薬師谷の谷主・薛紫夜(シュエ・ズーイエ) から、赤ん坊・徐沫(シュー・モー)の病が不治であることを宣告された霍展白(フオ・ジャンバイ)。その事実を知ってしまった母・秋水音(チウシュイ・イン)は、自責の念から絶望的な行動に出る。彼女を救おうとした霍展白は、自らが深い谷底へ転落し、意識不明の重体に。薛紫夜は、過去に霍展白から受けた恩を返すべく、懸命な治療を続ける。一方、謎に包まれた教団「元一宮」では、瞳(トン)と名乗る青年が、血塗られた試練を乗り越えようとしていた。命と絆が試される、過酷な運命の物語が加速していく。
「七夜雪(しちやせつ)」あらすじネタバレ3話
非情な宣告と母の絶望
物語は、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) が霍展白(フオ・ジャンバイ)を呼び出す、緊迫したシーンから始まります。霍展白(フオ・ジャンバイ)は、赤ん坊の徐沫(シュー・モー)の病状についてだろうと察し、精神的に追い詰められている秋水音(チウシュイ・イン)には伏せて、先に自分だけに教えてほしいと懇願します。
しかし、薛紫夜(シュエ・ズーイエ) の口から告げられたのは、「徐沫の病は、もはや手の施しようがない」という残酷な真実でした。ここ数日、徐沫の容態が少し持ち直していただけに、霍展白(フオ・ジャンバイ)は信じられません。ですが薛紫夜(シュエ・ズーイエ) は、最初から治療法はなく、これまで尽力したからこそ、徐沫は今日まで生き延びられたのだと冷静に告げます。
その二人のやり取りを、扉の外で聞いてしまった秋水音(チウシュイ・イン)。我が子の運命を知り、彼女は静かに絶望の淵へと沈んでいきます。霍展白は、別の名医を探すため谷を出る決意を固め、どうか秋水音に希望を持たせるため、真実を伝えないでほしいと薛紫夜に頼み込むのでした。
部屋に戻った秋水音は、眠る徐沫のそばで涙に暮れます。すべては、自分が約束を破って母乳を与えてしまったせいだと、自分を責めて…。そして彼女は、師娘から受け継いだ大切な指輪を徐沫のそばに残し、姿を消してしまいます。
崖っぷちの攻防と霍展白の犠牲
異変に気づいた霍展白が後山へ駆けつけると、そこには崖の縁に座り込む秋水音の姿が。彼女は、これ以上徐沫に苦しい思いをさせたくないと、身を投げてしまいます。霍展白は咄嗟に飛びつき、彼女の命を救いますが、その代償として自分自身が崖の下へと転落してしまいました。
駆けつけた薛紫夜は、衰弱した秋水音を介抱し、すぐに崖下へ霍展白の捜索隊を向かわせます。
謎の教団「元一宮」と瞳の登場
場面は一転し、不気味な雰囲気に包まれた「元一宮」の修羅場が映し出されます。教王・長無絶(チャン・ウージュエ)の「自分以外の者を皆殺しにせよ」という命令一下、集められた者たちが生き残りをかけて殺し合いを始めます。
その中で、瞳(トウ)と呼ばれる青年だけが、最初は静かに佇んでいました。しかし、戦いに加わると、彼は驚異的な戦闘能力を発揮。獰猛な犬さえも退け、凄惨な殺戮の末、もう一人の男と共に生き残り、教王の前へと引き出されます。
薛紫夜の献身と霍展白の覚醒
一方、崖から救出された霍展白は、重傷を負い、意識不明のままでした。彼が以前、薛紫夜に多くの内力を分け与えていたことが、回復を遅らせる原因となっていたのです。薛紫夜は、その恩を返すかのように、昼夜を問わず献身的に治療を続けます。
意識のない霍展白は、うわ言で「師妹」や「六哥」といった過去の人物の名を呼び続けます。それを見た秋水音は、霍展白と、彼が手にかけることになってしまった師兄・徐重華(シュー・チョンホワ)との間にあった、知られざる物語を薛紫夜に語り始めるのでした。
ある夜、霍展白の容態が急変し、心脈を傷つけてしまいます。薛紫夜はすぐさま鍼を打ち、彼の耳元で必死に語りかけます。「徐沫を救う方法を見つけた。あなたが生きていなければ、その子を救えない」と。その言葉が届いたのか、霍展白は、実に3ヶ月もの長い眠りから、ついに目を覚ますのでした。
物語の最後、元一宮では、生き残った瞳ともう一人の男に、教王が「残れるのは一人だけだ」と非情な選択を迫ります。夜明けを待ち、ここから去ることを望んだもう一人の男に対し、瞳は「誰も信じるな。甘い人間は死ぬべきだ」と呟くと、その妖しい瞳の力で相手を自害させ、たった一人の生存者となるのでした。
『七夜雪(しちやせつ)』第3話の感想
今回は、登場人物それぞれの「守りたいもの」への執着が、悲劇と奇跡の両方を引き起こす、非常に密度の濃いエピソードでした。我が子を想う秋水音の絶望、師姉と友の子を守ろうとする霍展白の自己犠牲、そして、借りた恩は必ず返すと誓う薛紫夜の医者としての矜持。それぞれの行動原理が複雑に絡み合い、物語に深い奥行きを与えています。特に印象的だったのは、薛紫夜が霍展白を救うために「嘘」をついた場面です。冷静沈着に見える彼女が、ただ一人の命を繋ぎとめるために見せた人間味あふれる必死の姿に、胸を打たれました。絶望的な状況下で示される人間の弱さと、それでも失われない強さの対比が、見事に描かれていた回だと思います。
つづく