霍展白(フオ・ジャンバイ)の傷も癒え、薬王谷に穏やかな時間が流れる。しかしその裏で、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は彼女の故郷を襲った悲劇の真相を追い続け、ついに重要な証人が谷へ運び込まれる。一方、霍展白は師である秋水鶴(チウシュイ・ホー)と共に、彼の孫娘の治療薬を探す旅に出ることを決意する。二人の間に芽生えた穏やかな信頼関係。しかし、薛紫夜が手にしたある証拠が、霍展白が最も尊敬する人物への疑惑へと繋がってしまう。それぞれの想いが交錯し、物語は静かに、しかし大きく動き出す。

「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ12話

やれやれ、今回の『七夜雪』は、穏やかな時間と、じわじわと忍び寄る不穏な影のコントラストがたまらない回でしたね。霍展白(フオ・ジャンバイ)の傷も癒え、薬王谷には束の間の平穏が訪れます。

回復した霍展白(フオ・ジャンバイ)は、さっそく秋水音(チウシュイ・イン)と徐沫(シュー・モー)の元へ。徐沫は彼のことを覚えていて、大喜び。その姿は、見ているこっちまで頬が緩んでしまいます。そんな中、秋水音(チウシュイ・イン)の父であり、霍展白(フオ・ジャンバイ)の師でもある天山派の掌門・秋水鶴(チウシュイ・ホー)が、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) に礼を言いに来ます。しかし、彼の絶え間ない咳に気づいた薛紫夜(シュエ・ズーイエ) が脈を診ると、長年の心労が彼の体を蝕んでいることが明らかに。天山派と愛する娘たちの将来を憂うその姿は、どこか霍展白と重なって見えるのでした。

徐沫のため、危険を承知で薬探しの旅への同行を決意する秋水鶴。しかし、その裏では元一宮の長無絶(チャン・ウージュエ)が、彼の命を狙って暗殺者を放っていました。不穏な動きを察知した霍展白は、すぐさま鼎剣閣の閣主へ手紙を送り、各門派に警戒を促します。

一方、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の元には、阿菁(アージン)から待ちわびた知らせが。それは、彼女が追い続ける「摩家村皆殺し事件」に関する重要な人証が届けられるというもの。しかし、運び込まれた女性は3年前から昏睡状態。薛紫夜は「仮熱真寒の症」と診断し、誰にも、特に霍展白には内密にするよう固く口止めします。

そんな緊張感の中にも、二人の心温まるシーンが描かれます。薛紫夜が薬王谷の入り口で誰かを待っていたという風緑(フォンリュー)の話を聞き、まんざらでもない霍展白。うたた寝する彼女にそっと上着をかけてやる優しさを見せますが、うっかり起こしてしまうドジっぷりも彼らしいですね。悩みを抱える薛紫夜を「君なら解決できる」と励ます彼の言葉に、彼女の心も少し晴れたようでした。

やがて、薛紫夜の治療の甲斐あって、人証の女性が目を覚まします。これで事件の真相に一歩近づける、そう思った矢先、物語は新たな謎を投げかけてきます。

霍展白と酒を酌み交わす薛紫夜。酒の席での戯れで、彼女は彼の腰にある玉佩を借金のカタに要求します。しかし、霍展白は「これは師である秋水鶴から贈られた大切なものだ」と拒否。かつて、秋水鶴も同じ玉佩を持っていたが、数年前に失くしてしまったと語ります。その言葉に、薛紫夜の表情が凍りつきます。彼女が得た情報によると、かつて毒薬「毒蟾砂」を盗み、摩家村の悲劇を引き起こした人物が、まさにその玉佩を持っていたのです。

信じるべき師・秋水鶴への疑惑。そして、夏浅羽(シア・チェンユー)からの手紙で、霍展白もまた、薛紫夜が摩家村の事件によって深い心の傷を負っていることを知ります。

それぞれの胸に、疑念と決意が渦巻く中、薛紫夜はついに動きます。霍展白が薬探しの旅に出発したのを見計らい、彼女は香で秋水鶴を眠らせ、摩家村の真実を問い詰めようとします。しかし、そこへ駆けつけたのは、他ならぬ霍展白でした。師の無実を信じる彼は、薛紫夜に「一日だけ時間が欲しい」と懇願します。

信じたい心と、拭いきれない疑惑。二人の信頼関係が、今、試されようとしていました。

『七夜雪(しちやせつ)』第12話の感想

今回は、物語の静かな水面下に大きな波紋が広がる、そんな深みのあるエピソードでした。霍展白と薛紫夜の間に育まれてきた穏やかな信頼関係と、過去の悲劇がもたらす深刻な疑惑が見事に対比されています。特に印象的だったのは、霍展白が信じて疑わない師・秋水鶴に疑惑の目が向けられる展開です。彼が大切にしている玉佩が、薛紫夜が追う事件の犯人のものと一致するかもしれないという事実は、あまりにも酷な知らせでした。師を信じたい気持ちと、薛紫夜の痛みを理解したい気持ちの間で揺れる霍展白の苦悩が伝わってきて、胸が締め付けられます。これまで少しずつ距離を縮めてきた二人の関係が、この大きな試練をどう乗り越えていくのか。静かながらも、物語の核心を揺るがす重要な転換点となった回でした。

つづく