念願の重華殿御膳房に配属され、さらに副料理番へと大抜擢された容儿。しかし、彼女を待っていたのは、先輩からの厳しい洗礼と高いプロ意識の壁だった。ひたむきな努力で少しずつ周囲に認められ始めた矢先、偶然にも宮中の重大な秘密を知ってしまう。そのことがきっかけで、容儿は命の危険に晒されることに。料理人としての成長と、宮廷の陰謀が交錯する、息もつかせぬ展開が待ち受ける。
「溥儀の料理番」あらすじネタバレ9話
いやあ、第9話もすごかったですね!料理人としてのステップアップと、宮廷のドロドロした陰謀が絶妙に絡み合って、一瞬たりとも気を抜けませんでした。念願の部署に配属された栄児(えいじ)を待ち受けていたのは、甘いだけではない、しょっぱくて厳しい現実。そして、彼女の耳に入ってしまった、決して知ってはいけない秘密…。
それでは早速、『溥儀の料理番』第9話の世界にどっぷり浸かっていきましょう!
やっと掴んだチャンス!でも、現実は厳しかった…
前回のラストで時疫(伝染病)の疑いをかけられ、絶体絶命だった栄児。まさにその時、栄恵太妃(えいけいたいひ)と寿喜姑姑(じゅきここ)が通りかかり、事なきを得ました。栄児の顔の紅疹は花粉アレルギーが原因だと見抜いた太妃の鶴の一声で、彼女はついに憧れの重華殿の御膳房への配属が叶います。
しかも、寿喜姑姑の計らいで、下働きの「了青」から一気に副料理番である「帮案(ほうあん)」へと大抜擢!これは異例中の異例で、周りの女官たちからは嫉妬の視線が突き刺さります。特に、3年かけてやっと帮案になった先輩の彩碧(さいへき)は、栄児のことが気に入らない様子。
やる気満々の栄児ですが、彩碧は「見てるだけでいい」と、一切仕事をさせてくれません。皆が忙しく立ち働く中で、ひとり手持ち無沙汰な栄児。その姿は、見ているこちらも胸が苦しくなるほどでした。せっかく掴んだチャンスなのに、何もできないなんて…。彼女の焦りと悔しさがひしひしと伝わってきますよね。
厳しい指導の裏にあるプロ意識
落ち込む栄児に、同室の青児(せいじ)は「彩碧は仕事に人一倍熱心なだけ」と励まします。その言葉通り、彩碧は誰よりも早く起きて食材を選び、夜は在庫チェックを欠かさない、まさにプロ中のプロでした。
栄児は彩碧のやり方を見よう見まねで、早朝にこっそり蒸し卵の練習を始めます。しかし、泡もきちんと取り除けていない雑な仕事ぶりに、彩碧は無言でそれを残飯用の桶に捨ててしまうのです。厳しい!でも、これぞ皇帝の食事を作る御膳房のプライドなんですね。
食材選びに同行した際には、ニラ一つとっても葉の幅で食感が違うことを学び、栄児は自分の未熟さを痛感します。そんな中、厨房の引き出しから「帮案手冊」という虎の巻を発見!これを頼りに練習を重ね、ついに彩碧に「上出来だ」と言わせるほどの卵液を作れるように。
しかし、いざ実践となると、段取りが分からずパニックに!結局、寿喜姑姑の助け舟もあって、まだまだ力不足であることを思い知らされます。落ち込む栄児を慰めたのは、またしても衛兵の李琪(り・き)。彼の「まず相手を理解することから始めろ」というアドバイスは、料理だけでなく、人間関係の核心を突く言葉でした。
この言葉を胸に、栄児はひたむきな努力を続け、その姿は徐々に彩碧や寿喜姑姑の心を動かしていくのでした。
聞こえてしまった秘密と、命がけの忠誠心
そんなある日、栄児はとんでもない話を耳にしてしまいます。なんと、王爺(おうや)たちが皇帝の所有物である貴重な汗血馬を横流ししているというのです!溥儀(ふぎ)が乗馬をしたがっているため、彼らはその穴埋めに躍起になっていました。
しかし、運悪くその会話を聞いていたことがバレてしまい、王爺に捕まってしまいます。絶体絶命のピンチを救ったのは、またしても李琪(り・き)でした。
栄児から事情を聞いた李琪(り・き)は、彼女の身の安全を第一に考え、王爺に「馬を元に戻せば、この件は黙っておく」と警告。王爺も、栄児の背後に李琪がいると知り、ひとまずは手を引きます。
しかし、栄児は李琪が溥儀に報告しなかったことに納得がいきません。「なぜ陛下に真実を伝えないのですか!」と詰め寄りますが、李琪は「お前が危険に晒される」と取り合わず、二人の間には溝が生まれてしまいます。
そんな中、溥儀が馬場で食事をすると聞きつけた栄児。これは直接陛下に伝えるチャンス!と、自ら配膳係を志願します。
馬場に現れた栄児を見て、溥儀は嬉しそうに馬から下ります。しかしその瞬間、馬が突然暴走し、溥儀めがけて突進!栄児は考えるより先に体を動かし、溥儀を突き飛ばしてかばいます。壁に激しく体を打ち付け、ぐったりとする栄児。李琪が血相を変えて彼女を抱きかかえ、御医のもとへ駆けていくところで、第9話は幕を閉じました。
『溥儀の料理番』第9話の感想
今回は、栄児の料理人としての地道な成長と、宮中で渦巻く陰謀という二つの物語が、緊張感をもって交差する見事な回でした。特に印象的だったのは、先輩である彩碧の人物描写です。最初はただ意地悪な先輩にしか見えませんでしたが、彼女の厳しい態度は、皇帝の食卓を預かるという強烈なプロ意識の裏返しでした。その不器用な優しさに、栄児が少しずつ気づいていく過程は、本作の大きな見どころの一つだと感じます。また、栄児を守るためにあえて不正を黙認する李琪と、それに反発する栄児のすれ違いも、二人の関係性の深まりを感じさせ、心を揺さぶられました。単なるお仕事ドラマではなく、ヒューマンドラマとしての厚みが増したように思います。
つづく