き出していたんだ。
普通ならここで終わりだけど、慕灼華は諦めない。私利私欲の何が悪いんですかと開き直る。この時代、女が官吏になるのがどれだけ大変か、必死に訴えるんだ。その気迫に、さすがの劉衍も少し心を動かされたみたいだ。部下の執剣(しゅうけん)に、彼女たちを家まで送るよう命じた。
癒えない傷と新たな出会い
帰り道、劉衍は戦死した部下のお父さんと鉢合わせする。その部下のたった一人の息子が、病気で亡くなったことを知らされる。息子を連れて帰ると約束したじゃないか。父親の言葉が、劉衍の胸に突き刺さる。見ていて辛いシーンだった。
そこに、劉皎・劉皎(りゅうきょう)が現れる。彼女は貧しい人々のために薬局や学校を運営している、心優しい女性だ。ちょうど、勉強したいのに親に反対されている女の子を助けていた。
その劉皎の学堂に、あの沈驚鴻(しんきょうこう)がやって来る。彼は昔、劉皎に助けられた恩があるらしい。今度は自分が誰かを助けたいと、学堂で教えることを申し出る。二人の間には、何か特別な空気感が流れていた。
忠誠心か、それとも…
慕灼華は、家まで送ってくれた執剣(しゅうけん)にお礼を言おうとする。すると執剣(しゅうけん)は、いきなり剣を抜いて彼女を脅した。もし定王様に何かあれば、お前たちを殺す。彼の目は本気だった。慕灼華と郭巨力(かくきょりき)は凍りつく。劉衍への忠誠心が、ちょっと常軌を逸している。
その頃、劉衍は医者の診察を受けていた。体はかなり弱っているらしい。心に抱えたわだかまりが、体を蝕んでいるようだ。医者は、慕灼華が言っていた還陽散(かんようさん)なんて薬は聞いたことがないと言う。劉衍の心に、彼女への疑念が芽生え始めていた。
感想
いやあ、今回は各キャラクターの背景がぐっと深まった回だったね。慕灼華がただ成り上がりたいだけの女じゃないってことがよく分かった。彼女のしたたかさの裏には、この時代を女一人で生き抜くための必死さがある。劉衍に自分の目的がバレても、そこで折れずに自分の正当性を主張する姿は、むしろ清々しいくらいだ。
劉衍の苦悩もリアルだった。英雄と讃えられる一方で、戦死した部下の家族からは責められる。あの父親の言葉は、どんな武器よりも彼の心を傷つけたはずだ。将軍という立場の重さと孤独が伝わってきて、胸が痛くなったよ。
そして、沈驚鴻(しんきょうこう)と劉皎のサイドストーリーも本格的に動き出した感じ。こっちの二人も、ただのサブキャラじゃ終わらなそうだ。純粋な善意で人を助ける劉皎と、彼女に恩返しをしたい沈驚鴻。この二人の関係がどうなっていくのかも、すごく気になる。
最後に全部持っていったのは、執剣のあの脅しだね。怖すぎだろ!でも、あれだけ劉衍を慕っているってことの裏返しでもある。それぞれのキャラクターが抱える想いや過去が交錯して、物語に一気に厚みが出た。見ごたえがあったよ。
つづく