霍展白(フオ・ジャンバイ)の旧友である夏浅羽(シア・チェンユー)が薬師谷を訪れ、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) に一目惚れ。彼の派手で強引な求愛は、静かな谷に小さな騒動を巻き起こす。彼の存在は、霍展白に薛紫夜への特別な感情を自覚させるきっかけともなった。月が美しい夜、霍展白と薛紫夜は二人きりで酒を酌み交わし、穏やかな時間を過ごす。その裏で、江湖では新たな争いの火種が燻っていた。そして、谷の滞在が長引く中、霍展白は後山で薛紫夜の悲しい過去に繋がる衝撃的な光景を発見してしまう。
「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ10話
薬師谷に新たな嵐を呼ぶ男、夏浅羽(シア・チェンユー)の登場で、静かだった薛紫夜(シュエ・ズーイエ) と霍展白(フオ・ジャンバイ)の間に、なんとも言えない空気が流れ始めましたね! 第10話は、恋の鞘当て(?)と、しっとりとした夜の語らい、そして物語の核心に迫る謎が提示される、見どころ満載の回でした。
孔雀男・夏浅羽(シア・チェンユー)、薬師谷に現る!
霍展白(フオ・ジャンバイ)の借金を返しに来たという名目で谷にやってきた夏浅羽。しかしその実、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) に一目惚れ! 彼女の姿を見つけてはストーカーのようにつけ回し、霍展白が慌てて引き離そうとするのもお構いなし。江湖に名高いプレイボーイである彼は、「どんな女も俺に夢中さ」とばかりに、自信満々です。
ここからの夏浅羽のアピールがすごい! まるで孔雀が羽を広げるように、薛紫夜の前でいきなり剣舞を披露したり、純金製のツボ押し人形をプレゼントしたり。隣で見ている霍展白は、苦虫を噛み潰したような顔です。
極めつけは、特注の金の簪(かんざし)。これを薛紫夜に贈ると、なんと彼女は受け取ってしまいます! 霍展白を締め出して、夏浅羽だけを薬廬に招き入れた薛紫夜。まさか…と思いきや、彼女は超クール。「霍展白の借金返済として、これらの贈り物はありがたく頂戴します」と、きっぱり宣言。プレゼントの価値を計算し、残りの借金は夏浅羽に請求すると言い渡します。それでも夏浅羽はめげません。この男、なかなかの強者です。
嫉妬と本音、月夜の二人
谷の酒を飲む霍展白は、なんだか今日の酒は苦いと感じています。夏浅羽が贈った金の簪を見て、「あんな派手なものは彼女に似合わない。彼女には、気高くしなやかな白玉の簪こそがふさわしい」と呟く姿は、もう完全に恋する男のそれですね。
そこへ当の夏浅羽が乱入し、三人で飲む流れに。薛紫夜はさっさと退散し、男二人で飲み明かすことになります。すっかり酔い潰れた夏浅羽は、隣にいる霍展白を薛紫夜と間違え、寝言で彼女の名前を呼び始めます。これには霍展白も我慢の限界! 夏浅羽をベッドから蹴り落とすのでした。
後日、霍展白は偶然、薛紫夜が夏浅羽からの贈り物を借金のカタとして受け取っていたことを知ります。途端に心が晴れやかになった彼は、薛紫夜を月夜の酒盛りに誘います。今日の酒は、驚くほど甘く感じられます。
「なぜ、あんなに金にがめついのに、診る患者は10人だけなんだ?」と尋ねる霍展白。薛紫夜は「体力が持たないし、江湖の人間は好きじゃないから」と素っ気なく答えます。「じゃあ、なぜ俺を助けた?」と食い下がる彼に、薛紫夜は真顔で彼の顔をじっと見つめ、「あなたの顔には、見るべき価値があったから」と、からかうように笑うのでした。
霍展白が乾杯を求めると、彼女は「一人で飲むのが好きなの」と断ります。しかし、彼が酔いつぶれて眠ってしまった後、薛紫夜は自分の杯を手に取り、テーブルに置かれた彼の杯に、そっと触れ合わせるのでした。彼女の秘めた想いが垣間見えた、美しいシーンでした。
江湖の不穏な影と、谷に隠された悲劇
一方、江湖では不穏な動きが。覃天呈(タン・ティエンチョン)殺害事件の犯人は、霍展白になりすました「瞳(トン)」という人物ではないかと、閣主と林宮主(リンゴンしゅ)は推測します。血で血を洗う争いが再び始まろうとしていました。さらに、長無絶(チャン・ウージュエ)という人物が修行中に吐血し、妙風(ミャオフォン)に助けられる場面も。物語は薬師谷の外でも大きく動き出しています。
すっかり回復した霍展白は、次の薬材を探すために谷を出ようとしますが、薛紫夜に「この金の人形を一炷香(線香が一本燃え尽きる時間)の間、右手で持ち上げ続けられたら行かせてあげる」と止められます。結局、筋力が戻っていない霍展白はギブアップ。もう少し谷に滞在することに。
そんな中、夏浅羽が薬草をただの花と間違えて引っこ抜いてしまう事件が発生! 罰として、霍展白と二人で薬草を採りに行くことになります。道中、夏浅羽は霍展白の薛紫夜への気持ちを鋭く見抜き、「朴念仁にも花が咲いたか」と指摘。自分は潔く身を引き、明日谷を出ることを告げます。
そして帰り際、夏浅羽は霍展白に衝撃の事実を伝えます。「後山で、薛紫夜が立てた100以上の衣冠塚(遺体のない墓)を見た」と。
霍展白が後山へ向かうと、そこには確かに無数の墓が。それは、かつて惨殺され滅びた「摩家村」の人々のためのものでした。一体誰がこんな非道なことを? そして、なぜ薛紫夜が彼らを弔っているのか? 物語は大きな謎を残し、次へと続きます。
『七夜雪(しちやせつ)』第10話の感想
今回は、夏浅羽という新たなキャラクターの投入で、物語に軽快なリズムが生まれました。彼のコミカルな求愛騒動には思わず笑ってしまいましたが、そのおかげで霍展白の嫉妬や独占欲が浮き彫りになり、彼の薛紫夜への想いの深さがより明確になったように感じます。前半のラブコメ風の展開から一転、後半の月夜の対話シーンは、二人の間の繊細な心の機微が丁寧に描かれており、非常に見ごたえがありました。特に、霍展白が眠った後にそっと杯を合わせる薛紫夜の姿は、彼女の内に秘めた孤独と愛情を感じさせ、胸が締め付けられる名場面です。そして最後の衣冠塚の発見。彼女が背負う過去の重さが一気に提示され、物語の奥行きがさらに増しました。ただの恋愛ドラマではない、壮大な運命の物語であることを改めて感じさせられた回でした。
つづく