霍展白(フオ・ジャンバイ)の協力のもと、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) はついに瞳(トン)の記憶を封じていた最後の針を抜くことに成功する。全ての記憶を取り戻した瞳は、紫夜との幼き日の絆を思い出すが、同時に彼を殺人者へと変えた壮絶な過去とも向き合うことになる。紫夜は彼を薬師谷に留め、心と体の傷を癒そうと懸命に尽くす。しかし、瞳はかつて所属した組織との関係を断ち切れておらず、霍展白が手に入れた「龍血珠」を巡って新たな駆け引きが始まってしまう。紫夜は瞳を救うため、ある大きな決断を下すが…。

「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ22話

記憶の解放、そして明かされる悲劇の真相

霍展白(フオ・ジャンバイ)は、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の瞳(トン)を救いたいという強い想いを前に、ついに折れます。彼女を信じ、自らの手で瞳の脳に打ち込まれた三本目の針を抜くことを決意。もし再び瞳が殺戮に手を染めるなら、その時は自分が必ず始末をつける、という悲壮な覚悟を胸に…。

霍展白(フオ・ジャンバイ)の力を借りて経脈を開く中、瞳は激しく抵抗します。しかし、苦悶の末に銀針が抜き取られた瞬間、彼はすべてを思い出しました。

そう、彼が二度目の殺人を犯した、あの忌まわしい過去。村人たちに「化け物」と蔑まれ、その美しい瞳をえぐり取られそうになった恐怖。紫夜と兄の雪懐(シュエホワイ)が必死に庇ってくれたにもかかわらず、その声は届かなかった。そして、絶望の淵にいた彼を連れ去り、摩家村の虐殺を命じたのは、元一宮の主・長無絶(チャン・ウージュエ)だったのです。

戻らない心、すれ違う想い

記憶を取り戻した瞳は、紫夜を「小夜姉さん」と呼びます。しかし、彼の心は、かつての純粋な少年・明介(ミンジエ)には戻れませんでした。紫夜は、あの夜、彼を救えなかったことを涙ながらに謝罪し、「これからは私が守る」と誓います。彼女は瞳の古傷や心を蝕む病を根気強く治療しますが、その姿をそばで見つめる霍展白(フオ・ジャンバイ)の胸中は、嫉妬と不安で穏やかではありません。

紫夜は瞳を過去から解き放とうと、村人たちの墓に連れて行きます。しかし、瞳にとって村人たちは自分を闇に閉じ込めた憎い相手。彼は、村が滅びたのは自分のせいだとし、明介の墓を動かそうとする紫夜を制します。紫夜は、瞳が過去に囚われていることを痛感するのでした。

新たな陰謀と、紫夜の決断

その頃、瞳は密かに元一宮の妙火(ミアオフォ)と接触していました。教主・長無絶(チャン・ウージュエ)の様子がおかしく、教団内で内紛が起きているため、計画を早める必要があると告げられます。その計画とは、霍展白が手に入れた「龍血珠」を奪うこと。

偶然、氷の下に眠る雪懐の姿を見てしまった瞳は、妙火の命を救うためだと、紫夜に龍血珠を渡すよう懇願します。紫夜は、それが霍展白が苦労して手に入れたものだと知っているため、苦悩します。彼女には、目の前の彼が「明介」ではなく、いまだ殺し屋「瞳」であることも分かっていました。

紫夜は一つの策を講じます。瞳に龍血珠を持たせて都へ向かわせ、途中で死を偽装する。そうすれば、長無絶(チャン・ウージュエ)は瞳が死んだと信じ、彼を追うことはなくなるだろう、と。

しかし翌日、龍血珠を手に長無絶を討つべく元一宮へ向かおうとする瞳の覚悟を見抜いた紫夜は、彼のツボを突いて動きを封じます。「二度とあの魔窟には戻させない」という強い意志で。

それでも瞳は、紫夜を信じようとはしません。「僕が信じるのは自分だけだ」。そう言い放つ彼の瞳には、深い孤独と絶望の色が浮かんでいました。

『七夜雪(しちやせつ)』第22話の感想

今回は、登場人物それぞれの想いが複雑に絡み合い、非常に重厚な人間ドラマが描かれた回でした。記憶を取り戻せば救われるわけではない、という厳しい現実が突きつけられます。瞳が抱える闇の深さは、単なる記憶喪失が原因ではなく、彼の魂に刻まれた壮絶な過去そのもの。紫夜の献身的な愛ですら、その心を溶かすことができないもどかしさに、胸が締め付けられました。

彼女の行動はすべて瞳を救うためのものですが、その優しさがかえって彼を追い詰め、すれ違いを生んでしまう皮肉な展開には、物語の深淵を覗くような感覚を覚えます。そして、二人を複雑な想いで見守るしかない霍展白の切ない立場も、見事に描かれていました。安易な希望に流されることなく、キャラクターの苦悩を深く掘り下げることで、物語に一層の奥行きを与えています。彼らがこれからどのような運命を辿るのか、目が離せません。

つづく