行方不明の弟を知るという謎の少女と出会った褚思鏡(ちょ・しきょう)。彼女の曖昧な記憶と、繰り返し見るという悪夢を手がかりに、弟の失踪の真相に迫ろうとします。一方、島の調査を進める中で、相棒の伯顔(バヤン)が島の住人に捕らえられ、島の隠された秘密が少しずつ見え始めます。怪物に追われ、命からがら島を脱出した褚思鏡は、濃霧の海を漂流した末、巨大な異国の戦艦に救助されます。しかし、たどり着いた先で朝廷の役人に捕らえられ、絶体絶命の危機の中で、生き残りをかけた新たな任務を与えられることになるのでした。
「天啓異聞録」あらすじネタバレ3話
いやはや、第2話のラストで怪物と遭遇し、絶体絶命かと思われた褚思鏡(ちょ・しきょう)。第3話では、物語がさらに複雑に、そして大きく動き出しましたね。今回は、弟の失踪の謎に迫る重要な手がかりと、思わぬ形での新展開が待ち受けていました。
弟を知る少女、深まる島の謎
物語は、褚思鏡(ちょ・しきょう)の目の前にいる謎の少女が、彼の名を口にしたところから始まります。驚く褚思鏡(ちょ・しきょう)に、少女は「あなたのことじゃない、あなたの弟よ」と告げます。彼女は2年前に失踪した褚思鏡の弟・褚思鈺(ちょ・しぎょく)と会っていたのです。少女の話によると、2年前に彼女の母親が褚思鈺を連れて「渥旃(うせん)」という場所へ向かったきり、戻ってこなかったとのこと。彼女自身もその日の記憶が曖昧で、ただ奇妙な場所の夢を繰り返し見るだけだと言います。
一方、島の調査を進める褚思鏡は、明の矢尻を発見します。この島がただの辺境の島ではないことを確信し、すぐにでも朝廷へ報告すべきだと主張しますが、相棒の伯顔(バヤン)は、怪物の噂が広まれば国境防衛の計画が頓挫すると猛反対。二人の意見はまたしても衝突します。
そんな中、島をうろつく黒衣の集団が出現。一時休戦し共闘しますが、数の差は歴然で、伯顔(バヤン)が捕らえられてしまいます。村長のもとへ連行された伯顔(バヤン)ですが、村長は彼を傷つけるつもりはないと言います。ただ、島の秘密を外に漏らされることを極端に恐れている様子。この島、一体何を隠しているのでしょうか…。
怪物との再会、そして漂流の果てに
その夜、褚思鏡は再び悪夢にうなされます。すると、あの少女が現れ、自分も同じ夢に苦しめられていると語ります。二人の見る夢は、どうやら弟の褚思鈺に繋がっているようです。
少女は、夢で見るという怪しげな場所へ褚思鏡を案内します。しかし、そこで不気味な声が響き渡り、怪物の出現を察知した少女は、褚思鏡たちを必死に逃がそうとします。そして、「あの化け物は私を傷つけない」と衝撃的な言葉を残すのです。
なんとか船で脱出した褚思鏡と仲間の賀六宏(が・ろくこう)。しかし、オールが折れてしまい、濃霧の海を漂流する羽目に。絶体絶命かと思われたその時、目の前に現れたのは、巨大な「仏郎機(フランキ)」の戦艦でした。
死の淵から与えられた新たな任務
戦艦の艦長である異国の女性アンジェリカに救助された褚思鏡は、寧海堡(ねいかいほう)という場所に連れて行かれます。しかし、そこで彼を待っていたのは、朝廷の役人である楊公公(ようこうこう)でした。朝廷からの密使ではないと疑われた褚思鏡は、処刑の危機に陥ります。
彼の才能を惜しんだ楊公公は、一つの取引を持ちかけます。それは、艦長のアンジェリカを監視し、その言動を逐一報告すること。これが、生き残るための唯一の道でした。楊公公は、自分もかつて褚思鏡の弟を探したが見つからなかったと告げ、諦めるよう促します。
その夜、褚思鏡は眠れずに過去を思い出していました。2年前、重い病に伏していた自分の代わりに、弟が危険な任務に赴き、そのまま帰らぬ人となったこと。弟を見つけ出すまで、自分の心に安らぎは訪れない…彼の決意は、新たな舞台でさらに固いものとなっていくのでした。
『天啓(てんけい)異聞録』第3話の感想
烏暮(うぼ)島という閉鎖された空間から、寧海堡、そして異国の戦艦へと、一気に物語のスケールが広がった第3話でした。謎が一つ解明されるかと思えば、さらに大きな謎が立ちふさがる、実に巧みな構成です。
特に印象的だったのは、主人公・褚思鏡の人間的な側面が深く描かれた点です。行方不明の弟への罪悪感と、何としても見つけ出したいという強い意志。彼の抱える痛みがひしひしと伝わってきて、超常的な怪物や国家間の陰謀といった大きな物語の中で、確かな人間ドラマの軸を打ち立てています。
また、「怪物は私を傷つけない」と語った少女の存在が、物語全体の核心に触れる鍵であることは間違いないでしょう。彼女と怪物、そして失踪した弟の関係とは。新たな登場人物も加わり、それぞれの思惑がどのように絡み合っていくのか、目が離せない展開が続きます。
つづく