ついに、羅宜寧(ルオ・イーニン)がずっと心の奥底で追い求めていた母の死の真相に、一条の光が差し込んできました。しかし、それはあまりにも残酷で、彼女の心を激しく揺さぶるものでした…。今回は、息をのむ展開の連続となった第16話の詳しいあらすじとネタバレをお届けします。
羅慎遠(ルオ・シェンユエン) の機転と、深まる謎
物語は、賽文宴(さいぶんえん)での一幕から始まります。羅慎遠(ルオ・シェンユエン) が披露した見事な詩は、居合わせた人々を感嘆させ、彼の才覚を改めて知らしめました。一方、彼を追う陸嘉学(ルー・ジアシュエ)は、羅(ルオ)家を徹底的に捜索するも、何の証拠も見つけられません。程(チェン)家への贈り物の箱がまだ捜索されていないと聞いた陸嘉学(ルー・ジアシュエ)は、一筋縄ではいかない羅慎遠(ルオ・シェンユエン) を好敵手として認識します。
その頃、羅慎遠は大胆な策に出ていました。なんと師兄を小間使いに変装させ、高官である程家の駕籠(かご)に忍び込ませていたのです。有力な程家への贈り物を陸嘉学(ルー・ジアシュエ)が強引に調べることはできないと踏んだ、まさに乾坤一擲(けんこんいってき)の賭け。彼の冷静さと度胸には、本当に驚かされますね。
明かされる母の死の真相
さて、物語の核心へ。羅宜寧(ルオ・イーニン)は、亡き母に長年仕えていた老僕の鄭栄(ジョン・ロン)と、ついに再会を果たします。母の死後、南方へ行っていた鄭栄を、ようやく呼び寄せることができたのです。しかし、鄭栄の姿を見た羅家の女主人である羅老太太(らおろうたいたい)の顔色は一変。招かれざる客だと非難しますが、羅宜寧(ルオ・イーニン)が「母が恋しくて自分が呼んだ」と間に入り、その場を収めます。
二人きりになった時、鄭栄の口から語られたのは、衝撃的な事実でした。
羅宜寧の母の死は、不可解な点が多かったこと。当時、側室の策略と夫・羅成章(ルオ・チョンジャン)の心ない仕打ちに、母は離縁すら考えていたといいます。しかし、子供たちのために耐え忍んでいたのです。
そんなある日、長らく顔も見せなかった夫の羅成章が、突然母の部屋を訪れ、一枚の茶葉を贈りました。しかし、その訪問が母の実家の財産目当てであったことを知った母は完全に絶望。贈られた茶葉を庭の海棠(かいどう)の木の下に投げ捨てると、その木は焼け死ぬように枯れてしまったというのです。
毒の証明、そして新たな決意
父が母に贈った茶葉が原因…?信じがたい事実に、羅宜寧は愕然とします。母の遺品の小箱を探すと、そこには確かに、半分残された茶葉がありました。
真実を確かめる勇気が出ない羅宜寧は、茶葉を手に羅慎遠の元へ向かいます。そして二人が見届けたのは、その茶葉を混ぜた餌を食べた白鼠が、血を吐いて絶命する瞬間でした。
激しい怒りと悲しみに駆られた羅宜寧は、父を問い詰めようとしますが、すんでのところで羅慎遠に止められます。「今は茶葉に毒があるとわかっただけ。父上が毒を入れたという証拠はない」と。彼の冷静な言葉が、激情に駆られる羅宜寧を我に返らせました。
この一件を経て、羅宜寧の心には新たな決意が生まれます。それは、まだ羅家の正式な一員として認められていない羅慎遠を、族譜(一族の系図)に載せること。彼女は継母である林海如(リン・ハイジョ)の元を訪れ、子供のいない彼女の養子として羅慎遠を迎えてはどうかと提案するのでした。知恩に厚い羅慎遠なら、将来科挙に合格すれば、あなたも「挙人(科挙合格者)の母」として誇れるはずだと…。
父への疑惑、母の無念、そして羅慎遠への恩返し。様々な想いが交錯する中、羅宜寧の戦いは新たな局面を迎えます。
『安寧録~海棠に降る光~』第16話の感想
今回は、物語の根幹を揺るがす非常に重いテーマが描かれました。信じていた家族、特に父親が母親を死に追いやったかもしれないという疑惑は、想像を絶する苦しみでしょう。羅宜寧が抱える悲しみと怒りが画面越しに伝わってきて、胸が締め付けられる思いでした。
そんな彼女の唯一の支えとなっているのが、羅慎遠の存在です。感情的になりがちな羅宜寧を、常に冷静な視点と深い洞察力で諭し、正しい道へと導く姿は、まさにこの物語の良心と言えます。彼がいなければ、羅宜寧は早まって事を仕損じていたかもしれません。
また、羅宜寧が自身の問題だけでなく、羅慎遠の境遇を改善しようと行動を起こす点も印象的でした。苦しい状況の中でも他者を思いやる彼女の強さが、今後の展開の鍵を握るのでしょう。ただの恋愛ドラマではない、人間ドラマとしての深みを感じさせる回でした。
つづく