親友の青児(せいじ)を助けた栄児(えいじ)だったが、二人の間には考え方の違いから溝が生まれてしまう。そんな中、孫宦官からの嫌がらせは続き、二人は御犬の世話を命じられる。しかし、その御犬が何者かに毒を盛られ、青児が罰せられることに。栄児は助けを求める中で、皇帝の侍衛だと名乗る心優しい青年と出会い、彼に望みを託す。理不尽な宮中の仕打ちに耐えかねた栄児は、ついに宮中から抜け出すという大きな決断を下すが、その計画は予期せぬ人物との遭遇によって、思いもよらない結末を迎えることになる。

「溥儀の料理番」あらすじネタバレ5話

親友のためなら、たとえ相手が宦官だろうがお構いなし!前回、孫宦官に連れていかれた青児(せいじ)を救うため、栄児(えいじ)は棍棒を手に孫宦官の部屋へ殴り込み!見事、青児を救い出します。

しかし、二人の間には溝が生まれてしまいました。孙宦官に賄賂を渡して波風を立てずにやり過ごしたい青児と、不正には断固として立ち向かうべきだと考える栄児。宮中で穏やかに過ごしたいだけなのに…という青児の気持ちも分かりますが、栄児の正義感は止まりません。

案の定、孫宦官の嫌がらせはエスカレート。二人は誰もいない宮殿の掃除と、御犬「泰格(タイガー)」の世話を押し付けられます。ところが、この泰格の餌に何者かが毒を盛り、泰格が病に倒れてしまう事件が発生!濡れ衣を着せられた青児は、三十叩きの罰を受けてしまいます。

怒りに燃える栄児は、溥儀の側近である李琪(り・き)に助けを求めますが、「証拠がない」と冷たく突き放されてしまいました。なんて冷酷な人なんだと憤る栄児。しかし、実は李琪(り・き)、彼女が見ていないところで動いていました。溥儀に「泰格に会いに行かれては?」とさりげなく進言し、皇帝の足を御犬殿へと向けさせたのです。

その御犬殿で、栄児は皇帝の侍衛だと名乗る心優しい青年と出会います。彼こそが、後の物語を大きく動かすことになる溥儀(ふぎ)その人でした。もちろん、栄児は彼の正体に全く気付いていません。「皇帝は孤独な人だ」と語る彼に、「紫禁城で何でも手に入るのに、孤独なはずがない」と反論する栄児。そして、彼が皇帝に話を取り次げる立場だと知ると、孫宦官の悪事を告発してほしいと訴えます。溥儀は快く引き受けてくれました。

その頃、青児は罰で受けた傷が悪化し、瀕死の状態に。御医にも薬を断られ、絶望する栄児でしたが、部屋に戻ると青児が手当てを受けていました。溥儀の計らいで孫宦官は罰せられ、青児は解放されたのです。さらに、寿喜(じゅき)おばさんが薬を届けてくれますが、これを手配したのも、実は陰で動いていた李琪(り・き)でした。

友の回復を喜ぶ一方、理不尽な宮中の暮らしに嫌気がさした栄児は、ついに宮中からの脱走を決意します。夜、塀を乗り越えようとしていると、偶然にも溥儀と再会。「羨ましい」と言う溥儀に、栄児は「あなたも一緒に逃げる?」と手を差し伸べます。

しかし、二人の脱走計画は、密告によって駆け付けた孫宦官や李琪たちによって阻まれてしまいます。「侍衛と駆け落ちか!」と栄児を罵る孫宦官が、背を向けていた男の肩を掴んで振り向かせると…そこにいたのは、なんと皇帝・溥儀!

その場の全員が凍り付き、ひれ伏します。栄児が親しく話していた心優しい侍衛の正体が、この国の皇帝だったと知った瞬間でした。皇帝を連れて逃げようとした大罪で、栄児は太妃から三十叩きの罰を言い渡されてしまいます。意識が朦朧とする中、李琪が溥儀からの薬と「騙すつもりはなかった」という伝言を届けに来ますが、栄児はまたしても彼と口論になってしまうのでした。

『溥儀の料理番』第5話の感想

今回は物語が大きく動いた回でした。栄児のまっすぐで、時に無鉄砲なほどの行動力が、宮中の淀んだ空気をかき回していく様子は見ていて小気味良いです。しかし、そのせいで親友の青児との間に亀裂が生じてしまう展開は、非常に現実的で胸が痛みました。また、表向きは冷たく突き放しながら、陰では栄児を助ける李琪の行動には、彼の複雑な立場や心情が垣間見え、キャラクターの奥行きを感じさせます。そして何より、侍衛だと思っていた青年が実は皇帝溥儀本人だったという事実が判明する場面は、この物語の核心に触れる大きな転換点となりました。この衝撃の事実が、栄児の運命と宮中の人間関係にどのような影響を与えていくのか、今後の展開から目が離せません。

つづく