それでは早速、第28話のあらすじと核心に迫るネタバレを、熱量高めにお届けします!

あらすじ:黒焰の恐怖が生んだ新たな悲劇

蘭坊の街は、もはや異常事態。人々は「黒焰」に殺されることを恐れるあまり、なんと自ら黒焰の印である黒い炎の入れ墨を体に刻み始める始末…。まさに恐怖による集団ヒステリーです。

そんな中、洪亮(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)(こうりょう)が狄仁傑(てき じんけつ)に衝撃の告白をします。黒焰の犯行現場に残される小木剣、あれに刻まれた「英」の字は、自分の兄・狄英(てき えい)のことだと打ち明けるのです。兄こそが黒焰なのか…? 謎が深まるばかりです。

追い打ちをかけるように、街で新たな死体が二つも発見されます。しかし、傷口がそれぞれ違うことから、狄仁傑(てき じんけつ)は同一犯の犯行ではないと看破。すぐに捕らえられた犯人は、なんと4人のごく普通の男たちでした。

彼らの動機が、また恐ろしい。「死んだ二人が街から逃げようとしていたから殺した」と言うのです。なぜなら、黒焰が出した「一人が街から出れば、無作為に一家を皆殺しにする」という布告を信じ、自分たちと家族の命を守るためだった、と。

自分たちの行いを「正義」だと主張する犯人たちに、周りの民衆までが同調する始末。この異常な光景に、ついに我らが狄仁傑様の怒りが爆発!

「もし黒焰が『お前の一家が自決すれば、県全体の民を救ってやる』と布告したら、お前は一家そろって自決するのか!」

法廷に響き渡る怒声と、叩きつけられる驚堂木(きょうどうぼく)! このシーン、しびれましたね…。しかし、逆上した民衆は「黒焰を捕まえられないお前が悪いんだ!」と狄仁傑を責め立てるばかり。正義とは、法とは何かを深く考えさせられる、なんともやるせない場面でした。

街はすっかり活気を失い、家々は扉を閉ざし、黒焰の旗を掲げて庇護を求めるという異様な光景に。狄仁傑は、この連鎖する恐怖の根源を断たねばならないと決意。全ての始まりである「蕭純玉(しょう じゅんぎょく)殺害事件」の再調査に乗り出すのです。

【ここから先は重大なネタバレを含みます!未視聴の方はご注意ください】

ネタバレ:10年の時を経て暴かれる、愛と欲望の真相

さて、ここからが第28話の核心です。狄仁傑がたどり着いた、10年前に起きた事件の真相は、あまりにも切なく、そして醜いものでした。

狄仁傑はまず、蕭純玉の姑であった郎(ろう)夫人から話を聞きます。夫人は、嫁の純玉が心から愛していたのは、かつて将来を誓い合った楚磊(そ らい)という男性であり、自分の息子とは一度も夫婦の関係がなかったことを明かします。それでも郎家の面子のために、二人の仲を許さなかったことを、今になって深く後悔していました。

狄仁傑は、ついに事件の全貌を掴みます。

▼悲劇の真相

  1. 駆け落ち計画: 10年前、蕭純玉は里帰りを口実に、恋人・楚磊と駆け落ちする計画でした。
  2. 目撃者・龍三(りゅうさん): しかし、楚磊が純玉の部屋の窓を乗り越えるのを、ならず者の龍三が目撃してしまいます。
  3. 楚磊の優しさ: 楚磊は、純玉の名誉を守るため、彼女が作った紙人形だけを盗み出し、自分が彼女を誘拐したかのように見せかけました。
  4. 龍三の凶行: ところが、純玉に以前から邪な心を抱いていた龍三は、彼女を自分の店に連れ込み、暴行した末に殺害。彼女の財産をすべて奪い取ったのです。
  5. 卑劣な偽装工作: さらに龍三は、楚磊を犯人として役所に告発。恋人を殺され、財産を奪われた挙句、罪までなすりつけるという、まさに外道の所業でした。

▼なぜ今、真相が?

では、なぜ10年も経ってからこの真相が暴かれたのか? それは、犯人である龍三の、ある”うっかり”が原因でした。

なんと龍三は、字が読めなかったために、純玉から奪った荷物(美しい刺繍の入った風呂敷のようなもの)を、肉を包んだり、血の付いた刀を拭いたりするのに10年間も使い続けていたのです! これが、彼が真犯人である動かぬ証拠となりました。間抜けすぎて、もはや言葉もありません…。

さらに、純玉の父親である蕭掌櫃(しょう しょうき)も同罪でした。彼は娘が駆け落ちした可能性に気づいていながら、店の体面を守るために真実から目をそらし、龍三の嘘の告発に同調して楚磊を陥れる手助けをしていたのです。

全ての真相を知り、泣き崩れる蕭掌櫃。彼の保身が、娘と未来の婿を、取り返しのつかない悲劇に突き落としたのでした。

黒焰をおびき出せ!狄仁傑、決死の策へ

事件は解決しましたが、蘭坊に渦巻く「黒焰」の恐怖は消えません。

そこで狄仁傑は、とんでもない作戦を打ち出します。なんと、役所が公式に「黒焰の腕章」を民衆全員に配布。そして、狄仁傑ただ一人がその腕章をつけないことで、黒焰を自分自身におびき寄せようというのです! なんという大胆不敵な策…!

そんな中、狄仁傑を想う曹安(そう あん)が、いてもたってもいられず単独行動に出てしまいます。彼女は黒焰と通じている(と目される)林藩(りん はん)を捕まえ、「黒焰に会わせなさい」と迫ります。

その頃、曹安(そう あん)の置手紙を見た狄仁傑も、林藩の後を追い、ついに黒焰との直接対決の場所へと、ただ一人で向かうのでした…。

『大唐狄公案 神探、王朝の謎を斬る』第28話の感想

黒焰の恐怖が民衆を狂気に駆り立て、法とは何か、正義とは何かを突きつける重い回でした。自衛のために殺人を犯し、それを「仕方ない」と認めてしまう群衆の姿は、現代にも通じる恐ろしさがあります。その中で、ただ一人毅然と「否」を突きつける狄仁傑の姿は、まさに暗闇に差す一筋の光のようでした。そして、全ての元凶であった10年前の事件の真相には、人間の欲と保身が生んだ悲劇が描かれており、深く考えさせられます。登場人物たちの感情が複雑に絡み合い、物語に一層の深みを与えていました。

つづく