命の恩人の正体が、ぶっきらぼうな侍衛の李琪(り・き)だと知り、戸惑いながらも距離を縮める栄児(えいじ)。そんな穏やかな時間も束の間、宮中で不審な動きを見せる孫公公(そんこうこう)が、栄児の師である寿喜(じゅき)姑姑に卑劣な罠を仕掛ける。寿喜姑姑(じゅきここ)は宮中の宝物を盗んだという無実の罪を着せられ、捕らえられてしまう。師を救うため、栄児は危険な決断を迫られるが…。果たして、渦巻く陰謀から大切な師を救い出すことはできるのか。

「溥儀の料理番」あらすじネタバレ12話

いやあ、今回の『溥儀の料理番』は、胸が締め付けられるような展開でしたね…。甘酸っぱい恋模様から一転、許しがたい陰謀が渦巻く紫禁城の闇が、栄児(えいじ)と寿喜(じゅき)姑姑に牙を剥きました。

恩人は「李臭臉」!?栄児と李琪(り・き)の急接近

物語は、栄児が大切にしていたお守りの玉佩から始まります。なんと溥儀(ふぎ)が、その玉佩が李琪(り・き)の物であることを見抜くんです!そう、以前、栄児の命を救ってくれた謎の恩人の正体は、彼女が「李臭臉(しかめっ面のリさん)」と呼んでいた、あの李琪(り・き)だったのです。

「なぜ黙っていたんですか?」と問い詰める栄児に、李琪は「君があまりに大切にしているから、言い出せなかった」と、ぶっきらぼうな優しさを見せます。もう、この二人のぎこちないやり取りがたまらない!李琪は「これからも李臭臉と呼んでいい」と言い、改めて玉佩を栄児に贈るのでした。二人の距離がぐっと縮まった、微笑ましいシーンでしたね。

迫りくる悪意の影と、寿喜姑姑(じゅきここ)の覚悟

しかし、そんな穏やかな時間は長くは続きません。

寿喜姑姑(じゅきここ)は、栄児に「鶏蓉鑲銀芽(鶏そぼろと銀もやしの詰め物)」という料理にまつわる悲しい物語を語り聞かせます。それは、溥儀の生母が阿片によって命を落とした話でした。どんなに辛いことがあっても、自ら命を絶つようなことはしてはいけない、と栄児を諭す寿喜姑姑。この言葉が、後の展開に重くのしかかってきます…。

その頃、二人は孫(そん)公公が夜な夜な厨房の生ゴミを漁る不審な行動を目撃していました。何か裏があると睨んだ矢先、その孫公公(そんこうこう)の魔の手が二人へと伸びます。孫公公(そんこうこう)は、自分の悪事を知られたと勘違いし、二人を排除しようと動き出すのです。

卑劣な罠!寿喜姑姑、絶体絶命

孫公公が仕掛けた罠は、あまりにも卑劣でした。彼は宮中の宝物である西洋の時計を生ゴミの桶に隠し、それを寿喜姑姑が盗んだかのように見せかけたのです。人贓ともに獲られ、弁解の余地なく寿喜姑姑は慎刑司へと連行されてしまいます。

追い打ちをかけるように、孫公公は寿喜姑姑の部屋を捜索させ、以前栄児が拾った文淵閣の料理本『玉食精詮』を発見させます。これで窃盗の罪は決定的となり、寿喜姑姑は無実の罪で厳しい拷問を受けることに…。

栄恵(えいけい)太妃や李琪は溥儀に寿喜姑姑の無実を訴え、溥儀は李琪に真相究明を命じます。しかし、拷問で傷だらけになった師の姿を見た栄児は、いてもたってもいられません。「あの料理本は私が拾ったものです!」と名乗り出ようとしますが、寿喜姑姑は血を吐くような声でそれを制止します。

「お前が名乗り出ても、私を庇うための嘘だと見なされるだけ。お前まで欺君の罪に問われてしまう。絶対に言うんじゃない!」

もし自分に万が一のことがあれば、太妃様を頼む、と後を託す寿喜姑姑。師匠の深い愛情と自己犠牲を前に、栄児はただ涙を流すことしかできませんでした。果たして、栄児と李琪は、この絶望的な状況から寿喜姑姑を救い出すことができるのでしょうか。

『溥儀の料理番』第12話の感想

今回は、登場人物たちの「覚悟」が胸に迫る回でした。特に、無実の罪を着せられながらも、弟子である栄児を守るため、決して真実を語らせようとしない寿喜姑姑の姿には心を打たれました。彼女が栄児に語った「どんなことがあっても生き抜け」という言葉は、自分自身にも言い聞かせていたのかもしれません。一方で、孫公公の底知れない悪意には、ただただ憤りを感じます。彼の策略によって、これまで築き上げられてきた信頼関係や穏やかな日常が、いとも簡単に崩れ去っていく様子は見ていて本当に辛いものがありました。光が強ければ強いほど、影もまた濃くなる。紫禁城という華やかな舞台の裏で渦巻く人間の業の深さを改めて感じさせられる、非常に重厚なエピソードだったと思います。

つづく