荒廃した辺境の町、蘭坊に赴任した狄仁傑(てき じんけつ)。そこは複数の派閥が支配する無法地帯だった。到着早々、県衙の焼失という事態に直面し、紅亭子に滞在することに。そこで、民衆を救った貴公子、李陶(りとう)の死を知る。一見自殺に見えたが、狄仁傑は他殺を疑い、捜査を開始する。街の権力者たちの思惑が交錯する中、狄仁傑は真相を解き明かすことができるのか?

「大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る」あらすじネタバレ16話

辺境の町、蘭坊。夕闇が迫る中、狄仁傑(てき じんけつ)たちが到着したのは、想像を絶するほど荒んだ場所だった。繁栄とは程遠く、まるで墓場の鬼火のように、人々は飢えと暴力に喘いでいた。中でも幅を利かせているのが独狼派。井戸を独占し、水を求める民衆を弄び、殴打する光景が日常茶飯事だった。

狄仁傑が仲裁に入ろうとしたその時、一人のベールを被った貴公子、李陶(りとう)が現れ、民衆を庇い、金を与えて独狼派を追い払った。その姿に、狄仁傑は目を奪われる。周囲には、こちらを窺う不穏な視線が無数に突き刺さっていた。

先行隊の報告は驚くべきものだった。県衙は昨夜焼失し、既に廃墟と化していたのだ。狄仁傑は自身の目で確認し、現実を受け止めるしかなかった。仕方なく、一行は紅亭子という宿に身を置くことにした。

紅亭子は外の混沌とは打って変わり、贅を尽くした空間だった。女将の碧玉(へきぎょく)から、街には三大派閥に加え、大小10以上の組織が割拠し、過去7年間、5人の県令が赴任したが、誰一人としてこの街を治めることはできなかったことを聞く。

かつて蘭坊は黒焰という組織に支配されていたが、彼らは忽然と姿を消したという。そして今、水源を巡り玄虎派と独狼派が激しく対立。玄虎派の頭領・銭灏(せんこう)が独狼派の頭領を惨殺し、井戸を奪い取った場面を狄仁傑たちは目撃した。

その後、碧玉から情報を得ようと訪ねた狄仁傑は、妓女の秋月(しゅうげつ)から、李陶が自害したことを聞かされる。しかし、狄仁傑たちは密かに遺体を検分し、他殺と断定。部屋からは、借用書や返済を催促するメモが大量に見つかる。その時、碧玉が李県尉(りけんい)と共に現れ、一行を取り押さえた。狄仁傑は身分を明かし、碧玉は驚き、李県尉は恭順の意を示した。

碧玉が李陶の死を自殺で片付けようとすることに、狄仁傑は疑念を抱く。李陶の絵の落款が前刺史・李経緯(りけいい)のものだと突き止め、彼を訪ねる。李経緯は息子の死をまだ知らず、その優しさを語った。狄仁傑は悲報を伝えることができず、何も言わずに立ち去った。

狄仁傑の態度に感銘を受けた李県尉は協力を申し出る。紅亭子に戻ると、街には李陶を悼む人々が溢れかえっていた。

『大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る』第16話の感想

蘭坊という無法地帯で起きた、善人李陶の死。その死の真相を探る狄仁傑の鋭い洞察力と、権力に屈しない正義感に改めて感服させられました。混乱の中で、民衆のために尽くした李陶の死はあまりにも悲しいですが、彼を慕う人々の姿は、希望の光のように感じられました。碧玉の不可解な言動や、街を牛耳る派閥の存在など、謎が深まる展開に目が離せません。李県尉の協力もあり、今後の狄仁傑の捜査に期待が高まります。

つづく