友人の息子・徐沫(シュー・モー)を救うため、治療の鍵を握る廖谷主(リャオこくしゅ)の元へ向かった霍展白(フオ・ジャンバイ)。そこで彼は、8年間に及ぶ薬探しの旅に隠された、衝撃の真実を知ることになります。一方、薬師谷で彼の帰りを待つ薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の元に、予期せぬ訪問者が現れます。その人物は、ズーイエの穏やかな日常を脅かす、拒むことのできない命がけの依頼を携えていました。それぞれの場所で、登場人物たちは過酷な運命と向き合うことになります。

「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ24話

旅立ちの朝、フオ・ジャンバイはズーイエに、梅の木の下に「笑紅塵」というお酒を埋めてほしいと頼みます。「俺が帰ってきたら、一緒に飲もう」。その言葉に、ズーイエの瞳からは涙がこぼれ落ちます。彼女は、彼がこれから何を知り、どんな過酷な真実に直面するのかを、痛いほど理解していたからでした。

その頃、邪教・元一宮では、教主の長無絶(チャン・ウージュエ)が走火入魔によって重傷を負っていました。彼は腹心の妙風(ミアオフォン)に、薬師谷へ行って神医であるシュエ・ズーイエを連れてくるよう命じます。

一方、揚州へ南下したフオ・ジャンバイは、徐沫(シュー・モー)の治療の秘密を知る廖谷主(リャオこくしゅ)の元を訪れます。ズーイエの手紙と、かつて廖谷主がズーイエに贈った簪(かんざし)を見せ、これまでの経緯を語るジャンバイ。しかし、廖谷主から告げられたのは、あまりにも残酷な真実でした。

「あの子の病に、その処方箋は全くの無意味だ」。

8年間、命がけで薬材を集め、ただその薬だけを信じてきたジャンバイにとって、世界が崩壊するような一言でした。廖谷主は、ズーイエの処方箋は徐沫のためではなく、別の3人の命を救うためのものだったと明かします。ジャンバイは薬箱を開け、中の薬材が手付かずであること、そして龍血珠がなくなっていることに気づき、愕然とします。

激しい痛みに襲われながらも、ジャンバイはズーイエの真意を悟ります。彼女は、彼が希望を失ってしまうことを恐れて、このつらい真実をたった一人で抱え込み、彼を支え続けていたのです。自分を責めるどころか、ズーイエが一人で背負ってきたものの重さに、ジャンバイの心は張り裂けそうになるのでした。さらに、廖谷主の夫が、行方知れずだった自分の五番目の兄であったという衝撃の事実も重なります。

薬師谷では、ズーイエがジャンバイの帰りを待ちわびていました。そんな彼女の元に、霜紅(シュアンホン)が慌てて知らせを持ってきます。谷の入り口に、九枚もの回天令を持った訪問者がいる、と。

ズーイエが駆けつけると、そこにいたのは、なんと彼女の囲碁仲間でした。しかし、彼の正体は元一宮の刺客、妙風(ミアオフォン)だったのです!妙風(ミアオフォン)は、主である長無絶(チャン・ウージュエ)の治療のためにズーイEに元一宮まで来てほしいと、破格の報酬と共に依頼します。その報酬とは、ズーイエの体を蝕む寒疾を、彼の持つ「秒春風功法」で取り除くというものでした。

ズーイエがこれを拒むと、妙風はためらうことなく自らの腹に刀を突き立てます。「お断りなら、ここで自害するまで」。その狂気じみた忠誠心を前に、ズーイエは彼を谷へ運び入れるしかありませんでした。主の命令は絶対であり、そのためなら死をも厭わない。元一宮の恐ろしさを、ズーイエは改めて思い知るのでした。

『七夜雪(しちやせつ)』第24話の感想

今回のエピソードは、登場人物それぞれの覚悟と苦悩が深く描かれ、物語の核心に迫る重厚な回でした。フオ・ジャンバイが8年間信じてきたものが偽りであったと知る場面は、彼の絶望と、それでもなおシュエ・ズーイエを思いやる深い愛情が痛いほど伝わってきて、胸を締め付けられました。一方で、ズーイエもまた、孤独の中で真実を隠し通すという重荷を背負い続けていたことが明らかになり、彼女の強さと儚さに心を打たれます。そして、穏やかな囲碁仲間かと思われた妙風の、狂気的ともいえる忠誠心と突然の登場は、物語に新たな緊張感をもたらしました。彼の存在が、停滞していた運命の歯車を大きく、そして過酷な方へと回し始めたように感じます。それぞれの想いが複雑に絡み合い、より一層物語の深みが増したように思います。

つづく