再び重傷を負って薬師谷に運び込まれた霍展白(フオ・ジャンバイ)は、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) のぶっきらぼうながらも手厚い看護を受ける。そんな中、谷にはもう一人、記憶を失った謎の男「瞳(トン)」が保護されていた。薛紫夜は彼の治療に専念するため、霍展白と距離を置くようになる。すれ違う二人だったが、ある夜、梅の木の下で酒を酌み交わし、互いが背負う宿命と後悔のない想いを分かち合う。二人の絆が深まる一方で、新たな患者の存在が不穏な影を落とし始める。
「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ20話
傷だらけの再会と、新たな患者の謎
またしても薬師谷でボロボロの状態で目覚めた霍展白(フオ・ジャンバイ)。全身傷だらけの彼に、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は怒り心頭!「あんたのその無数の穴を塞ぐのがどれだけ大変だったか!」と説教しながらも、手厚く治療にあたります。強烈な薬のせいで声も出せない霍展白(フオ・ジャンバイ)に、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は「そのマシな顔がなかったらとっくに追い出してるわよ」と憎まれ口を叩きながらも、彼の顔の傷に優しく薬を塗るのでした。そんな彼女に、霍展白(フオ・ジャンバイ)は小声で「ひどい女だ…」と悪態をつくのが精一杯。この二人のやり取り、たまりませんよね!
その頃、薬師谷にはもう一人、謎の患者「瞳(トン)」が運び込まれていました。彼は寧婆婆(ニンばあや)の手当てで一命を取り留めますが、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は瞳が非常に危険な状態にあることを見抜き、霜紅(シュアンホン)たちに「彼が目覚めたらすぐに香を焚いて落ち着かせること」「誰も彼の目を見てはならないこと」、そして何より「霍展白に彼の存在を知らせてはならないこと」を固く命じます。
瞳の正体と、封じられた記憶
薬が手に入り、少し気分が上向いた霍展白は、早く薬を完成させるよう薛紫夜に催促します。薛紫夜は何か真実を伝えようとしますが、霍展白は「君の計画通りに進めてくれればいい」と、彼女を信じきった様子。その信頼が、かえって薛紫夜の胸を締め付けます。
一方、意識を取り戻した瞳は、見知らぬ環境に警戒心をむき出しにし、侍女の小橙(シャオチェン)を人質にとって薛紫夜を呼び出します。駆けつけた薛紫夜の姿と声に、瞳はなぜか懐かしい感覚を覚えますが、再び気を失ってしまいます。次に目覚めたとき、彼は錯乱状態で無意識に薛紫夜の首を絞めてしまいますが、その瞳から放たれた青い光を見て、薛紫夜は確信するのです。
「この人は、明介(ミンジエ)だ!」
かつての知人との衝撃的な再会。しかし、瞳こと明介は、長無絶(チャン・ウージュエ)という人物に鍼を打たれ、過去の記憶を完全に失っていました。薛紫夜は、かつて慕っていた雪懐(シュエホワイ)に報告し、必ず明介の記憶を取り戻してみせると誓います。
薛紫夜が観心之術で記憶を呼び覚まそうとすると、明介は激しく抵抗。彼の記憶が、脳天にある百会穴など、非常に危険な部位に打ち込まれた金針によって封じられていることが判明します。下手に手を出せば死に至るという、絶望的な状況でした。
梅の木の下の誓い
数日間、つきっきりで明介の治療にあたる薛紫夜。そんな彼女の姿が見えず、霍展白は不満を募らせます。ようやく現れた薛紫夜は、彼の体がすでに限界に達していることを告げ、「もう薬師谷に来る必要はない」と言い放ちます。その言葉に、霍展白は「借りを返す約束だ!」と激しく動揺。彼の人生にとって、薬師谷と薛紫夜がどれほど大きな存在になっているかが伺えます。
その夜、梅の木の下で酒を酌み交わす二人。薛紫夜は明らかに悩みを抱え、酒に愁いを晴らそうとしていました。そんな彼女を元気づけようと、霍展白は剣舞を披露し、「君の悩みも、薬師谷の厄介事も、これからは俺が引き受ける」と申し出ます。
美しい景色の中、霍展白は静かに語り始めます。この8年間、見知らぬ場所で目覚めるたびに、周りには誰もいない冷たい静寂があったこと。しかし、今は違う。「花と、酒と、雪、そして君がいる。それだけで十分だ」。
薛紫夜は尋ねます。「徐沫(シュー・モー)のために後悔は?」。霍展白も問い返します。「雪懐のために後悔は?」。二人は見つめ合い、声もなく「後悔はない」と心を通わせるのでした。酔った薛紫夜は、霍展白を「大馬鹿者」と罵りながらも、心からの謝罪を口にします。霍展白は、そんな彼女を見つめながら、8年ぶりに訪れた安らかな時間を噛みしめるのでした。
『七夜雪(しちやせつ)』第20話の感想
今回のエピソードは、霍展白と薛紫夜の関係性がまた一段と深まった、非常に感動的な回でした。特に梅の木の下で語り合うシーンは、本作屈指の名場面ではないでしょうか。お互いに大切な人のために人生を捧げ、その後悔のなさを認め合う姿には、胸が締め付けられるような切なさと尊さを感じました。霍展白が薛紫夜に「君がいるだけで十分だ」と伝える場面は、彼の8年間の孤独と、彼女という存在の大きさを物語っており、思わず涙腺が緩みました。一方で、記憶を失った明介の登場により、物語に新たな謎と緊張感が加わりました。薛紫夜が背負う過去の因縁が、これから二人の未来にどう影響していくのか。甘く切ない時間と、不穏な影の対比が見事な構成でした。
つづく