蘭坊で起きた不可解な事件に挑む狄仁傑(てき じんけつ)。今回は、暗殺者・銭灏(せんこう)との対峙、そして秋月(しゅうげつ)の失踪という二つの難題に直面します。衙門内には内通者がいる疑いも浮上し、捜査は難航を極めます。一方、李刺史(りしし)の息子・李陶(りとう)の死の真相も謎に包まれており、狄仁傑は複雑に絡み合う事件の糸を解き明かそうと奔走します。果たして、彼は真実にたどり着き、蘭坊に平和を取り戻すことができるのでしょうか?
「大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る」あらすじネタバレ18話
暗殺稼業から足を洗え!狄仁傑(てき じんけつ)は単身、暗殺者・銭灏(せんこう)と対峙する。だが、二人の間に緊張が走るのも束の間、暗闇から放たれた矢が二人の均衡を破る。息の合った連携で刺客を捕らえると、なんと独狼幇の残党だった。命を救われた恩義を感じながらも、銭灏は冷徹に暗殺稼業を続ける意思を表明し、狄仁傑(てき じんけつ)の追及をかわして姿を消す。
一方、紅亭子に戻った狄仁傑を待っていたのは、秋月(しゅうげつ)の失踪だった。碧玉(へきぎょく)は口を閉ざし、秋月の行方は杳として知れない。手がかりを求めて奔走する狄仁傑は、紅柳村に秋月の足跡を見つけるが、時すでに遅く、玄虎幇に連れ去られた後だった。
衙門内に内通者がいる…!玄虎幇の動きがあまりにも早すぎることから、狄仁傑は疑念を深める。失踪した白主簿(はくしゅぼ)の件もあり、内通者の存在は確実視されていた。そこで狄仁傑は一計を案じ、李県尉(りけんい)に李刺史(りしし)への手紙を託す。しかし、手紙を開封した李県尉は、それが罠だと気づく。窮地に立たされた李県尉は、家族を守るために銭灏に脅迫されていたことを白状する。そして、狄仁傑に訴える。「蘭坊の腐敗を正せるのはあなただけだ。このままでは、もっと多くの人が犠牲になる!」と。
再び開廷した公堂。だが、そこには異様な光景が広がっていた。なんと、公堂の机が真っ二つに切断されていたのだ!紅柳村で秋月の簪を見つけ、状況証拠を積み重ねていく狄仁傑は、碧玉が秋月の失踪に深く関わっていると確信する。碧玉を問い詰めるが、彼女は頑なに真実を語ろうとしない。焦燥感に駆られる狄仁傑は、曹安(そう あん)に相談を持ちかける。曹安(そう あん)は「もし秋月と李陶(りとう)が本当に愛し合っていたのなら、李陶は何か理由があって自ら命を絶ったのではないか」と推理する。
この言葉に閃きを得た狄仁傑は、胡仵作(ごおくさく)の元へ急行する。胡仵作(ごおくさく)はうわごとを呟きながら、奇妙な絵を描いていた。それは、砂蚤の絵だった。李陶の遺体から砂蚤が湧き出すのを目撃した胡仵作は、感染拡大を防ぐために遺体を焼いたというのだ。
息子の死を秋月のせいだと信じ込む李刺史(りしし)は、剣を手に紅亭子へ乗り込み、秋月を人質に取る。緊迫した状況の中、狄仁傑は李陶が砂蚤に感染し、死期が迫っていた事実を明らかにする。そして、砂蚤の出どころは、李刺史が愛玩していた郁金香だったと告げる。李陶は秋月を悲しませないために冷たく突き放し、遺書を残して自ら命を絶ったのだった。風が遺書を吹き飛ばしてしまったものの、李陶の秋月への深い愛情は疑いようもなかった。
真実を知り、李刺史は慟哭する。秋月に謝罪し、自らの手で息子を死に追いやったことを悔やみ、自らの命で償う道を選ぶ。
程なくして、城防軍が蘭坊に到着。悪行の限りを尽くしていた悪党どもは一掃され、街には平和が戻った。しかし、狄仁傑を見つめる謎の男の影…。平穏の仮面の下で、新たな事件の幕が静かに上がり始めていた。
『大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る』第18話 感想
第18話は、愛と陰謀、そして贖罪が複雑に絡み合い、息つく暇もない展開でした。狄仁傑の推理は今回も冴え渡り、一見無関係に思える出来事の点と点を繋いで真相を明らかにしていく過程は見事でした。特に、李陶の死の真相が明らかになるシーンは、悲劇的ながらも美しく、深く心に響きました。砂蚤という意外な要素が事件の鍵を握っていたこと、そしてそれが李刺史の愛玩していた花から発生していたという皮肉な運命には、考えさせられるものがありました。
李県尉の苦悩や、碧玉の秘めた想いなど、脇役たちの描写も丁寧に描かれており、物語に深みを与えていました。それぞれのキャラクターが抱える葛藤や、立場による苦しみは、人間の弱さや強さを浮き彫りにし、共感を覚えました。
銭灏の暗殺稼業への固執も、単なる悪役ではなく、彼自身の信念や背景を感じさせ、今後の展開への期待を高めます。ラストシーンに登場した謎の男の存在も不気味で、新たな事件の予感を感じさせ、次週が待ちきれません。全体を通して、緻密なプロットと重厚な人間ドラマが融合した、非常に完成度の高いエピソードだったと言えるでしょう。
つづく