あらすじ

雨生魔(うせい ま)は南訣剣仙・烟凌霞との死闘の末、弟子の葉鼎之(ようていし)に最後の教えと剣を残して命を落とす。一方、司空長風(しくうちょうふう)は友・百里東君(ひゃくりとうくん)との絆を胸に、師・陳儒や想いを寄せる風秋雨(ふう しゅうう)に別れを告げ、己の道を歩み始める。百里東君は師・南宮春水と共に伝説の鍛冶師・羅勝を訪ね、新たな刀「尽鉛華」と刀譜を手に入れるが、その真価をまだ理解できずにいた。師を失った葉鼎之は、師が遺した剣「瓊楼月」を受け取り、東君たちと再会。一行は唐門の試毒大会へ向かうことになり、その道中で東君は鼎之に、南宮春水が若返った李長生(り・ちょうせい)本人であることを明かす。

ネタバレ

雨生魔、散る!葉鼎之(ようていし)への最後の教え

物語は冒頭からクライマックス!洞月湖で、あの「雨生魔」が南訣の剣仙「烟凌霞」と激突!弟子の「葉鼎之(ようていし)」を伴い、戦いの前に「俺がどう剣を振るうか、よく見ておけ。ただし、最後の一剣だけは見るな」と告げる雨生魔。でも、師匠の一挙手一投足を見逃したくない鼎之は、その忠告を聞き入れません。

一方、百里東君(ひゃくりとうくん)は師匠の南宮春水に雨生魔について尋ねます。南宮春水曰く、若い頃は「雨狂徒」と呼ばれ、格上を次々倒した猛者だったとか。ただ一人、あの「李長生(り・ちょうせい)」には敗れたらしい。そして、雨生魔は多くの人から「魔」と呼ばれているけど、実は誰よりも善良な心を持っている、と南宮春水は語ります。

そして、雨生魔と烟凌霞の死闘。互いに全力を出し尽くし、ついに烟凌霞が敗北を認めます。しかし、彼女は「お前ももうすぐ死ぬ」と言い放ち、雨生魔が南訣一の称号という虚名を追っていたと嘲笑します。でも、雨生魔はそんな称号や他人の評価なんて気にも留めていませんでした。

彼は鼎之に、自分を探して復讐しないように諭します。魔功を修練した代償で体は蝕まれ、この戦いがなくても余命は半年もなかった、と。これまで放った十三の剣は全て鼎之への指導であり、最後の剣を見せたくなかったのは、自分と同じ道を歩んでほしくなかったから。師匠、どこまで弟子のことを…。

雨生魔は鼎之に「贈り物」を残したことを伝え、手紙の住所を頼りに探すよう指示します。そして、「俺は李長生(り・ちょうせい)に勝てなかったが、お前は彼の弟子に勝て」と言い残し、飛び去っていきました。師を失った鼎之の悲痛な叫びと、師への最後の礼…。ここは涙なしには見られませんでしたね。

司空長風(しくうちょうふう)、友との絆と新たな旅立ち

場面は変わって、稷下学堂。司空長風(しくうちょうふう)は陳儒から槍術の指導を受けています。陳儒は、身分が違いすぎる長風と東君がなぜ親友なのか疑問に思います。長風は、最初は東君が侯府の公子とは知らなかったこと、そして彼の心が澄み切った「少年の心」を持っているからだと語ります。身分なんて関係ない、二人は最後まで一緒に歩める仲間だと信じているんですね。熱い友情!

陳儒は長風を弟子には取らないと言います。なぜなら、自分より遥かに強い人物が長風を弟子にしたがっているから。誰なんだろう、気になりますね!陳儒に別れを告げた長風は、天啓を離れ、自分だけの江湖へと旅立ちます。

旅立つ前に、秋廬で辛百草(しんひゃくそう)の薬材を受け取り、百花楼の風秋雨にも別れを告げに。短い出会いだったけど、長風の心には彼女がいたんですね。「槍術を極め、君を守れるようになったら、必ず天啓に戻ってくる」と約束して去る姿、カッコよすぎます!

百里東君(ひゃくりとうくん)、新たな刀と試練

南宮春水は東君と尹落霞を連れて、鍛冶屋の「兵神」こと羅勝を訪ねます。彼はかつて李長生の友人だった人物。南宮春水が持ってきた「故人の玉」を見て、東君のために刀を打つことを承諾します。李長生が東君に「双手刀剣術」を伝えようとしていることを察し、「三日後に、とびきり『霸蛮』な刀をくれてやる」と約束。

三日後、東君は羅勝が打った刀を手に入れ、「尽鉛華」と名付けます。「華やかな飾りを全て尽くす」って感じでしょうか、渋い!南宮春水は「五虎断山刀」の秘伝書を渡しますが、東君はこの刀法を普通だと侮ります。しかし、羅勝との手合わせであっさり惨敗!師匠の言うことはちゃんと聞かないとダメですね。

運命の再会、そして唐門へ

そこへ、師の遺言で剣を受け取りに来た葉鼎之が登場。なんと、雨生魔は生前に羅勝に鼎之のための剣を注文していたのです!師匠…。南宮春水は雨生魔の死を知り、静かにため息をつきます。

鼎之は東君と再会。東君の刀が「尽鉛華」と聞き、自分の剣を「瓊楼月」と名付けます。「玉楼の月」…美しい名前ですね。

南宮春水は、東君と落霞を連れて唐門の「試毒大会」を見に行くことを決定。鼎之も途中まで同行することに。時を同じくして、温家、つまり温壺酒(おんこしゅ)も招待を受け、大会へ向かいます。

道中、東君は南宮春水が羅勝に渡した玉佩について尋ねます。それはなんと、李素王の妻の形見でした。羅勝はその女性に想いを寄せていましたが、内気な性格から伝えられず、彼女は李素王に嫁ぎ、25歳で亡くなったとのこと。羅勝はずっと自分のせいだと責め、名を変えて隠れ住んでいたんですね…切ない過去です。

一行は錦城へ。叔父の温壺酒(おんこしゅ)は甥の東君も錦城に向かっていると知り、合流を急ぎます。そして、道すがら鼎之が東君に「あの南宮春水って何者なんだ?」と尋ねると、東君は衝撃の事実を告げます。「彼は…李長生だ」。

つづく