第17話では、蘭坊の火災後、狄仁傑(てき じんけつ)は法の再建を目指し、臨時の法廷を開くも、民衆は沈黙を守り、誰も訴えを起こそうとしない。そんな中、少年が祖父への暴行を訴え、狄仁傑は捜査を開始する。一方、曹安(そう あん)は狄仁傑の過去を調べ、彼の父が冤罪で命を落とした事実を知る。
李陶(りとう)殺害事件の捜査は難航し、胡仵作(ごおくさく)の不可解な言動や、秋月(しゅうげつ)の証言など、様々な情報が錯綜する。さらに、紅亭子の警備員が何者かに襲われ、瀕死の重傷を負う。狄仁傑は事件の裏に潜む陰謀を感じ、真相解明に奔走する。果たして彼は、混沌とした蘭坊に正義を取り戻すことができるのか?
「大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る」あらすじネタバレ17話
蘭坊の焼け跡に臨時の法廷を設けた狄仁傑(てき じんけつ)。法の再建を目指し、民衆からの訴えを待つも、周囲には人だかりができるばかりで、誰も名乗り出ようとしない。皆、焼け落ちた県衙同様、正義への希望を失っていたのだ。そんな中、少年が駆け寄り、祖父が暴行を受けたと訴えるが、加害者とされる男は頑なに否定する。膠着状態の中、李県尉(りけんい)は衙門の火災が人災ではなく、民衆の無関心によるものだと明かす。県衙は彼らにとって公正な場ではなく、火事を見ても消火しようとする者はいなかったのだ。
蘭坊は既にそれぞれの縄張りを持つ者たちによって支配されていた。狄仁傑(てき じんけつ)は、圧倒的不利な状況を承知の上で、焼け焦げた旗を抜き、県衙の権威を示す。この大胆な行動に洪亮(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)は不安を覚えるが、曹安(そう あん)は狄仁傑の決意を理解し、支持する。彼女の存在に洪亮(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)は安堵し、狄仁傑の良き理解者に喜びを感じるのだった。
曹安(そう あん)は資料を整理する中で、狄仁傑の父・狄知遜(てきちそん)が「黒焰」という組織に脅迫され、無実の罪を着せられた挙句、自ら命を絶った事実を知る。後に武則天(ぶそくてん)によって真相は明らかになり、狄知遜(てきちそん)の名誉は回復されたものの、既に失われた命は戻らない。この事件は狄仁傑に深い影を落とし、「黒焰」も狄知遜の死によって存在が露見し、壊滅させられたのだった。曹安は狄仁傑の佩剣に刻まれた「懐英」の二文字の意味を洪亮(こうりょう)(こうりょう)に尋ねるが、彼は「昔のことだ」と多くを語ろうとはしない。
一方、李陶(りとう)の検死にあたった胡仵作(ごおくさく)は、支離滅裂な言動を繰り返し、狄仁傑の苛立ちを募らせる。李陶(りとう)が毒殺された可能性を問いただしても、胡仵作(ごおくさく)は言葉を濁し、自殺だと主張するばかり。そんな中、薬を取りに来た男に胡仵作が処方箋を書く様子に、狄仁傑は不審な点を見つける。
捜査は行き詰まりを見せる中、狄仁傑は紅亭子の人員を調べさせ、自身は秋月(しゅうげつ)のもとへ向かう。李陶の死体の手の血痕と、机の上の乾いていない墨跡から、秋月(しゅうげつ)が現場を動かしたのではないかと問い詰める。しかし、秋月は犯行を否定し、李陶との出会いから現在に至るまでの経緯を語り始める。
かつて、秋月は父と共に商売の旅に出ていたが、砂漠で嵐に遭い、商隊の中で唯一生き残った。行き倒れた彼女を救ったのは、通りかかった五組の人々ではなく、紅亭子の碧月(へきげつ)だった。それ以来、秋月は蘭坊で暮らしている。李陶からの求愛に、秋月は喜びを感じながらも、同時に信じられない思いを抱いていた。あまりにも過酷な過去を持つ彼女にとって、幸せはあまりにも儚いものだったのだ。
しかし、求愛を拒絶された李陶は豹変し、冷淡な態度を取るようになる。秋月は彼の愛情が偽りだったと思い込み、自殺を仄めかす李陶を止めようともしなかった。彼の死後、遺書を探したのは身の潔白を証明するためだけでなく、自分の価値を高めるためでもあった。
同じ頃、洪亮(こうりょう)(こうりょう)は紅亭子の警備員・魏城(ぎじょう)が姿を消していることを突き止める。魏城(ぎじょう)の家へ向かうと、彼は瀕死の重傷を負っていた。犯人は銭灏(せんこう)。息絶える間際、魏城は恩人である李陶を殺すはずがないと訴え、さらに誰かが真犯人探しに懸賞金をかけていることを明かす。
狄仁傑は懸賞金をかけたのが李刺史(りしし)だと考え、李府へ向かう。李刺史(りしし)は自分が肺癆を患い、余命いくばくもないことを告白する。狄仁傑の捜査を待つ時間がないため、自ら犯人を探し、息子のかたきを討とうとしていたのだ。李刺史父子の悲劇に狄仁傑は心を痛め、必ず真実を明らかにし、正義を貫くと約束する。
その矢先、胡仵作の住居が放火され、李陶の遺体も焼失してしまう。李県尉(りけんい)たちの話を聞いた狄仁傑は、内部に裏切り者がいると確信し、馬栄(ば・えい)らと共に芝居を打つ。胡仵作が意識を取り戻し、重要な情報を提供したという偽情報を流す。すると案の定、衙門内から銭灏(せんこう)に連絡が入る。狄仁傑は間諜を捕らえ、事件解決へと一歩近づくのだった。
『大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る』第17話 感想
第17話は、狄仁傑の正義感と苦悩が深く描かれた回でした。焼失した県衙、そして誰も訴えを起こそうとしない民衆を前に、それでも法の再建を諦めない彼の強い意志を感じました。特に、焼け焦げた旗を掲げるシーンは印象的で、狄仁傑の覚悟がひしひしと伝わってきました。
一方で、父の冤罪死という過去を抱え、その影に苦しむ姿も胸を締め付けられました。曹安との会話や、佩剣に刻まれた「懐英」の文字など、少ない描写ながら、彼の内面の葛藤が丁寧に表現されていたと思います。
事件そのものも複雑で、胡仵作の不可解な言動や、秋月の複雑な心情、そして李刺史の悲痛な決断など、様々な要素が絡み合い、真相が全く読めない展開に引き込まれました。特に、秋月の過去と李陶への想いは切なく、彼女の揺れる心情に共感せずにはいられませんでした。
最後は内部の裏切り者が発覚し、次回への期待が高まる終わり方でした。狄仁傑がどのように事件を解決へと導いていくのか、そして李刺史との約束を果たせるのか、今後の展開から目が離せません。
つづく