薬王谷の主・薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は、ある人物を救うため、仲間たちに本当の行き先を告げず、危険な旅に出るという重大な決意を固める。彼女は谷の仲間や、想いを寄せる霍展白(フオ・ジャンバイ)との再会を願いつつも、己の使命を果たすため静かに旅立ちの準備を進める。一方、長年の友人との約束を果たすため、薬を求めて旅を続けていた霍展白は、ついに目的地にたどり着く。しかし、そこで彼を待っていたのは、あまりにも過酷な運命だった。
「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ25話
今回は、二つの場所で同時に進む、あまりにも切ない物語が描かれました。片や、愛する人たちに嘘をついてまで危険な旅に出る決意を固める薛紫夜(シュエ・ズーイエ) 。そしてもう片方では、8年にも及ぶ長い旅路の果てに、残酷な現実を突きつけられる霍展白(フオ・ジャンバイ)。二人の運命は交わることなく、それぞれが悲痛な決断を下します。
薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の決意と、声なき別れ
薬王谷に運び込まれた妙風(ミアオフォン)を手当てする薛紫夜。彼女は、妙風(ミアオフォン)の傷が癒えた後、彼と共に元一宮へ向かうことを心に決めていました。霜紅(シュアンホン)には否定してみせるものの、すべてお見通しの寧婆婆(ニンばあや)には、その固い決意を打ち明けます。霍展白(フオ・ジャンバイ)が帰ってきたとき、梅の木の下で共に酒を酌み交わす約束はどうするのかと心配する寧婆婆。紫夜もその約束を心から願っていましたが、元一宮へ行くという使命は、彼女にとって譲れないものだったのです。皆には「鼎剣閣へ診察に行く」と嘘をついてほしいと頼み、彼女は旅立ちの準備を進めます。
出発前、紫夜はもう目覚めることのない雪懐(シュエホワイ)の元を訪れます。彼をこのまま留め置くのではなく、故郷へ帰すべきだと悟った彼女は、妙風に雪懐の亡骸を運ぶ手伝いを頼みました。
谷の仲間たちは、紫夜の旅立ちを心配し、たくさんの餞別を用意します。その温かさに胸を痛めながらも、彼女は皆に医術の精進を言いつけます。そして翌朝、誰にも告げず、妙風と雪懐の棺と共に静かに谷を去るのでした。「さよならを言わなければ、また会える」…その言葉を残して。
霍展白を待っていた絶望
一方、廖谷主(リャオこくしゅ)と共に徐沫(シュー・モー)の元へ急ぐ霍展白。道中、廖谷主から「紫夜と酒を飲んだら、お前も負けるぞ」とからかわれ、「とっくに自分自身を彼女に賭けている」と、紫夜への深い想いをのぞかせます。
しかし、長い旅の末にたどり着いた秋水音(チウシュイ・イン)の家で彼らを待っていたのは、部屋の中央に置かれた小さな霊柩でした。徐沫は、霍展白が持ち帰った薬を待つことなく、息を引き取っていたのです。8年もの歳月をかけた努力が水泡に帰し、霍展白はあまりのショックに崩れ落ちます。愛する人を次々と奪われ、悲しみのあまり気を失う秋水音。
かつて徐沫に「剣術を教えてやる」と約束した霍展白は、降りしきる雨の中、まるで鎮魂の舞のように剣を振るうのでした。その一振り一振りが、彼の絶望と悲しみを物語っているようでした。
『七夜雪(しちやせつ)』第25話の感想
今回は、登場人物たちの静かな覚悟と深い絶望が、胸に重くのしかかるエピソードでした。薛紫夜が霍展白との再会を願いながらも、より大きな使命のために彼のもとを去る決断。そして、霍展白が8年間という長い年月を捧げた目的が、あと一歩のところで無に帰してしまう運命の皮肉さ。二人の道が交わらないまま、それぞれが最も過酷な現実に直面する構成には、言葉を失います。派手な立ち回りや劇的なセリフがあるわけではないのに、登場人物たちの表情や佇まい、そして降りしきる雨のような静かな演出が、彼らの痛みを雄弁に物語っていました。特に、雨の中で剣を舞う霍展白の姿は、彼の心の内にあるであろう、言葉にならない叫びが聞こえてくるようで、深く心に残りました。
つづく