意識不明の陸繹(りくえき) を救うため、袁今夏(えんきんか)は自身の命を危険にさらす禁断の治療法に身を投じます。必死の看病の末、陸繹は意識を取り戻しますが、今夏の顔色の悪さや不自然な様子に気づき始めます。しかし、彼女は真実をひた隠しにし、仲間たちの前では気丈に振る舞い続けます。その裏で、彼女の体は毒に蝕まれ、命の刻限は刻一刻と迫っていました。仲間たちが気づかぬ間に、今夏は静かに重大な決断を下します。彼女が残した一通の手紙が、やがて全員を衝撃の渦へと巻き込んでいくのでした。
「花様衛士~ロイヤル・ミッション~」あらすじネタバレ23話
命がけの口移しと、芽生えた疑惑
前回、陸繹(りくえき) を救うため、自らが「薬引」となる道を選んだ今夏。丐叔(かいしゅく) に「口移しで飲ませろ」というとんでもない指示を受け、ためらいながらも実行します。意識のない陸繹(りくえき) に薬を飲ませるため、唇を重ねる今夏。その瞬間、陸繹(りくえき) が不意に彼女の唇を噛んでしまい、今夏は血を流してしまいます。でも、「薬を飲んでくれたなら…」と安堵する姿が、もう、泣ける…。この一部始終を、医仙の林菱(りんりょう)が静かに目撃していました。
林菱(りんりょう)は、今夏の体内の毒の回りが異常に早いことに気づきます。このままでは、陸繹が助かっても今夏が危ない…。
一方、ついに意識を取り戻した陸繹。そばで眠る今夏の顔色の悪さや、唇の傷が気になりますが、今夏は「なんでもない」と必死にごまかします。でも、その必死さがかえって痛々しく、陸繹の心に小さな疑念の種をまくのでした。
迫る死の影と、隠し通す覚悟
仲間たちの前では、いつもの明るい「夏爺(なつや)」を演じ続ける今夏。ですが、毒の発作で手が震えたり、こっそり吐血したりと、彼女の体はとっくに限界を超えていました。楊岳(ようがく) が作ってくれた補血粥に感動しながらも、血を吐いてしまった今夏は、林菱(りんりょう)に「どうか黙っていて」と懇願します。
林菱は、そんな今夏の髪を梳かしながら、彼女の顔がある「故人」にそっくりだと感じます。これは新たな伏線の予感…!そして林菱は、今夏の命がもってあと3日だと非情な宣告をしつつも、「必ず助ける」と力強く約束するのでした。
「私が死んだら悲しい?」涙の遺書と衝撃の真実
自分の血を混ぜた薬を陸繹に飲ませた後、今夏は震える声で問いかけます。
「もし私がいなくなったら、寂しいですか?」
一瞬、時が止まったかのような陸繹。彼は「会いたくなる」と答えます。その言葉を聞いて、寂しそうに微笑む今夏…。もうこのシーンだけで胸が張り裂けそうでした。
その夜、今夏は「別れの場面は苦手だ」と綴った遺書を残し、皆の前から姿を消してしまいます。
手紙が見つかり、騒然となる仲間たち。ここでついに丐叔(かいしゅく) の口から、「今夏が陸繹を救うため、自らの命を薬にした」という衝撃の事実が明かされます。陸繹が自分宛ての遺書を開くと、そこには「感謝は不要です。ただ、母のために殉職手当を申請してください」という、あまりにも今夏らしい、最後の願いが書かれていました。
真実を知った謝霄(しゃしょう) に掴みかかって激怒し、陸繹は言葉を失い、ただ呆然と立ち尽くすばかり。
一人、荒山をさまよう今夏は、廃屋にたどり着き、そこで静かに死を待っていました。
「こんな場所で死ぬなんて…最悪だ」
そう悪態をつきながら、彼女の意識は遠のいていくのでした…。
『花様衛士~ロイヤル・ミッション~』第23話の感想
今回のエピソードは、物語全体の中でも特に心を揺さぶる回だったのではないでしょうか。ヒロインの袁今夏(えんきんか)が見せる自己犠牲の精神が、あまりにも切なく、そして気高いです。彼女が自分の命が尽きようとする瞬間まで、仲間たち、特に陸繹の前では明るく振る舞い続ける姿には、胸が締め付けられました。彼女の嘘は、すべてが愛する人々と仲間を守るための、優しさから生まれたもの。その嘘が、遺書によって残酷な真実として明かされる構成は見事としか言いようがありません。また、林菱が今夏の面影に「故人」を重ねる場面は、今後の物語の核心に触れる重要な伏線となり、ミステリー要素を一層深めています。絶望的な状況で幕を閉じたラストシーンは、深い余韻を残し、登場人物たちの絆がどう試されるのか、固唾をのんで見守りたくなります。
つづく