何者かの襲撃により、景昭が内力を吸い取られ意識不明の重体に。その原因が自分と彼が異なる世界の人間だからだと知った初月は、愛する人を守るため、心を鬼にして別れを決意します。一方、江湖では新たな殺人事件が発生し、初月の友人に犯人の嫌疑がかけられてしまいます。友を救いたい一心で、初月は景昭に助けを求めますが、彼はある切ない条件を提示するのでした。すれ違う二人の運命が、新たな事件に巻き込まれながら大きく動き出します。

「花渓記~君が空から舞い降りて~」あらすじネタバレ24話

黒幕の影と悲しき決断

物語は、景凌の母の恐ろしい企みから幕を開けます。景昭が初月の正体を探っていると知った彼女は、自らの秘密が暴かれることを恐れ、息子の景凌に「名簿」を奪い取るよう命令。景凌は道中で景昭を待ち伏せ、激しい戦いの末、彼を打ち負かし名簿を奪い去ります。

景昭が負った傷は深く、なんと内力を吸い取る禁断の技「斗転星移」によるものでした。意識を失い、昏睡状態に陥った景昭。初月は眠らず食べずに彼に付き添い、ただただ回復を祈るばかり。そんな彼女に、景凌は妙音寺での祈祷を勧めます。

寺を訪れた初月は、一人の僧侶から衝撃の事実を告げられます。初月が別世界の人間であること、そして景昭がこの世界の人間であるため、二人の「気」の根源が異なり、共にいることが景昭の体を蝕む原因なのだと。景昭が剛直な性格ゆえに、その反動を一人で受け止めてしまっているという言葉に、初月は胸を痛めます。

屋敷に戻ると、景昭は奇跡的に意識を取り戻していました。元気になったら二人でここを去ろうと優しく語りかける景昭に、初月は心を鬼にして別れを告げます。「あなたの戦い続ける日々に疲れたの。あなたは単純だから、考えすぎなのよ」。愛しているからこそ、彼を傷つけないために離れる。彼女の言葉の裏にある悲痛な決意が、あまりにも切ないシーンでした。

新たな悲劇と紅翡(ホンフェイ)の危機

景昭への想いを断ち切れず苦しむ初月は、彼が完全に回復するまで魔花谷で過ごし、その後、現代へ帰ることを決意します。しかし、運命は彼女に安息を与えてはくれません。初月が魔花谷に着くと、そこには無残にも殺された谷主の姿が。悲しみに暮れる初月は、必ず仇を討つと固く誓います。

時を同じくして、江湖では「斗転星移」の使い狩りが始まっていました。疑いの目は、初月の友人である紅翡(ホンフェイ)に向けられます。討伐隊の前に立ちはだかった初月は「犯人は彼女じゃない!」と必死に庇い、駆けつけた景昭も彼女を弁護します。しかし、衆人は聞く耳を持ちません。

そこへ当事者の紅翡が現れ、激しい戦いの末に捕らえられてしまいます。絶体絶命の窮地に、割って入ったのは白芷(バイ・ジー) でした。彼女は「景昭が二日以内に真犯人を見つける」ことを条件に、紅翡の処刑を思いとどまらせます。

不器用な愛の取引

友を救うため、そして現代へ帰るため、初月は景昭に助けを求めます。そんな彼女に、景昭が提示した条件はあまりにも切なく、そして甘いものでした。

「別れたいのなら、これから七日間、俺の言うことを何でも聞け」

「紅翡を助けてほしければ、俺に甘えて、抱きしめろ」

彼の不器用な愛情表現に、初月の心は揺れ動きます。彼の要求を受け入れ、二人は紅翡を救うために地牢へ。しかし、その様子を白芷(バイ・ジー) が目撃してしまいます。「また景昭様をたぶらかして!」と嫉妬の炎を燃やす白芷。

翌朝、こっそりと屋敷を去ろうとする初月を景昭が見つけます。「もう会わないと約束したはずだ」。その言葉に、初月は立ち尽くすしかありませんでした。彼を傷つけまいとどんなに努力しても、会いたい気持ちを抑えきれない。二人の想いは、あまりにも複雑に絡み合っていくのでした。

『花渓記~君が空から舞い降りて~』第24話の感想

愛する人を守るために、自ら身を引くという初月の決断には胸が締め付けられました。本来なら最もそばにいて支えたいはずなのに、自分の存在そのものが彼を傷つけてしまうという現実はあまりにも過酷です。彼女が放った「疲れた」という言葉は、決して本心ではなく、悲しい覚悟の表れなのでしょう。

一方、景昭の不器用ながらも一途な愛情表現には、心を打たれずにはいられません。別れを切り出されてもなお、彼女を繋ぎとめようとする彼の行動は、痛々しくも愛おしく感じられます。二人の間に横たわる運命の壁と、周囲の陰謀が物語に深い陰影を与え、ただの恋愛ドラマではない重厚さを醸し出していました。すれ違う二人の心が、いつか再び重なる日は来るのでしょうか。物語の行く末から目が離せません。

つづく