第4話で汪淼(ワン・ミャオ)の目に映り込んだ、あの不気味なカウントダウン。一体何が始まるのかと固唾をのんで見守っていましたが、第5話はその答えと、さらなる絶望、そして一筋の光が描かれる、とんでもないエピソードでした。

さっそくですが、今回も張り切ってあらすじとネタバレを見ていきましょう!

宇宙が、本当に瞬き始めた

物語は、停職中の刑事・史強(シー・チアン)がバイクにはねられるシーンから始まります。相手は慕星(ムー・シン)と名乗るジャーナリスト。彼女は科学者の連続自殺事件を追っており、史強(シー・チアン)に協力を持ちかけますが、百戦錬磨の史強(シー・チアン)は録音ペンをあっさり見抜き、彼女をあしらいます。

その頃、汪淼(ワン・ミャオ)は観測基地で、申玉菲(シェン・ユーフェイ)に言われた「宇宙があなたのために瞬く」という言葉の真偽を確かめようとしていました。そこにいたのは、今は亡き楊冬(ヤン・ドン)の母、葉文潔(イエ・ウェンジエ)(青年期)の元教え子である沙瑞山(シャー・ルイシャン)。彼は「宇宙の瞬きなんて、世界の終わりでも起きない」と一笑に付しますが、それでも観測の準備を手伝ってくれます。

そして、運命の午前1時。観測モニターの波形が、緑から一斉に不気味な赤色へと変わります。最初は機器の故障を疑った沙瑞山ですが、すべての観測装置が同じ異常を示していることに気づき、愕然とします。「ありえない…」と叫びながらも、彼と汪淼(ワン・ミャオ)は認めざるを得ませんでした。宇宙は、本当に瞬いているのです!

汪淼は、この波形がモールス信号であることを見抜き、解読を依頼。そこには「残り1108時間」という、新たなカウントダウンが示されていました。

絶望の淵で見えたもの

沙瑞山から「3Kメガネを使えば、この現象を視覚的に捉えられる」と聞いた汪淼は、車を飛ばして天文館へ。送られてきたメガネをかけると、世界が真っ赤に染まり、あの忌まわしいカウントダウンの数字が立体的に浮かび上がり、自分に迫ってくるではありませんか!

あまりの恐怖にメガネを投げ捨てた汪淼は、完全に理性を失い、申玉菲(シェン・ユーフェイ)に電話をかけます。「カウントダウンの終わりには何があるんだ!」と狂ったように叫ぶ彼に、申玉菲(シェン・ユーフェイ)はただ「知らない」と冷たく答えるだけでした。

精神的に崩壊し、道端で震える汪淼。そこへ、まるで救いの神か悪魔のように史強が現れます。「楊冬(ヤン・ドン)と違って、あんたに自殺する度胸はねぇだろ」と軽口を叩きながら、彼を朝食に連れ出します。

酒の勢いもあって、汪淼はすべてを打ち明けました。目に映るカウントダウン、宇宙の瞬き…。常識では考えられない話に、史強は「くだらねぇ」と一蹴します。しかし、科学では説明できない恐怖に怯える汪淼に対し、彼はこう言い放ちます。

「大したことねぇ。いざとなりゃ農耕社会に戻りゃいい。ご先祖様ができたんだ、俺たちにだってできるさ」「奴らがあんたを怖がらせようとしてるなら、その思い通りになるな。背筋を伸ばして、突っ立ってろ!」

このあまりにも無骨で、しかし力強い言葉が、絶望の淵にいた汪淼の心を強く打ちました。

恐怖を乗り越え、再び研究室へ

史強の言葉は、汪淼にとってまさに救いでした。彼は言われた通りに朝食を平らげ、家に帰ってぐっすりと眠りました。娘の豆豆(ドウドウ)と交わす何気ない会話に、久しぶりの笑顔がこぼれます。

その後、娘の学校で物理学の特別講義を行った汪淼は、子供たちにこう語りかけます。「真理を探す道は平坦ではありません。しかし、歴史が証明しているように、真理の探求は常に正しいのです。その心を、決して諦めないでください」

それはまるで、自分自身に言い聞かせているかのようでした。

そして彼は、研究室へと戻ります。ナノマテリアルの実験を再開した瞬間、彼の目に再びあのカウントダウンが浮かび上がりました。しかし、その目に、もはや恐怖の色はありませんでした。

『三体』第5話の感想

科学という絶対的な指標を根底から覆される恐怖と、それに対する泥臭いまでの人間的な強さの対比が見事な回でした。特に印象的だったのは、史強というキャラクターの存在感です。汪淼が陥った、科学者であるがゆえに逃れられない論理的な恐怖に対し、史強がぶつけたのは「知ったことか、生きてりゃなんとかなる」という、ある意味で究極の現実論でした。彼の言葉は、小難しい理屈をすべて吹き飛ばすほどの説得力があり、追い詰められていた汪淼だけでなく、見ているこちらの心にも深く響きました。高度な知性が生み出した恐怖を、最も原始的な生命力で乗り越えようとする構図は、この物語の核心に触れるものだと感じさせます。精緻に描かれるSF的な恐怖と、人間ドラマの力強さが高次元で融合した、非常に見応えのあるエピソードでした。

つづく