端康太妃(たんこうたいひ)の突然の逝去で、紫禁城に激震が走ります。栄児(えいじ)が心を込めて作った薬膳に、太妃を死に至らしめた原因があるとされ、彼女に殺害の嫌疑がかけられてしまいました。無実を訴える栄児ですが、提出された証拠はことごとく彼女を犯人だと示しています。味方であるはずの栄恵太妃(えいけいたいひ)まで疑われ、絶体絶命の状況に。陰で糸を引く真犯人の狙いとは一体何なのか。栄児と彼女を信じる李琪(り・き)は、この巨大な陰謀を打ち破り、無実を証明することができるのでしょうか。
「溥儀の料理番」あらすじネタバレ28話
まさかの展開が続いていますね!『溥儀(ふぎ)の料理番』、今回は息をのむようなサスペンスフルな回となりました。端康太妃(たんこうたいひ)の突然の死が、紫禁城に新たな嵐を呼び起こします。
事の発端は、敬懿太妃(けいい たいひ)の衝撃的な告発でした。彼女は皇帝・溥儀に対し、端康太妃の死は栄児(えいじ)が作った薬膳「十全大補膏」が原因だと訴え出たのです。これには溥儀も動揺を隠せません。すぐさま栄児を慎刑司(罪を犯した女官を取り調べる場所)に送るよう命じますが、ここで待ったをかけたのが李琪(り・き)。「まだ真相が明らかになっていない」と、彼は冷静に栄児をかばいます。
太医たちの調査によると、薬膳そのものに毒はなかったものの、薬渣から大量の「黄芩(オウゴン)」が発見されました。黄芩自体は毒ではありませんが、大量に服用すれば体を冷やす作用があり、もともと寒症だった端康太妃にとっては命取りになりかねない代物だったのです。
この一件、実は裏で糸を引く人物がいました。宦官の銭徳海(せん・とくかい)です。彼は宮中の薬品を横流しして私腹を肥やしており、その弱みを同僚の裕得福(ゆう とくふく)に握られてしまいます。口封じと引き換えに裕得福が持ち掛けたのは、なんと栄児を陥れるための証拠捏造でした。
銭徳海は、栄児が薬を調合した薬局「優草閣」に先回りし、保管されていた処方箋の控えを改ざん。本来「一銭」だったはずの黄芩の分量を「十銭」に書き換えさせ、元の処方箋を知る老医師を都から追い出してしまいます。
宮廷では、外部の医師も交えた再調査の結果、「黄芩の量が多すぎたことが死因」と結論付けられます。敬懿太妃は「やはり栄児が犯人だ」と勝ち誇ったように言い放ちます。
切り札となるはずだった優草閣の処方箋も、李琪(り・き)が持ち帰ったものは無情にも改ざんされたものでした。処方箋を書いた栄恵太妃(えいけいたいひ)も呼ばれますが、自分の筆跡であることは認めつつも「黄芩を十銭も書くはずがない」と必死に訴えます。しかし、動かぬ証拠を前に、彼女まで疑いの目を向けられてしまう始末。
追い詰められた栄児は、これ以上、恩人である栄恵太妃に迷惑はかけられないと、一人で罪を被る覚悟を決めます。侍女の青児(せいじ)に自分の形見を託し、李琪に頼んで密かに宮中を抜け出し、父と弟に最後の別れを告げにいくのでした。
酔いつぶれた栄児の荷物から、弟が偶然にも遺書を発見。全てを察した父・劉守貴(りゅう しゅき)は、「これは銭の野郎が栄児を陥れようとしているに違いねえ!」と叫びます。その名を聞いた李琪は、これが事件の真相に繋がる重要な手がかりだと確信。「必ず君の無実を証明する」と、絶望の中にいる栄児に固く誓うのでした。
『溥儀の料理番』第28話の感想
今回は、巧妙に仕組まれた罠によって主人公が追い詰められていく過程が、非常に見応えのあるエピソードでした。単なる毒殺事件ではなく、薬膳の知識を悪用した知的な犯罪という点が興味深かったです。悪役たちの狡猾な策略と、それに翻弄されながらも互いを信じようとする主人公たちの絆が、光と影のように対照的に描かれていました。特に、決定的な証拠となる処方箋が改ざんされる手口は巧妙で、この絶望的な状況をどうやって覆すのか、今後の展開から目が離せません。罪を一人で背負おうとする栄児の悲壮な覚悟と、彼女を支えようとする李琪や家族の姿には、胸を打たれるものがありました。
つづく