宮中を追われたはずの宿敵が、またしても栄児たちの前に立ちはだかります!『溥儀(ふぎ)の料理番』第34話は、紫禁城の外に舞台を移し、登場人物たちが新たな困難に直面する、息もつかせぬ展開となりました。悪の限りを尽くす裕得福の執念と、それに立ち向かう栄児と李琪(り・き)の絆が試される、見逃せないエピソードです。

それでは早速、第34話の詳しいあらすじとネタバレを見ていきましょう!

悪党は死なず、ただ暗躍するのみ

物語は、あの憎き宦官・裕得福(ゆう とくふく)が、未だに悪事を続けている場面から始まります。彼は栄恵太妃(えいけいたいひ)を巧みに騙して金品をせしめると、裏で繋がっている青児(せいじ)に謎の薬を渡します。どうやら青児(せいじ)は、裕得福に何らかの弱みを握られているようですね…。

一方、栄児(えいじ)は裕得福が宝物を盗み続けていることを栄恵太妃(えいけいたいひ)に必死に訴えます。しかし、「お前は盗む現場を直接見たのか?」と一蹴されてしまいます。寿喜(じゅき)の死を引き合いに出され、「もう彼を追うのはおよし」と諭される栄児。証拠がないことのもどかしさと、亡き友への想いが、彼女の心を苦しめます。

その頃、裕得福の元には「栄児が太妃に告げ口した」という密告が。これを知った裕得福は、「一度は見逃してやろうと思ったが、あいつが自ら死にたがっているようだ」と呟き、栄児の殺害を決意するのでした。彼の底知れぬ悪意には、本当にゾッとさせられますね。

宮中の外で試される絆

場面は変わり、宮中を追われた李琪(り・き)の家へ。彼は御前侍衛の職を失い、失意の中にいました。そんな彼を訪ねてきたのは、栄児です。彼女は裕得福を見かけたこと、そして彼を捕まえる決意を李琪(り・き)に伝えます。李琪は「一人で動くな」と彼女を案じ、「裕得福が都にいるなら、必ず見つけ出せる」と力強く約束します。

街へお使いに出た栄児に、李琪は一輪の花を贈ります。「ずっと待っている」という彼の言葉は、不安の中にいる栄児にとって、どれほど心強い光になったことでしょう。

しかし、裕得福の魔の手は、栄児のすぐそばに迫っていました。彼は賭博で借金を重ねる大皇子を脅し、なんと栄児の父・劉守貴(りゅう しゅき)が作った借金の証文を手に入れます。これを使い、栄児を陥れようという魂胆です。どこまでも卑劣な男ですね!

忍び寄る危機、そして救いの手

李琪は新聞記者の陸秋桐(りく しゅうどう)に協力を求め、裕得福の悪事を暴こうと動き出します。しかし、確たる証拠がないため、記事にすることはできません。宮中を離れた今、侍衛という身分も失い、仕事探しにも苦労する李琪。時代の移り変わりが、彼の肩に重くのしかかります。

その裏で、大皇子は「清朝復辟のため」と嘘をつき、栄恵太妃から多額の金品を騙し取ります。さらに、青児が何者かに操られ、栄児をある場所へとおびき出します。案の定、そこで栄児は危機に陥りますが、間一髪のところで駆けつけたのは李琪でした!

「これは裕得福の仕業に違いない」と確信する李琪。彼は栄児に、これ以上危険な目に遭わないよう、実家へ帰ることを勧めますが、栄児は太妃のそばを離れられないと断ります。栄児を守るため、李琪は皇帝・溥儀(ふぎ)に事の次第を報告し、助けを求めることを決意するのでした。

『溥儀の料理番』第34話の感想

今回のエピソードは、宮中という閉ざされた世界から一歩外へ出たことで、物語が新たな緊張感を帯びてきました。最大の悪役である裕得福の執念深さには、改めて底知れぬ恐ろしさを感じます。彼の悪事はもはや宝物を盗むだけに留まらず、登場人物たちの人間関係や弱みにつけ込み、じわじわと破滅させようとする陰湿なものへと変化しています。特に、栄児の父親の借金証文を手に入れるくだりは、彼の狡猾さが際立つ場面でした。

その一方で、逆境にあるからこそ、栄児と李琪の絆が一層強く輝いて見えました。職を失い、社会の厳しさに直面しながらも、愛する人を守ろうと奔走する李琪の姿は非常に心を打ちます。彼が栄児に花を贈るシーンは、暗い展開の中での一筋の光のようでした。正義を貫こうとする二人の純粋な想いが、裕得福の策略にどう立ち向かっていくのか、目が離せません。

つづく