いやあ、今回の『溥儀(ふぎ)の料理番』第29話は、息もつかせぬ展開でしたね!太妃殺害というとんでもない濡れ衣を着せられ、絶体絶命のピンチに陥った我らが栄児(えいじ)。彼女を救うために奔走する李琪(り・き)の姿には、思わず拳を握りしめてしまいました。それでは早速、手に汗握る第29話の詳しいあらすじとネタバレを見ていきましょう!
愛の誓いと絶望の淵
牢獄で再会した栄児(えいじ)と李琪(り・き)。栄児はこれまで、自分の気持ちを抑え、酔ったふりをして李琪を避けていました。しかし、死を覚悟した今、ついに本心を打ち明けます。「もし、今回私が死なずに済んだなら、あなたに嫁ぐわ」。このあまりにも切ない愛の告白に、涙腺が緩んだのは私だけではないはずです。
一方、李琪は溥儀(ふぎ)に事件の調査状況を報告。栄児が薬を購入した「優草閣」の薬材が宮中から横流しされたものであり、その背後にいるであろう宦官・銭徳海(せん・とくかい)が姿を消したことを伝えます。溥儀から直々に調査を命じられた李琪は、栄児の無実を証明するため、決死の覚悟で動き出します。
消された証人、深まる謎
栄児を心配する料理人仲間の劉爾(りゅう じ)と玉枚(ぎょくまい)も、独自に優草閣を見張っていました。そこに現れた李琪は、危険な単独行動を諌めつつも、彼らの協力を得て調査を進めます。劉爾(りゅう じ)がおとりとなって優草閣に乗り込み、店主を揺さぶる作戦に。
案の定、店主は慌てて銭徳海(せん・とくかい)の隠れ家へと向かいます。後をつけた李琪と玉枚(ぎょくまい)は、ついに銭徳海を追い詰めました。薬の横流しと太妃殺害への関与を問い詰める李琪。しかし、銭徳海が黒幕の名を口にしようとしたその瞬間、闇から放たれた矢が銭徳海と店主の命を奪ってしまいます。唯一の手がかりが消され、栄児の立場はさらに危ういものとなってしまいました。
法廷対決!科学が暴いた真相
ついに栄児は法廷へ。太医や御医たちも、薬の残渣から毒性のある黄芩(オウゴン)が大量に検出されたことから、「薬方に問題あり」との結論を下します。敬懿太妃(けいい たいひ)は栄児を厳罰に処すよう溥儀に迫り、万事休すかと思われました。
しかし、その時です!栄恵太妃(えいけいたいひ)が「自分が写した処方箋は問題ない古方のはずだ」と駆けつけます。それでも納得しない敬懿太妃(けいい たいひ)。ここで、我らが李琪が名探偵ぶりを発揮します。薬方を検分し、改ざんの可能性を指摘。さらに、「宣紙は三層に剥がせる。下の層に改ざんの痕跡がなければ、栄恵太妃(えいけいたいひ)は無関係だ」と驚きの方法を提案します。
検査の結果、下の層に改ざんの痕跡はなく、栄恵太妃の潔白が証明されました。とどめを刺したのは、宮外の医師がもたらした薬物検査の証明書です。西洋医学の見地からも、栄児が作った軟膏はただの滋養強壮薬であり、敬懿太妃の本当の死因は持病の傷寒(風邪)が悪化したことによるものだと断定されたのです。
こうして、栄児の無実は見事に証明されました。薬の残渣から見つかった黄芩は、銭徳海が口封じのために後から混入させたものだったのです。黒幕の正体は依然として謎に包まれたまま、溥儀の判断で事件は一応の幕引きとなります。
新たな嵐の予感
無罪放免となったものの、心労で倒れてしまった栄児。見舞いに来た李琪が、牢獄での約束を覚えているかと尋ねますが、栄児は恥ずかしさからか、とぼけてはぐらかしてしまいます。
しかし、二人に安息の時は訪れません。ラストでは、軍閥の馮玉祥(ふう ぎょくしょう)が紫禁城を包囲。皇帝の優遇政策を取り消し、溥儀を紫禁城から追放しようと迫ります。宮中が再び大混乱に陥る中、物語は新たな激動の時代へと突入していくのでした。
『溥儀の料理番』第29話の感想
今回のエピソードは、前半のサスペンスフルな捜査劇から、後半の法廷での鮮やかな逆転劇へと続く構成が見事でした。特に、李琪が提案した「宣紙を剥がして証拠を見つける」という科学的な捜査手法には驚かされました。ただの恋愛模様や宮廷内の権力争いだけでなく、こうした知的な謎解き要素が加わることで、物語に一層の深みと面白さが生まれています。
また、栄児を救おうと必死に奔走する李琪の姿は、彼の聡明さと行動力、そして栄児への深い愛情を改めて感じさせました。一方で、黒幕の正体が明かされないまま、溥儀の鶴の一声で事件がうやむやにされてしまう結末は、皇帝の権威が揺らぎつつある当時の宮中の複雑な力関係を象徴しているようで、非常に考えさせられるものがありました。歴史の大きなうねりの中で、個人の正義や真実がいかに脆いものであるかを突き付けられた気がします。最後に示された馮玉祥(ふう ぎょくしょう)の登場は、彼らの運命がさらに大きな歴史の波にのまれていくことを予感させ、今後の展開から目が離せません。
つづく