いやあ、今回の『溥儀(ふぎ)の料理番』は息をのむ展開でしたね!宮中を襲った大火事が、登場人物たちの運命を大きく揺さぶる回となりました。早速、第23話の詳しいあらすじとネタバレを見ていきましょう。

物語は、建福宮の火災で大混乱に陥る宮中から始まります。栄恵太妃(えいけいたいひ)たちは御花園へ避難しますが、娘の栄児(えいじ)を心配する父・劉守貴(りゅう しゅき)は、じっとしていられずに宮中を駆けずり回ります。

その頃、青児(せいじ)が偶然にも栄児の巾着を拾います。中を覗くと、そこには李琪(り・き)の玉佩が。これを見た李琪は、栄児がまだ炎に包まれた建福宮に取り残されていると確信。ためらうことなく火の海へと飛び込み、意識を失っていた栄児を無事に救出します。しかし、李琪を心配して後を追った青児が、崩れてきた柱の下敷きになり、顔に大怪我を負ってしまうという悲劇が起きてしまいました。

火事の後、この一件がただの事故ではなく、何者かによる放火だったという疑惑が深まっていきます。李琪の妹・李玉枚(り・ぎょくまい) は、なんと放火を指示していた孫公公(そんこうこう)の顔を目撃!すぐに兄に知らせますが、李琪は「打草驚蛇(やぶをつついて蛇を出す)」を避けるため、軽率な行動を慎むよう釘を刺します。宮廷の闇は、思った以上に深いようです。

そして、今回の核心はなんといっても恋愛模様の急展開でしょう。

自分の顔に負った傷に絶望する青児。李琪は彼女を慰めますが、青児は「もし火の中にいたのが自分でも、命がけで助けてくれた?」と問い詰めます。李琪は「御前侍衛として当然だ」と答えるものの、青児は諦めきれず、改めて愛を告白。しかし、李琪は「君のことは妹のようにしか思えない」と、はっきりと拒絶するのでした。

一方、李琪の命がけの行動で、彼の自分への想いを確信した栄児。心は甘い幸福感で満たされますが、同時に、顔の傷と失恋で苦しむ親友・青児の姿が脳裏をよぎります。これ以上、彼女を傷つけることはできない…。そう決意した栄児は、李琪から預かっていた玉佩を彼に返し、今は気持ちを受け取れないと告げるのです。「もし青児が元気になって、その時まだあなたの心に私がいるのなら…」と言葉を残して。

栄児の苦しい決断を理解しながらも、受け入れるしかない李琪。彼の流す涙が、あまりにも切ないラストシーンでした。

『溥儀の料理番』第23話の感想

今回は、宮中の大火災というスペクタクルな出来事と、それに翻弄される人々の濃密な人間ドラマが見事に融合したエピソードでした。特に印象的だったのは、栄児の決断です。李琪の想いを知り、幸せの絶頂にいたはずの彼女が、親友である青児を思いやり、自ら身を引く姿には胸を打たれました。自分の気持ちに正直になることだけが誠実さではない、という彼女の選択は、非常に大人びていて、物語に深い奥行きを与えています。

また、青児の悲劇も心を締め付けます。李琪を想う一途な気持ちが、結果的に彼女自身を傷つけてしまう展開は皮肉であり、彼女の今後の心の動きから目が離せません。一方で、放火事件の真相に迫るサスペンス要素も本格化してきました。李玉枚が犯人を目撃したことで、宮廷内の権力闘争がより一層激化していくことでしょう。愛と陰謀が複雑に絡み合い、物語が大きく動き出したことを実感させる、非常に見ごたえのある回でした。

つづく