念願叶い、皇帝の料理番である「供膳権」を手にした栄児(えいじ)。しかし、その喜びも束の間、宮中で起きたダイヤモンド盗難事件の濡れ衣を着せられ、拷問が行われる慎刑司に投獄されてしまう。時を同じくして、皇帝・溥儀(ふぎ)が原因不明の病に倒れ、宮中は大混乱に陥る。医師もお手上げの状況の中、栄児を救うため、そして溥儀を救うため、侍衛の李琪(り・き)が立ち上がる。果たして、牢獄にいる栄児は、この絶体絶命の危機を乗り越えることができるのか。

「溥儀の料理番」あらすじネタバレ16話

いやはや、『溥儀の料理番』第16話は、息もつかせぬ展開でしたね!ようやく料理の腕でトップに立ったかと思いきや、まさかの大転落…。それでは早速、波乱万丈の第16話のあらすじと感想をお届けします!

供膳権獲得も束の間…栄児を陥れる卑劣な罠

ついに料理対決に勝利し、皇帝・溥儀(ふぎ)と太妃たちの食事を作る「供膳権」を手に入れた劉栄児(えいじ)。これで一安心…と思いきや、宮廷の権力争いはそんなに甘くありませんでした。宦官の劉義仁(りゅうぎじん)がすり寄ってきますが、栄児は「ルールはルールです」と一蹴。こういう実直なところが栄児の魅力ですが、同時に敵を作りやすい性格でもありますよね。

案の定、供膳権を奪われた敬懿太妃(けいい たいひ)は面白くありません。一方、栄児の後ろ盾である栄恵太妃(えいけいたいひ)は、溥儀の食事には細心の注意を払うよう、優しくも厳しく栄児に釘を刺します。そんな中、紫禁城を揺るがす大事件が発生!なんと、溥儀が日本の使者と会うために身につけようとしていた洋装のダイヤモンドが盗まれてしまったのです。しかも、盗みは皇帝の私室である養心殿にまで及んでいました。

この事件を利用したのが、敬懿太妃でした。自らの潔白を証明するためと称して屋敷の捜索を要求し、その流れで栄恵太妃の屋敷も捜索せざるを得ない状況に追い込みます。そして、案の定というべきか、盗まれた宝物は栄恵太妃の仏堂から発見されるのです。すべては、栄恵太妃と栄児を陥れるための周到な計画だったのですね。

宦官の劉義仁はここぞとばかりに溥儀に「仏堂に入れるのは栄恵太妃様と栄児だけです」と囁き、栄児に疑いの目を向けさせます。そして、栄恵太妃をも脅し、ついに栄児は盗みの犯人として捕らえられ、拷問が行われる慎刑司へと送られてしまいました。

溥儀、謎の病に倒れる!希望の光は牢獄の中に

栄児が捕らえられたことで、供膳権は敬懿太妃の手に戻ります。双喜(そうき)が腕を振るった豪華な海鮮料理に、溥儀は満足げな様子。しかしその夜、事態は急変します。溥儀が突然、激しい嘔吐と下痢に襲われ、手足が氷のように冷たくなってしまったのです。

呼ばれた洋医は注射をしようとしますが、幼い頃のトラウマから栄恵太妃が必死に阻止。頼みの綱の太医(漢方医)もお手上げ状態で、宮中はパニックに陥ります。時を同じくして、栄児の親友・青児(せいじ)は、拷問を受け傷ついた栄児の姿を目の当たりにし、涙にくれます。栄児は最後の望みをかけ、青児に玉佩を託し、侍衛の李琪(り・き)に助けを求めるよう頼むのでした。

知らせを受けた李琪(り・き)は、馬を飛ばして宮殿に駆けつけますが、溥儀は昏睡状態で会うこともできません。しかし、李琪(り・き)は諦めません。彼は、栄児なら皇帝の病を治せるかもしれない、と一縷の望みを抱きます。栄恵太妃もまた、かつて寿喜(じゅき)が作ってくれたスープで自身の腹痛が治ったことを思い出し、その味を受け継ぐ栄児に賭けようとしていました。

栄児は溥儀の症状を聞き、病因が「葷素不搭(肉と野菜の組み合わせの不調)」にあると見抜きます。しかし、肝心のスープの正確なレシピが思い出せません…。

命を懸けた嘆願!栄児、最後のチャンス

宮中の混乱をよそに、民国政府からは溥儀に紫禁城退去を求める圧力がかかっていました。皇帝が病に伏せっていては、交渉の場にも立てず、ますます立場が危うくなります。

この絶体絶命の状況で、李琪が動きます。彼は大臣たちの前で、栄児を牢から出し、皇帝の治療をさせるべきだと進言。栄恵太妃も溥儀に必死に願い出ます。しかし、敬懿太妃は「盗人の分際で、皇帝の命を実験台にする気か!」と猛反対。二人の太妃が激しく対立する中、李琪は叫びます。「私が彼女の保証人になります。もし栄児が陛下を治せなければ、代わりに私が罪を受けましょう!」と。

その言葉に、意識が朦朧としていた溥儀が応えます。かつて寿喜のスープを飲んだ記憶が、彼に決断させたのです。「…栄児を信じよう。彼女をここへ呼べ」。李琪の命を懸けた嘆願が、ついに溥儀の心を動かしたのでした。

『溥儀の料理番』第16話の感想

今回のエピソードは、主人公・栄児にとってまさに天国から地獄への急降下でした。ようやく実力が認められ、これからという矢先に、権力争いの渦に巻き込まれ、罪人として投獄されてしまう展開には、見ているこちらも胸が苦しくなりました。敬懿太妃や宦官たちの策略は実に巧妙で、その狡猾さには腹立たしさを覚えるほどです。しかし、それがあるからこそ、物語に深みと緊張感が生まれているのも事実でしょう。絶望的な状況の中、栄児を信じ、自らの危険も顧みずに奔走する李琪の姿は、本作の大きな見どころです。彼の誠実さと行動力が、暗い宮廷の中で唯一の希望の光のように感じられました。皇帝の病というサスペンスと、紫禁城の将来という政治的な危機が絡み合い、非常に見ごたえのある回でした。

つづく